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地獄の予兆 2

シア目線です。

「ただいま」


「おかえりお姉ちゃん」


「待ってたぞ」


街にたどり着きいつもの屋敷に帰るとフロンとギンに出迎えられた。

部屋で待ってないのは珍しいわね。


「帰ったかシア」


「あら? シャドウキャットまでいるの? これは本当に珍しい」


「俺は報告があってな。どうやら3日前に王都から人間が大量に出発したらしい」


「詳しく教えてちょうだい」


「あぁどうやら人間共は大量の数で一気に森を切り開こうとしているようだ」


「……ふ~ん、舐められたものね」


「全くだ。人間共がどれだけ集まろうと我らには勝てんよ。特に我が主(マイロード)にはな」


「同感ね。人間ごときが数だけ揃えてもお父様に勝てるはずがないわ」


まぁ今回はお父様が作った獣人とかいうやつらが対応するらしいが結局殺すのだし関係ないだろう。人間ごときがお父様の森に攻め込んだことをあの世で後悔するがいい。


「ちょっと待って!? 何で猫が喋ってるんだ!? というか俺にも分かるように説明してくれ!?」


あぁそう言えばギンに見せた記憶の中にシャドウキャットについての記憶はなかったわね。普通に馴染んでるものだからもうお互いに挨拶してるのかと思ったわ。


「なんだ小僧。俺に気付いてなかったのか? フロンは気づいてたぞ?」


「まじで!?」


「当然、シャドウキャットの気配遮断のスキルがあるとはいえこの程度が見つけられないなんて……情けない」


どうやらフロンは気づいててわざと言わなかったわね。シャドウキャットはギンが吸血鬼であることに気がついたのだろう。

それでもフロンが言わなかったのは恐らくギンへの意地悪のようなものでしょうね。

早く仲良くなって欲しいものだが……


「まぁとにかく了解したわ。じゃあギン。そろそろ救出作業に取り掛かるわよ」


「……あぁ分かった」


ギンは突然真面目な顔になり魔力を高ぶらせた。まぁ正確には感情が荒ぶってそれに魔力が引っ張られて活性化しているだけでしょうけど。

何にせよやる気があるのはいいわね。


「じゃあ行くわよ」


「え?」


「え? じゃないわよ。妹を助けるんでしょ?」


「いやそうだけど。え? 今?」


「当然よ。なるべく早い方がいいわ。30秒で支度しなさい」


「……分かった!!!」


ドタバタと足音を立ててギンにあげた部屋へと向かう。なんというかギンのあの真っ直ぐな性格は見てて気持ちがいいわね。


しかしフロンはやはりギンが不満なのかギンが消えた方をじっと睨み続けている。


「しかしギンと言ったか? あいつはお前の部下なのか? しかし我が主(マイロード)には何も聞かされていないぞ?」


「私達吸血鬼には眷属化っていうスキルがあってね。それを使って人間だったギンを吸血鬼にしたのよ」


「ほぅ、眷属化か……フロンはやらんのか?」


「もうやった」


「あら、ちゃんと見つけたのね。私にも紹介してよ」


フロンがコクリと頷くと霧が窓の隙間から入り込み、そしてその霧はそばに真っ白な羽毛と真っ赤な瞳を輝かせる梟へと変わった。


「私の眷属の吸血梟(ヴァンパイアオウル)。名前はロア」


その梟はフロンの肩に止まるとじっと私を見つめた。そして次にシャドウキャットを見るとそのまま何をするでもなく視線を外した。


「へぇ梟にしたの? なかなかいいじゃない」


「でしょ?」


そう言うフロンはとても誇らしげに見えた。


そして準備が終わったのかギンの部屋の辺りで激しく音が鳴りだした。ドタドタと走る音が屋敷に響く。


「準備終わったぞ! じゃあ行こう! え! 梟!? 何で!?」


騒がしいわね。心做しかロアもうるさそうにしている。


「準備ができたなら行くわよ。着いてきなさい」


「おうよ! 待ってろよリーリア!」


まぁやる気も充分みたいだしこれなら何も問題はないでしょう。ギンならしっかりと目的を達成できるはずよ。


そして私達は霧になって夜空へと飛び出した。月明かりもない今宵は隠し事をするにはぴったりだ。


そして私達はとある屋敷の前で霧化を解除して無駄に豪勢に飾られた屋敷を見上げていた。


「ここがその貴族の屋敷なのね?」


「あぁ間違いねぇよ。なんせ1年かけて調べたからな」


「そう、ならいいわ。じゃあ早速始めましょうか」


「あぁそうだな。ところで今回は俺1人でやらせてもらうぞ」


「えぇ最初からそのつもりよ。吸血鬼にしてあげたんだから手助けの約束は果たしたものね」


「まぁそうだな。……じゃあ行ってくる」


「えぇ行ってらっしゃい。まぁあなたならきっとできるわ。だって私の眷属だもの。失敗なんてありえないでしょう? ねぇ?」


当然だろう。ギンは私が選んだ最初の眷属なのだ。これでもし失敗しようものなら……もうギンに価値はない。当たり前だがお父様にお見せする訳にもいかない。


「もちろんだ!」


しかしまぁギンならば大丈夫だろう。


そしてギンは霧になり貴族の屋敷へと飛んで行った。ならばもう私にやることはないだろう。あとは見守るだけ。


ふと空を見上げると空は曇りだし、雨が降り出すだろうということはすぐに分かった。

まぁ私には関係ないわね。


さぁギン。あなたの力を見せてみなさい。私の眷属に恥じない力を、お父様に見せても何も問題のない力を。


ここにあなたの復讐は実を結ぶ。





梟っていいよね。梟カフェとか行ってみたいなぁ。


明日もこの時間に投稿します!

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