眷属
最近書いてて思ったけどリッチ(金持ち)要素が少ないな……というか出てきたの最初の方だけだし。
……まぁタイトル詐欺にならないように頑張ります。
「……圧倒的な力ぁ? なんだそりゃ」
「そのままよ、もうこんな目に遭わなくて済むように力は必要よ? そうじゃなきゃ繰り返すだけだもの」
「そりゃあそうだけどさ……でもどんな力だよそれ」
「私達と同じ力よ」
「ッ! 本気!?」
ここでさっきまで静かにしていたフロンが口を挟む。
それだけフロンにとって今の会話は看過できないものだった。
「別に問題はないでしょう? 魔力もそれなりに待ってるし眷属にするにはちょうどいいと思うのだけど」
「それは確かにそうだけど……」
フロンは納得がいかないのかギンを睨み付けると部屋から霧になって消えた。
「は? ……え? 今霧に……え? まじかよ……」
フロンが霧になって消えたことに驚いている。
この反応はは自分が霧になったことは知らないのだろうか。
ということはフロンの支配の魔眼を跳ね除けたのはこの屋敷に着いてからということになるのではないか。
「まぁいいわ、とりあえず今言った通り私達と同じ力をいくつか受け継げるかもしれないわ」
「同じねぇ、それってさっき言ってた支配の魔眼とか今の霧になったやつか?」
「まぁそうね。あなたがどこまで受け継げるかはあなた次第だし上手く適合しないと最悪死ぬわ。だからよく考えておきなさい。強制はしないわ。嫌がってるのに力を押し付けても適合できなくて死ぬ可能性が高いからね」
これは紛れもない事実である。
眷属化は無理やり行うことも不可能ではないがその場合は極端に成功率が下がる。
それはなるべく避けたいのだ。
「なるほど……成功率はどれくらいなんだ?」
「ちゃんと受け入れてくれるなら8割程度かしら」
「逆に失敗率は2割か……」
「ちなみに私の命令には逆らえなくなるわよ」
「はぁ!? なんだそりゃ!」
「だからよく考えておきなさい。この選択があなたの運命を決めるのだから」
そう言うとギンは目を閉じ考えるような仕草をした。
それでいいのだ。
何も考えずにただのうのうと生きているだけなら眷属にする価値など微塵もない。
私だってお父様のために少しでも役に立てるように行動している。
フロンにはそうは見えないとよく言われるがこれでも色々と考えているのだ。
「……決めたよ」
そう言うとギンは目を開き、シアと正面から見つめあった。
「そう、で? どうするの?」
ギンの顔には揺るぎない覚悟が見て取れた。
妹を失いたくないという強い思いがそこにはあった。
「……俺は弱い。だからあのクソ野郎に妹が連れていかれるのを黙って見ている事しかできなかった!俺には力が必要なんだよ! だから頼む! 俺に力をくれ!」
あぁ随分といい顔をするじゃない。
人間なんてゴミクズばかりかと思っていたけどこういう人間がいるのだから面白いものね。
「いいでしょう、あなたの覚悟を認めてあげるわ」
そう言うとシアはギンの首筋に噛み付いた。
いきなりのことに驚いて引き剥がそうとしているようだが首の後ろに手を回して逃げられないように抑え込む。
吸血鬼の腕力に捕まれば逃げ出すことなど人間には不可能である。
そしてギンの血を吸い出し、その血をコクコクと音を立てて吸い上げる。
ギンは私が何をしているのか理解できないらしくて目を白黒させているのが見える。
その様子にさっきまでの様子との違いが浮き彫りになっていることにどこか面白くなった。
「ちょっ! お前何やってんだよ!」
耳元の近くで叫ばないで欲しいのだが……まぁしょうがない。
気にせずに血を吸い上げ続ける。
そしてある程度血を吸うと今度は私の血を飲ませる必要がある。
1度ギンから離れると私は自分の親指に噛み付き血を少し流す。
「さぁ飲みなさい。これで眷属化は完了するわ」
「……ああもう! あとでしっかり説明してもらうからな!」
指から流れ落ちる血を手で器を作りそしてある程度溜まるとそれを飲み干した。
血の味が変に感じたのか微妙に顔を顰めている。
そして規定量の血を飲んだのかギンの中で魔力が作り替えられていくのが分かる。
「あああああああああぁぁぁ!?!?」
自分の魔力が変質していくことに身体が激痛に襲われているのだろう。
辺り一帯に響き渡る絶叫をあげる。
防音の結界を張っていなかったら危なかったわね。
そして数分経つとようやく落ち着いてきたのか床に倒れ付し、いまだに苦しそうにはしているがもう魔力は変質を終えているから大丈夫だろう。
そして眷属化に伴いある程度の記憶を共有しておいた。
まぁお父様の元いた世界のことは教えてないがお父様がどうして私達のような存在を作ったのかは教えておいた。
そうしないと色々と不便だろうからね。
「……なぁ1つ聞きたいんだが」
「何かしら? 答えられる範囲で答えてあげるわ」
「あの記憶まじか?」
「残念ながらまじよ。だからあなたは運がいいわ。確実に助かるのだから」
流石にあんな情報を知ってしまえば一般人であるギンはこちら側につくだろうと予想していたが。
まぁ私の眷属になった以上人間側につきたいと言っても許すつもりはない。
「……そっか、もうなんて言うか人間がごめんなさい」
「気にしなくていいわよ。それよりもあなたのステータスを見せなさい。私の眷属になったのだからそれなりの変化はあるはずよ」
「あぁ分かった」
そしてさっきまでただの一般人だったギンのステータスは
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【名前】 ギン・レアード
【年齢】 11歳 【種族】 吸血鬼
【生命力】 1,065/1,065
【魔力】 537/537
【スキル】
不屈Lv6
聞き耳Lv7
隠密Lv4
交渉Lv4
怪力Lv3
闇魔法Lv3
【種族スキル】
魔力飛行Lv1
吸血Lv1
霧化Lv1
眷属化Lv1
蝙蝠化Lv1
【称号】
交渉上手 吸血鬼の眷属
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「……なんじゃこりゃ、前まで無かったスキルがあるんですが」
「当然でしょう? あなたは……めんどくさいからギンって呼ぶわね。ギンは私の眷属になったから今ではもう吸血鬼よ? 色々変わるのはむしろ当然だと思うんだけど」
「そういうもんか。まぁとにかくこれならあのクソ野郎を思う存分ぶちのめせるってことだよな?」
実に好戦的な笑みを浮かべている。
仕方の無いことだが吸血鬼に変わったことで気分が高まり色々と抑えが効かなくなっている部分もあるのでしょうね。
「まぁあなたのステータスなら問題はないと思うわ。油断しない限り大丈夫よ」
「そっか、あっ! そうだ! シアのステータスも見せてくれよ!」
さりげなく呼び方がシアになっている辺り他人との付き合い方もかなり上手いことが分かる。
「私のステータス? 何で見せなきゃいけないのよ」
「う〜ん今後の目標的な感じかな。どれくらいを目指せばいいのかの目安になるかもだし、それに俺だってステータス見せたんだからいいじゃねぇか! なぁ見せてくれよ!」
「はぁ……まぁいいわ。見せてあげる」
「“ステータスオープン“」
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【名前】 シア・カミサト
【年齢】 0歳 【種族】真祖
【生命力】 21,788/21,788
【魔力】 88842/88842
【スキル】
闇魔法Lv6
炎魔法Lv5
剛力Lv6
武術Lv3
敬愛Lv10
【種族スキル】
魔力飛行Lv7
吸血Lv5
霧化Lv7
支配の魔眼Lv6
眷属化Lv2
蝙蝠化Lv1
鮮血の覚醒Lv1
終焉の満月Lv1
【称号】
最初の吸血鬼 父に捧げる敬愛 ダンジョンマスターの娘 満月の女帝
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「……ナニコレ」
「あなたが見たいと言ったんでしょう? しっかり参考にするといいわ」
「どうやっても無理だろ……」
ギンは出鼻をくじかれて四つん這いになって項垂れることになった。
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