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少女の涙

そろそろ大きな進展(戦闘)があります。

「帰ったわお父様。あまりしたくもない報告があるの」


もう一言目から不吉だもんね。

俺だってあまり聞きたくない。


「人間共がこの森に攻めてくるそうよ」


……まじかぁ。

いずれ来るとは思ってたけどこんなに早く?

しかしなぜ?

人間達にこの場所はバレてないはずなんだけど。

というか人間共ってシアの苛立ちが現れてるよな。


「何で攻めてくるの?」


「森を開拓して国土を広げるためだそうよ」


あ~そういうことね。

俺達のことがバレて討伐に来るわけじゃないのか。

それならまだやりようはある。


「じゃあ行方不明ってことにしよう。色々と実験体は欲しいしね」


その言葉は思ったよりすんなりと、なんの抵抗も無く口から出た。

そしてそれを全く不自然とは思わなかった。

これもリッチになった影響だろうか。


「そうね……この森の中なら行方不明になっても不審には思わないでしょうね」


「だろう? それよりも彼女は?」


自分のことであると分かったのかビクリと身体を震わせる。

別に取って食おうってわけじゃないんだからそう怯えなくてもいいのに。

……いやそう言えば俺の見た目は骸骨だったか。

そりゃあ怖いわ。


「この子は街で……買った奴隷よ。魔法の才能があったから連れてきたのよ。お父様にあげるわ」


今の微妙な間は何かな?

というか買ったって人身売買?

まぁいいや。

それよりも魔法の才能ね。

確かにこのダンジョンのメンバー以外で魔法が使えるやつは見たことないし貴重かもしれない。

しかしそうなるとどう扱えばいいのやら。

まさか実験で使い潰すわけにもいかないしなぁ。

……弟子として育ててみるか?

うん、案外それがいいかもしれない。

少女の持つ魔力は俺よりも少ない。

どうなるかは分からないけどそれがいいだろう。

逆らうようなら殺すしかない。

せっかく得た2度目の生を邪魔されてたまるか。


「ちょっと魔法を使ってみてくれ」


そう言うと少女は確認を取るようにシアの方を向いた。


「お父様がやれと言ったらやるのよ。覚えておきなさい」


そう言われると少女は小さく頷き魔力を周囲から集め始めた。

そして小さく一言。


「“フレイム“」


すると少女の手から炎の激流が溢れ出す。

それは数秒燃え続けるとふと消えてしまった。

割と火力があるな。

しかし今のを見て分かった。

少女は今()()()()()()()()

少女の操る魔力が赤い色を伴った途端魔力が炎になったのだ。

ふむ、こうか?


周囲から魔力を集めて魔力の色を変える。

すると魔力は瞬く間に炎へと変わり火球が俺の手の中に収まっていた。

これではっきりした。

魔法で、この世界で大事なのはイメージ。

俺は今魔力の色が変わるのをイメージしただけだった。

それだけで魔力は炎に変わったのだ。

これならきっと色々なことができるな。


「お父様凄いわ! どうやったの!?」


シアも興奮した様子で近寄ってくる。

苦笑いしながら今やったことを説明すると早速シアも試し出した。

そしてすぐに成功させると嬉しそうにぴょんぴょん跳ね回っている。

可愛らしいことだ。

少女の方を向くと少女は口を開けて驚いていた。


「お~い大丈夫かい?」


「はっ! 失礼しました!」


慌てて謝る少女になんとなく面白くなりくつくつと笑う。

面白いなぁ。


「君名前は?」


「……奴隷には名前はありません」


「え? そうなの? というか奴隷ね……まぁ名前がないと不便だからなぁ。とりあえず名前を付けようか。あと奴隷からは解放してあげるよ」


「え?」


少女はまた口を開けて驚く。

その様子がまた面白くて微笑む。

少女の首輪にある悪意のある魔力。

これを取り除けばきっと問題はないだろう。

そう思って少女の首輪を掴み首輪に宿る魔力を霧散させる。

すると首輪がガチャリと音を立てて地面に落ちる。


「……え? ……え?」


少女は何が起こったのか分からないらしく困惑している。

そしてようやく理解できたのかボロボロと涙を流して膝から崩れ落ちる。


まぁ落ち着くまでは待とうかな。

名前は後でいいや。


ダンジョンの最下層でつかの間の穏やかな時間が流れていた。





名前は次回付けます。


次回もこの時間に投稿します。

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