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かき氷の日。

 「……よし」

「どうぞ」

「ありがと」


 氷をぶちこみ、押し付けるように回すだけ。力任せにはしない。


「相馬君、私がやりますよ?」

「いや、良い。陽菜は出来上がったやつを良い感じにしてくれ」

「了解です」

「先輩、フルーツはいつでもいけます!」


 台所から乃安の声。

 かき氷機を見つけてきた陽菜が、それを洗って使える状態にしてくれた。

 ならば作るしかあるまい。

 だって暇だから!

 二年生なら勉強しろとか、通知表のためにボランティアでもしろとか色々あるだろう。

 夏休みは受験生にとって重要。一年生からもう受験は始まっているんだ。二年生ならもうセンター想定して動いていなければならないとか。志望校を決めてその本試験の対策をしていろとか。

 だが、まあ、とりあえず今は、冷たいもの食べたい。


「すまん、陽菜、僕、下手だ」


 全然削れない。


「はい、あとはお任せを」


 無表情に少し苦笑いを混ぜは陽菜は僕の代わりにレバーを取った。

 


 「熊さんです」

「……器用なもんだな」


 普通にイチゴシロップと練乳をかけただけのを食べながら乃安の作り上げた熊さんかき氷を眺めて。

 旬はとっくに過ぎ去ったイチゴを摘まんで練乳をかけてたべる。甘い。


「陽菜は……なに作ってるんだ?」

「台湾風のものです。牛乳と砂糖を混ぜて固めた氷を使います。マンゴーも手に入りましたし」

「ほう」


 食べたことは無いが、美味しそうではあるな。

 陽菜が作るものにマズい物があるはずが無いか。まず。


「どうぞ」


 かき氷は二杯目。かき氷に合う果物と聞かれ、まず浮かぶのはイチゴ。話題に上がるのはマンゴー。そう

いう印象だ。 

 ふ、ふわふわだ。

 マンゴーともよく合う。へぇ、これが台湾かき氷。


「なんか、巨大だからって事だと思ったけど、僕らがよく食べるのと違うね」

「はい。弱火で牛乳を温めながら、大体500mℓあたり砂糖大さじ8杯分ですね。溶かして、それから固めます。手間をかけるだけありますね」


 陽菜はせっせと作っていく。


「先輩、次は私が」

「では、お願いします」


 目の前に座る、メイド服姿の少女。

 髪を耳にかけ、自分で作ったものを食べ始める。


「フルーツソースは正解でした。シロップより好きです」

「好き……」


 言葉を飲み込む。

 好きという言葉を妙に意識する。

 乃安がいるんだ。落ち着け。二人きりのタイミングを狙え。


「どうかされました。せ、ん、ぱ、い」


 僕の動揺に気づいたのは乃安だけだ。

 まぁ、気づかれただけで、大分失態なわけだが。

 さて。

 陽菜が妙に張り切って、乃安もそれに乗って、テーブルの上に並んだかき氷たちを、食べ尽くすことで頭を冷やすとしますか。



 




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