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ストラテジー~知略の勇者~  作者: 鷹飛 諒
第一章
20/31

〜戦闘開始〜(2)

お久しぶりです

鷹飛 諒でございます

久々の投稿となってしまい本当にすいません

毎週投稿目指してはいますが現状できていないのでこの作品を楽しみにしてくださっている方々には本当に申し訳ありません。

ひきつづきこの作品を生温かい目で応援していただけたらなと思います。

では!

「突撃いいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ‼」


『うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼』


 勢いのままオレ達は今も増え続けるオーガ共の群れの中へと飛び込んでいく。


 オーガ共も負けじと応戦し、その肉体でオレ達の身長より一回りも二回りも大きい棍棒を振り回す。


 その棍棒の威力を受けるたびジート達の大盾が火花を上げ、激しく揺れる。


 ジート達はそれをものともせず次々とオーガを槍で突き刺していく。


 オレはこれを好機だと思い、一気に突破するため作戦を展開していく。


「魔法部隊! 前列は炎魔法による牽制準備! 後列は騎士部隊に身体能力上昇の支援魔法を詠唱!」


 俺の声に即座に反応して前列の魔法部隊は杖を構え、自身の魔力を杖の先に集中させていく。


「滾れ、滾れ、血よ滾れ。

 栄えある騎士にその力を宿したまえ!」


 後列の魔法部隊は杖を掲げ、詠唱している。


「身体強化!」


 唱えた瞬間、騎士たちの体が淡い緑に光り、光った途端に騎士の突進力が目に見えて上がったのが分かった。


「なんなんだこの人間どもは⁉」


 オーガは激昂するように叫びながらオレ達を恐れ、腰が引け、じりじりと下がっていった。


「炎魔法発動!」


 オレはその瞬間を見逃さず、前列の魔法部隊がオレの声でメラメラと燃え盛る炎の球を撃ちだした。


 炎の球は先頭のオーガ達の顔に直撃し、バランスが崩れたことで他のオーガとぶつかることで混乱が生まれる。


「突き刺せえええぇぇぇぇぇぇ‼」


「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」


 ジート達はここが好機と言わんばかりにどんどんと足を速め、獰猛な獅子が獲物を狩るかの如く、オーガ達を襲い、突き刺していく。


「うがあああああぁぁ!」


 オーガの悲痛の叫びが洞窟内に木霊して、ジート達は興奮していき、前へ前へと進んでいく。


 ジート達は興奮のあまり、前のめりになり目前の敵にだけ意識が向いているようにオレは見えた。


「おい! あんまり前に行き過ぎるな!」


 オレが叫ぶ時にはもう遅く、オレの視界には奥からぬっと顔を出すように大きな影が飛び出してきた。


――ゴオオオオオオオォォォォンッ‼ 


 洞窟内に木霊し、オレの頭を揺らす轟音と共にオレよりもずっと先に進んでいたはずのジート達がオレの足元にまで吹き飛ばされ、転がっていた。


「家畜の分際で散々暴れてくれたなぁ、ああ?」


 ジート達を吹き飛ばした大きな影の正体は今までに相手した奴らとは一回りも二回りも大きいオーガだった。


 ほかのオーガがだらしない弛んだ体をしている中、そのオーガは筋骨隆々をそのまま形にしたほどの肉体

をしており、杭のように大きく鋭い棘が至る所に生えた棍棒を振り回している。


 装いも他のオーガは腰布一枚に対し、そのオーガは鞣した狼の毛皮を首にかけ、肩には巨大な牙のような鋭い骨が横に飛び出している肩当てをしている。


 その肩当ても相まって余計に体が大きく見え、威圧感と殺気がピリピリとオレの肌を焼く。


 言うまでもなく、こいつがリーダー格だ。


「お前ら大丈夫か?」


 オレはオーガに眼を離さずにジート達に声をかけた。


 ジート達は呻きながらもぞろぞろと立ち上がり、槍を構える。


「ああ……なんとかな」


「ここで倒れたら、マリーに合わせる顔がないですよ」


 ジートとマルコが呟き、オーガ達を見据える。


 見たところ大した怪我はしていないようだ。興奮状態で前のめりになり過ぎてはいたが、ファランクスの感覚を身体に叩き込んだために無意識の中でも陣形を崩さなかったようだ。


「ぶっ飛ばされて目は覚めたか?」


「面目ねぇ」


「油断大敵、だね」


「自覚したんだったらそれでいい」


 トンパとワイリーが申し訳なさそうに言うと、オレはそれ以上は不要だと諫め、目の前の敵に集中させた。


「お前らここからが正念場だぞ。こんな序盤早々にボスキャラが自ら出向いてくれたんだからな。少々計算外だが予定通りにいくぞ」


『おう!』


 オレはジート達の歯切れの良い返事を聞くと目の前のオーガを睨みつける。


「お前がオーガの長の一人か」


「人間が……口の利き方には気を付けろよ。このオーガの長である俺様を舐めてっとただじゃあ死なせねぇぞ」


「はっ……これから死んでいく奴のために口の利き方なんて気にするわけねぇだろ」


「家畜如きが……ご主人様を睨みつけてんじゃねぇよ……」


 オーガは肩にはめた骨の装備を鳴らしながら棍棒を大きく構え、唸る。


「生憎、オーガのご主人様に調教してもらうほど欲求不満じゃあないさ」


「ほざけっ‼」


 オーガは獰猛な笑みを浮かべながら、勢いよく飛び出す。


「食い殺せえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」


「ウガアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」


 先に飛び出したオーガの長を先頭に次々とオーガがその後に地響きのような雄たけびを上げながらそれに

続く。


「進めえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」


「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」


 オレ達も負けじと雄叫びを上げながら、飛び出した。


「魔法部隊全体は炎魔法で後続を牽制!」


 魔法部隊は詠唱せずに魔力を杖先に集め、次々と炎の球をオーガに目がけ打ち出している。


「騎士部隊! 身体強化の魔法を解くんじゃねぇぞ!」


 指示を飛ばしながら、オレもいざというときのための魔力を自分の中で練り上げる。


「ガハハハハハハッ‼ どうしたどうしたぁ! 手ごたえがまるでねぇじゃねぇかぁ!」


 オーガの長は巨大な棍棒を振り回し、ジート達をどんどんと押していく。


 ほかのオーガも勢いづき、どんどんとジート達目がけ押し寄せていく。


 ジート達の目の前にはどんどんとオーガ共が迫り、オレの視界すらもオーガでいっぱいになっていた。


 それにもかかわらずジート達はその怒涛ともいえる攻撃をしのぎ切り、どんどんと数が増えていくオーガに決して負けず、少しずつ後ろに下がりつつも善戦していた。


「くそっ、どうなってやがんだ……」


 オーガの長も自分の攻撃が全く通じてないことに気が付き始めたのか、その違和感に顔を歪ませた。


――もう少し、あともう少し。


 オレはジート達との呼吸を合わせるかのように今目の前で起きている激戦を見つめている。


 火花散り、殺し合うこの光景から一際大きい火花が鋭い鋼の音と共に弾けた。


――今‼


 オレは勢いよく駆け出し、ジート達とオーガの間に割って入る。


「死ねえぇぇぇぇぇぇぇ‼」


 オーガ達は興奮したように、棍棒を大きく振りかぶりオレ目がけ豪風を起こしながら振り下ろす。


 しかし、その棍棒はオレに当たることはなかった。


 その刹那――オレは肺にいっぱいの空気を溜め、それを音にして外へと吐き出した。


「くぅたぁばぁれえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」


 地面が、洞窟自体が大きく揺れるほどの轟音とその衝撃に次々とオーガ達はよろめき倒れる。


――|《軍師の咆哮》《クリーガーブレン》


 そうオレが名付けた|《軍師の声音》《クリーガーシュトゥム》よりさらに大きい声を出すだけのこの技は、この反響する洞窟内では予想以上の効力を出してくれたようだ。


 その中でも真正面からその衝撃を受け、耳から血を流しながらも立ち尽くしたまま倒れないオーガの長は敵ながらあっぱれだと思う。


「せめてもの情けだ……オレが終わらせてやるよ」


 オレは槍を握りしめ、震える手に力を込めてオーガの長の胸へと突き刺した。


 硬直したままのオーガの体はオレが突き刺したことで後ろに傾き、煙を立てながら倒れていった。


 オレの手からすり抜けた槍はオーガが倒れた衝撃で小刻みに震えていた。


「大丈夫か、和人」


「ああ……」


 ジートがオレの肩に手をやり、心配そうにオレの顔を覗き込んでいた。


 知らぬうちに息が切れていた。


 オレは屍となったオーガから槍を引き抜き、血をその体に浴びる。


 頬についた赤黒いその血を拭いながら、亡骸のオーガを見下ろす。


 見下ろしていると、自分が手を下したという事実に罪悪感と恐怖心が沸々と湧き上がってくる。ゴブリンを殺したときとはわけが違う。自分の中から沸き起こる感情に目を向ける余裕も時間もない、ただ無我夢中で頭と体を働かせて戦ったあの時とは打って変わって殺すと決意してから手を下すのは感覚も感触もその瞬間に直に伝わってくる。正直、相手が悪であっても気持ちいいものじゃない。


 ふとジート達に目を向ける。


 ジート達は黙ってオレを待ってくれていた。支えるように見守るように、ただオレを待っていてくれた。


「すうぅぅぅ、はあぁぁぁぁぁ……」


 この感覚は簡単には慣れることはできないし、本当に慣れるかも分からない。でも、乗り越えなきゃいけないもの。受け入れなければいけないものだということは分かる。


 オレは深く深呼吸をし、前を見据えた。


 視界に続くのは倒れたままピクピクと痙攣するだけのオーガの数々。


 乗り越えるべき障害はまだまだ残っている。今は一つずつ潰していくだけだ。


「とどめを、刺すぞ」


 オレはまた槍を強く握りしめた。



 




最後まで読んでいただきありがとうございます!

誤字脱字、感想など気軽にお書きください。

ひきつづき毎週投稿目指して頑張って行くので応援よろしくお願いいたします!

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