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夢想の瑞希  作者: 木崎 しの
神父編
43/66

祈り

「失礼します。」


相変わらず乱雑な部屋に踏み込む。


「お前か。何の用だ。」


「お聞きしたいことがありまして」


「珍しいな。まぁいい。話せ。つまらん話なら答えず追い出す。」


即追い返さない当たり、今日は機嫌がいいらしい


「最近死人が蘇ったという話を耳にしたのですが、何か心当たりはありませんか?」


「調査中だ。瑠璃に調べさせている。」


顔を観察するがいつもの何の感情も読めない無機質な顔。


「分かっていることを聞かせて頂けませんか?」


「能力による蘇生。それだけだ。分かっているのは」


「能力?」


「あぁ。おおかたお前らのような奴が蘇生させた。というところだ。」


蘇生までできるとは聞いたことも見たこともない。


「そんなこと出来るのですか?」


「大量の幻があれば可能だろう。現にこの組織内でも何人か蘇生したのが確認されている。お前の元にいる女もその一人。」


「…知っていたのですね」


「当然。隠せていると思ったのか間抜け。お前は底なしの間抜けだな。」


知っていて何も言わなかったということは、こちらで預かっていてもいいのだろうか。


「こちらで、二人。既に蘇生した人間を確保し瑠璃に調べさせている。あの女はお前が世話しても構わん」


「それと最近原因不明の衰弱死が確認されていますが関連性は?」


「調査中だ。恐らく関係あるだろうがな。」


所長が内ポケットから煙草とライターを取り出し吸い始めた。


「まだ聞きたいことはあるか」


「いえ、全て聞けました。」


「先ほどお前らが話していた対抗戦だが、勿論お前は出す。鍛錬しておけ。負けは許さん。」


何処で聞いていたのだろうか。


「承知しています。」


「話は終わりだ。下がれ」


「失礼します。」




「甘いな」


飛んでくる銃弾を弾き落としながら接近する。


「ひ、ひぃ!」


また一つ命の灯火が消える。また一つまた一つ。もう数え切れない。そして最初から数えていない。


「あ、悪魔だ!悪魔だ!逃げろぉぉぉ!!!」


その名前を聞くのも何度目だろうか


「ぐぎゃぁぁぁぁぁ!」


叫び声が悲鳴でかき消される。


「お前はそっちから回れ!」


「く、来るなぁァァァァ!」


作戦に最早意味は無い。足元も覚束無い赤子が作戦を立てたところで大の大人には勝てない。それと同じだ。ここにいるのは


「く、来るな!悪魔!」


「もう、どうでもいい。」


また一つ真っ赤な花が咲く。

かなりいたはずの人間がこの地で消えた。この地に呑まれた。

それも消えるのに数分もかからない。ここでは人の命などゴミ同然だった。

僅かに生き延びた者もいたかもしれない。だが誰もそれの姿をはっきりと捉えていない。ただ


「何か訳の分からないものに殺された。何もかもが」


そんな認識しか出来ないほどにそれは速かった。

満足に目で追うことすら出来ない。それほどの絶対的な戦力差だったのだ。

共に戦場を駆けた仲間と背中を合わせる。


「…悪いことをした…」


新たな戦友が語る。だがそこに絆はない。だがそれでもやはり戦友なのだ。


「しゃあないよ。生きるために殺すしかない。」


そんな答えしか返せない。

辺りは血で染まっていた。地面など見えない。そんな中で吸う空気はやはり不味い。


「それでも、彼らにも生きるべき日常があったはずなのに、俺は…」


刀にへばりついた血を布で拭き取りながら会話を続ける。


「そんな偽善は捨てた方が身のためだ。」


「なんだと!」


「お前はどうして刀を取った。お前が取っていなければ俺も偽善とは言うまいよ。」


「…それは、あいつをお前らを殺すためだ」


背中越しだが確かな殺意を感じる。すごい恨まれているのだな俺は


「俺、お前に何かしたか?」


新たな戦友拓磨に声をかける。


「逆恨みだ。あんたは知らないしこれからも知らなくていい」


「まぁいいさ。恨まれるのは慣れている。」


「あんたに背中を預けるのも一時的にだ。時が来れば俺はあんたを殺す。」


「まぁ、頑張れよ。」


今日殺したのは非合法組織の構成員。そんな奴にも罪悪感を抱くなど、なかなかの聖人だなこいつも。


「…あんたはどうしてこんな事が出来るんだ」


拓磨が訊ねてきた。


「目的があるから。止まるわけには行かない。止まらないし止まれない。これまで犠牲にしてきたやつのためにも。」


「…善性を殺してまで何をしたいのだ」


決まっている。


「死者の蘇生」


「そんなこと出来るわけないだろう」


「信じるのは俺たちの基本だぜ。出来る出来ない思うのは勝手だ。だがやる時には信じるし成功する自分しかイメージしない。」


そう、俺たちは成功する自分しかイメージしない。


「成功したのか?」


だが、それでも信じるだけでは叶わぬ境地も存在する。


「ダメだよ。」


「あんたにも出来ない事ってあるんだな。」


「俺は神様じゃない。そりゃあるさ。攻撃を貰えば傷つくし、限界値を超えれば死ぬ」


俺はそれだけの存在だし、その程度の存在でいいと思っている。


「良かった」


「何が?」


「あんたを殺せるって確信出来たから」


「それは余計なこと口走っちまったな」


苦笑する。


「そういえば、あんたはどうしてあの組織にきたんだ?」


「悪いけど俺はその辺りの記憶がえらく曖昧でな。気付いたらあの施設にいたんだよ。」


「外の世界から来たってことか?」


それすらも分からない。俺にあるものなんてこの施設で過ごした記憶だけだ。


「分からねぇ。ただ、気付いたらあの施設にいた。記憶がないんだよ俺。自分がどこから来たのか自分の本当の名前すら分からない」


「瑞希ってのは本当の名前じゃないのか?」


「分からない。気付いたら俺はそう呼ばれていただけだ。お前はどうなんだ?」


こいつはどこからきたのだろう。


「俺はいつもどおり学校に行って…気付いたら薄暗い部屋にいた。」


「ふーん。大変だな」


「ふーんってそれだけか?」


「俺に当たられても困る。俺が連れてきたわけじゃないし」


「お前らのせいで何人死んだと思ってる」


「さぁ?」


「あんた巫山戯てんのか?」


「いや。別に。そもそもどっかの知らない誰かが何人死のうがどうでもいいし」


「あんたなぁ!」


胸ぐらを掴まれた。


「人の命を何だと思ってるんだよ」


「何とも。道端に落ちてる石ころを見ても何も思わないだろう?まぁ誰もが幸せになれる世界ってのもいいと思うけどね。できたら俺もそれがいいけど無理だ。それに俺に当たったところで亡くなった者は帰ってこないぞ」


「分かってる。でもあんたを殺してやりたくて仕方ないんだよ」


顔に唾がかかりそうな勢いで言われる。


「ここでやるか?俺の圧勝だぞ?」


「やってみなきゃ分かんないだろ」


こういう考えは命を縮めるだけだな。


「分かる。この世界で生きていきたければ差についてもう少し理解した方がいい」


「…くそっ!」


強引に突き放される。


「まぁ、その気持否定はしない。俺も昔は馬鹿げた思想を持っていた。結局そんなものこの世界では何の価値もなかったが」


本当に一銭の価値もない。


「あんたに理解されてたまるかよ。ずっと温室育ちのあんたにだけは」


「お前から見た俺は温室育ちか?」


「あぁ。」


「まぁ、そうかもな」


ここに来てからのことを思い出す。確かに他の奴らと比較して贔屓されていたのかもしれない。


「俺はあんたと分かり合うつもりは無い。あんたがどれだけ強くても俺は迎合するつもりもない。俺とあんたはどこまで行っても交わらない平行線だ。こうして手を組むことはあってもそれは一時的なもの。」


言われなくても分かっている。


「俺がお前になにかした記憶はない。が恨みたければ恨めばいいし殺しに来たければ殺しにくるといい。だが俺は止まれないし、自分のなした事を間違いだと思わない。俺は正しい事をしてきた。そのつもりだ。お前のために折れてやるつもりは無い。お前が殺す気できた時は俺もお前を殺す。だからその時は決死の覚悟でこい。それともし俺以外に危害を加えるなら俺も黙っては見ていない」


「分かってる。俺の狙いはあんただけ。あんた以外に手出しするつもりは無い。」


この時俺と拓磨は奇妙な約束を交わした。




次の日


「ここから先は立ち入り禁止だ。お引き取り願おう」


頭をかく。話が通っていないのかもしれない。


「組長に用があるのですが。通して頂けませんか」


「何を言われようが不可能だ。お引き取り願おう。」


さっきからこの一点張り


「事前に訪ねることは連絡していたのですが、話は通っていませんか?」


「そんな話は聞かされていない」


「組長に確認を取ってもらうこともできませんか?」


スーツの男は少し悩んで口を開く。


「お名前は?」


「東條。」


「少し待っていろ。」


黒服はようやく自分の端末で連絡を取り始めた。


「こんなもので大丈夫なのか?」


隣に立つ唯が至極当然の事を呟いた。


「さぁな」


なんて話をしていると黒服がようやく端末から顔を離した。


「失礼しました。確認したところ確かに連絡があったようです。こちらの不手際で申し訳ない。」


「いえ、構いませんよ。」


「ご案内しますのでこちらへ」


黒服がようやく門を開け俺たちの案内を始めた。


門の中に入ると広がるは広大な庭。地面は石畳。それに池があったりよく分からん建物があったり、とにかく、普通の家ではない。

その石畳の庭を半ばまで進んだその時


「よう。瑞希。久しいな」


時代錯誤な衣装に身を包んだ恰幅のいい男性が現れる。その横にはガタイのいいボディーガードが一人


「ご無沙汰しております。」


「よいよい。そんなに畏まるな。家族であろう。」


「勿体なきお言葉」


「盃を交わした仲であろう。」


不敵な笑みを浮かべる男性。


「それでも恐れ多い。」


「まぁよい。追追慣れてくれ。」


男性が懐から葉巻を取り出し吸い始める。


「して今日は何用なのだ?お前のことだ。世間話をしにきたわけでもなかろう?またあの男の名代としてきたのか?」


男性が歩き出す。歩きながら話そうということだろう。


「そうです。御無礼をお許しを。」


「何を言う無礼なのはこちらだ。話を通しておかず門前ではすまなかったな。てっきりあの男が来るものかと思っていた」


「いえ、こちらこそ毎度名代の私で申し訳ない」


「あの男結局1度も俺の前に姿を見せなかったな。」


目の前の男性平岡組組長、平岡 剛は少し不満そうだ。無理もない。この暴力団と所長が手を結んだ時から1度も所長はこの男と顔を合わせていないのだ。


「そうだ。瑞希、あの男の元を離れて俺の元で働くつもりは無いか?」


「私はあの男に拾われた身裏切ることなどできません」


「相変わらず律儀な男だなお前も。だが、そこがいい。」


とある部屋の前で止まると平岡が扉を開け中に入る。俺もそれに続く。


「まぁかけてくれ」


「失礼」


平岡の対面のソファに腰掛ける。


「その女は伴侶か何か、か?」


平岡が冗談めかして訊ねてくる


「ご冗談を。ただの仲間ですよ。」


答えてから本題に入る。


「所長がこの辺りの地図を頂けないか、と。」


この場合の地図とは個人情報も含んであるものだ。そこに住む人間の情報も事細かに書かれている。


「何に使うつもりだ?」


平岡が鋭い目で睨んでくる。

個人情報の塊だ。流石に慎重らしい。


「住民の確認と申しておりました。ここ最近行方不明者が出ていたりで増減した結果の人数などを調べたい。と」


「了解した。用意させよう。ただし、約束を違えた場合は分かっているだろうな?」


「承知しております。」


「それならよい。」


平岡がボディーガードに指示を出すとそいつは無言で頷き部屋を出ていった


「用件はそれだけか?」


「だけです。」


「そうか。」






「瑞希」


「どうした?」


巣穴にいる所長に平岡から受け取ったものを渡すと唯に呼びかけられた。


「これから暇か?」


「暇だが」


「その、」


唯の顔を見ると少し言いにくそうにしている。


「どうした?」


「その、ベルのところへ行かないか?」


「どうして」


「祈りたいんだ」


「構わんが」


「じゃあ行こう」


「あ、あぁ」




「おやおや、どうしましたかお二人で。」


神父は笑顔で出迎えてくれる


「唯が祈りに来たんだとよ」


「それは良い心がけですね。どうぞ、椅子は幾つでも空いていますので」


「それでは失礼する」


唯は律儀に断ってから椅子に座ると祈り出した


「瑞希さんはしないのですか?」


「俺が何かに祈る人間に見えるか?」


おきまりのセリフ。祈るとすれば自分自身にだ。


「見えませんね」


苦笑しながら、これもまたいつもの返し


「そういえば、あんたはいつから神を信仰するようになったんだ?」


誰とて生まれておぎゃーと泣いてるうちから神に祈ったりはしないだろう。俺は単純に切っ掛けが知りたかった。


「…兄を殺した時ですよ」


神父がバツの悪そうな表情をする。


「殺した?」


「はい。私はこの手で兄を殺めました。本当に大切で、何よりも大切だった兄を。自らの手で」


「不躾だったな」


まさかそんな話を聞かされるとは思わなかった。


「いえ、全て話しましょうか。この話を聞けば瑞希さんにも神に祈ることの大切さが伝わるかもしれません」


そう言って神父は自分の過去を話し始める




私と兄のラルトゥリーチェ、愛称はラルです。は裕福でも貧しくもなく普通の家で生まれました。でもその家での生活はとても楽しかったと記憶しています


「ベル!次はあの木まで競走だ!」


「待ってよ!ラルにぃ!」


その日も兄弟で競走していました。年の差かいつものように兄が勝って終わります。

当時兄は村一番の秀才とされていました。勉強も運動もかなり出来たと思います。


「ラル、また学年一位だったのね。すごいわ!」


「えへへ」


そんな兄を父母は宝のように扱ってくれました。対して私は何も出来ず、兄は愛を受けている一方私はいつも愛を受けられませんでした。


そんな日々を過ごしていたある日それを行いました。


「我が神よ。僕を一番にしてください」


藁にもすがる思いで神に縋りました。


「なんてね。なるわけがないよね。」




私はその祈りを日課にしました。とにかく何かに縋りたかったのです。兄のようになりたい。愛されたい。それしか胸中にはありませんでした。


「ベルお前なにしてんの?」


ある日日課の途中に兄さんが入ってきました


「神様にお祈り」


と私が答えると


「ばっかじゃねぇの。神様なんているわけないじゃん。神様のばーかばーか。間抜けあーほ。悔しいなら言い返してみろー」


なんて言いながらゲラゲラと兄は笑ながら去っていきました。それがとても悔しくて、悪ふざけだとしても神を冒涜する行為だと当時の私は思いました。そして私が願ったのは


「あの者に神罰を」



次の日です。


「ラル遅いわね」


「どうしたんだろうな。」


食卓で父母が話していたのを聞きました。会話から察するにもう夕食も始まるというのにラルが帰ってこないみたいです。


「遅すぎる。探しに行こう。」


「えぇ。ベル。待っててね」


父母はどうやらラルを探しに行くらしいです。


「分かった」


私は出ていく父母は見送りました。






「ただいま、ベル」


父母が帰ってきたのは深夜。

その顔は捜索の疲れからかよくはありませんでした。いや疲れだけのせいではなかった、当時の私でもそう思いました。

そして彼らの隣にラルがいない事で私は事態を察しました。


「…ラルが死んだよ…」


父の呟き。それを皮切りに母親はダムが決壊したかのように泣き出した。


「なんで、あの子が…どうしてあんなにいい子が…」


その日のことはそれ以上覚えていません。何よりあんなに優秀だった兄が死んだことが本当に衝撃的でした。




次の日村人達の話を盗み聞いていると、どうやらラルは何者かの手によって殺されたそうです。

しかも頭頂部から股下にかけて真っ二つにされるという殺され方をしたらしいです

もしかしたら私が神に祈らなければラルは死ななかったのかもしれません。

そう思うと私がラルを殺したようなものです。同時に私は神の実在を確信しました。

そして私が神に祈ることで何かが起こるのだ何かが起きるのだとそう思いました。

そう私には特別な力があるのだ。




「なるほどな。それがあんたが神を狂信している理由か」


「はい」


「なら神の存在を否定している俺もそろそろあんたに殺されるのかもな。」


「それはありませんよ。言ったでしょう。貴方を愛していると。私は2度とあのような過ちは犯しません。もう誰かを殺しなどしません。あれが最初で最後です」


そう語る神父は悲しそうな顔をしていた。


「ふぅん」


神父の話にはいくらか引っかかるところがある。まずそもそも本当に神に殺されたのか、というところだが。どうなのだろうな。俺は偶然だと考えているが。確かに神父の信仰している神は存在するかもしれない。しかしいたとしても直接手を下すとは考えにくい。俺たちブレイカーは神と契約することがあるが力を借りるだけで神が直接何かをすることはほとんど無い。というよりそんな前例聞いたことがない。


「それは兎も角、どうしてあんたはこの組織にきたんだ?あんたの理想や思想ならここは酷く居心地悪いだろ」


神父は悩んでいるような表情をしている。答えを選んでいるようなそんな表情だ。


「そうですね。特に理由はありません。所長に誘われたからです。」


「そんな理由で来たこと後悔しただろ?」


神父は首を横に振る


「こうして貴方達に出会えたのです。後悔などするわけが無いでしょう」


「む、そういうものか」


「はい。そういうものです。」


「あんたも変人だな。俺みたいなやつに出会えたことでここに来たことの後悔全て無くなるとは」


「そう自分を卑下なさらないでください。瑞希さん。貴方はとても良い人ですよ」


「俺がいい人なら世界中の人間が聖人様だ。っと前にも言った気がするな」


「そうでしたか?私も記憶力が弱くなったものですね」


とそこで唯が祈りを辞めたらしい。俺たち二人を見ている。


「二人はそんなに仲良かったか?」


「そんなに」


そう仲良しに見える光景でもなかったと思うが。


「そこは仲良しです。と答えてくださいよ瑞希さん」


とほほと割としょんぼりした顔をする神父


「私はベルのことが好きだぞ」


「私もですよ唯さん。ほら瑞希さんも見習ってくださいよ」


唯に答えてから神父は俺の方へ向く。が答えは決まっている


「やだよ。気持ち悪い」


「残念ですね。そういえば聞きましたか?」


「何を」


いきなり聞きましたかと言われても意味が分からない


「十天が正式に決まったそうですよ」


「へー」


「へーって興味ないのですか?」


「あまりないな」


「…今度は私から質問いいですか?」


神父の表情が変わる。いい予感はしないな。断っておこう。


「だめだ。」


「そうですか。」


あっさりとひいた神父悪いな。



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