日本語は亡くなりました。
森を抜けると、歴史博物館で見た民家?が目の前に数軒ございました。
集落は木の柱で囲われ、扉の無い門があった。
歴史には詳しくないので、一番古く知っている時代よりも古い民家。
詳しく伝えたい、歴史的建造物だ。
そうだ!好きなマンガで読んだ、北海道民族アイヌの家「チセ」に近い。
そうか、ここ北海道か。
本州からの開拓前に来たのか。
試された台地で、閻魔に刑期を試せと。
前世は網走だったのかな?
集落の道では子供たちが仲良く遊んでいる。
あずささんが門の前に近づくと、
子供たちに向かって、チセに入れと叫ぶ。
慌てて子供たちが歴史的建造物に入った。
あーほんとに家の事はチセって言うんだ。
知ってる単語があると人間嬉しいものですね。
門を通り、中でも一番大きくいい感じのチセの前で、
あずささんが、お前ここで待て、長と喋る。
そう言って、中に入って行った。
長の家はやはり大きいのね、さすが長。
長と話す、入れ男。
俺、清血です。
俺はまだあずささんに名前覚えてもらえてない様だ。
ん、入れ。
お邪魔しまーす。
長と対面。
年は中年。
服はあずささんと同じくシカ製。
靴も強化版わらじ。
頭にはたぶんウサギかリスのモフモフ帽子。
中年太りよりはスリム。
座ってるので身長は分からない。
あずささんは長の横に立つ。
武器を持って。
そりゃ警戒しますわな。
頭を下げ、とりあえず正座。
質問したいが、まず、長の質問を聞こう。
長が語りだす。
すごく長いの話だったのと、ちょくちょく分からなかったが、要点を三行で。
お前は受け入れてもいいが、働け。
チセは自分で作れ、道具は貸す。
悪い事をすると殺す。
分かりました。頑張ります。
そう言って、頭を下げる。
こちらからも質問いいですか?
長、ゆるす。
では質問です。
日本ですか?
今何時代、何年ですか?
他の集落はありますか?
ホントはテレビとか電気ありますよね?
えっとえっと…
すると、あずささんにいっぺんに質問するなと怒られた。
にほんじんだ名は長。
おーここ日本か、良かった。
族長の名前が長って。
あずささん族長呼び捨てだったんだな。
じだいは知らない。
他に集落は無い。ここだけ。
てれびでんきは知らない。
おっと、そう来たか。
厳しい世界に来たな。
追加質問だ。
ここの人以外に人間はいますか?
にんげん知らない。
おっと?人間を知らないとは?
えっと、
ここには、大人人間8人子供人間5人ですよね?
にんげんは知らないが、大人にほんじん8人子供にほんじん5人だ。
なぜ人間が通じない?
日本語ですよね?
長はにほんごではない、長はにほんじんだ。
おっと、日本人が長は分かる。
日本語は亡くなりました。