エビ杉君はお坊ちゃまなのです
<SIDE エビえもん>
どうも、エビえもんです。
あ~今日も平和だなぁ。
2匹のメスエビが、1匹のオスを巡って争ってるよ。
あはは、つばぜり合いの音まで聞こえてきた。(気のせい)
エビ太君、すっかり怯えてお菓子の空き箱に隠れてる。
けど。
ざんねん、見つかっちゃった♪
「エビ太さん!!」
「エビタ!!」
どぴゅーんっ!!
『待てエビーっ!!』
ところで。
僕の隣の席には正真正銘、純粋培養温室育ちのお坊っちゃまが座っている。
無口で無表情な、それでいて真面目のお手本みたいなお堅い若い刑事。
そうだ。彼をこれから【エビ杉君】と呼ぼう。
エビ杉君は無言で、エビ達のドタバタ喜劇を見つめている。
「どうしたの? エビ杉君。何か言いたそうだね」
「……自分は、そういう名前ではありませんが……」
「そんなことはいいんだよ。で、なぁに?」
「エビえも~ん、助けてエビーっ!!」
「あ、ちょっとごめんね」
僕は仕方ない(笑)のでエビ太君を保護した。
「うぅ~……怖いエビよ~……」
「何言ってるの、エビ太君。ハーレムじゃないか。羨ましいなぁ~」
すると。
「……以前から不思議だったのですが……ハーレムと言うのは、羨ましいものなのですか?」
と、エビ杉君。
「……」
「そもそも、同時に複数の女性を愛することなど可能なのでしょうか?」
そう来たか。
誰かチーレム書いてる人、彼に教えてあげてよ。
「エビエモン、エビタヲコッチニヨコシナ!!」
「エビえもん様、邪魔なさらないで!!」
おっとっと、メスエビ達がこっちを睨んでる。
「エビ―っ!!」(涙)
ああ、もう仕方ないな。
「はーい、そこまで。エビ太君が怖がってるから、2人ともやめなさい」
「うるさいエビっ!!」
かちん。
その時、僕の頭にものすごいナイスアイディアが閃いた!!
うぉっほん。
「2匹とも、そこに座りなさい」
「……」
「もう、そんなにケンカするならエビ太君を2つに切って半分こにするよ?」
「エビぃィィィ――――っ?!」
「そしたら公平だし、丸く収まるじゃない?」
あれ、この話どっかで聞いたような……。
メスエビ達は互いに顔を見合わせている。
そして。
『じゃあ、そうして』
うそ……。
「君達、ほんとにそれでいいの?! そんなことしたら、エビ太君がどうなるか、考えたことある?!」
「だったら」
「エビえもん様が決めてください」
「……何を?」
『私達のどっちがエビ太に相応しいか』




