エビ美の苦悩
初めまして、エビ美と申します。
いろいろな深い事情があって、現在、広島県警捜査1課備品としてお世話になっております。
「ねぇ~エビ美ちゃん。最近、エビ太君とはどうなの?」
他の皆様から【うさこ】さんと呼ばれている、唯一の女性刑事は、いつも私をランチに誘ってくださいます。
そして、ご友人の鑑識子さん。
いずれも本名は存じ上げません……。
女性が集まると必然的に始まるのが【恋バナ】でございます。
私も決して、嫌いではありません。
でも、エビ太さんのことでは最近少しだけ、悩みがあります。
だけど。私の前でエビのトマトクリームパスタセット(サラダ、コーヒー付き900円)を召し上がっているお2人に、
あまり詳しいことはお話したくありません……。
「はぁ~、でも羨ましい。彼氏がいて。私なんて、あれから和泉さんとは何の進展もないわよ。一ミリもよ?!」
鑑識子さんがぼやきます。
「和泉さんって、誰だっけ……?」と、うさこさん。
「はぁ?! あんた、何言ってんのよ!! 仲間でしょ?!」
「あ、エビえもんのことかぁ……いやぁ、最近ずっと【エビえもん】って呼んでたら、本名がわからなくなっちゃった」
そうでした、確かエビえもん様の本名は……。
「それよりエビ美ちゃん、最近なんだか、ちょっと元気なくない?」
「何、彼氏からモラハラされてんの?!」
「……いえ……」
私には以前からずっと、気になることがありました。
それは。
寝ても覚めても『隊長さん』って……エビ太さんは私と隊長さん、どちらが大切なのでしょう?
それは、隊長さんはとっても素敵な方です。
オネエだという事実は差し引いても。
気になるのは、それだけじゃありません。
「そうそう、こないだね! エビえもんがまた妙なエビを連れて帰ったのよ……」
プーさんのことです。
ご本人(?)は【プーさん】とお呼びすると、激ギレされますが……。
プーさんはなんと言いますか、コミニュケーションがあまりお上手ではないようで、
エビ太さんが気を遣って一生懸命話しかけてもまったく愛想のないお返事ばかりなのです。
でも。
彼女はきっと、見知らぬ国にきて戸惑ったり、緊張してるだけなんだよ。
エビ太さんはそう、とても優しいのです。
そういうのが私としては、少し苦しいのです……。
それはさておき。
女性の会話と言うのは、とかく飛躍するものです。
いつの間にか私とエビ太さんの話はどこかへ行ってしまい、昼休憩の時間は終わりました。
それから刑事部屋に戻った時です。
いつもなら、私とエビ太さんが並んで座る席に、プーさんが座っていました。(100円のお皿ね)
「ちょっと、そこはエビ美ちゃんの席でしょ?!」
うさこさんが言い、お皿からプーさんを引っ張り上げようとなさいます。でも。
「あれ? 取れない……なんで?!」
「さっき接着剤つけたからさ~」
「何やってんですか、あんたは!!」
そして。
うさこ苦肉の策↓
組体操みたい……。
「エビ美ちゃん、そこに座りなよ。僕は他に移動するからさ」
ふよふよ~。
エビ太さんはそう言って、書類などを保管するキャビネットの上に登っていきます。
そこは年末にならないとお掃除をしない、埃まみれの場所です。
「私も……エビ太さんのお傍がいいです」
「エビ美ちゃん……」
すっ、と並んだ私達の下にハンカチが敷かれました。
隊長さんです。
隊長さんはとっても優しい人です。
しばらくして。
「あれ?! ねぇ、僕のハンカチ知らない?!」
突然、エビえもん様が大騒ぎを始めました。
「知りませんよ、そんなもの……」
「大切なハンカチなんだよ?!! 僕のマイハニーが初めてプレゼントしてくれた、思い出の!! よく探してよ、紺色の地に水色のストライプが入った……」
まさか。
……。
隊長さんはとっても優しい人です……たぶん。
……以下次号!!




