ラブレターフロムロシア~♪
僕の名前はエビえもん。
本名は……以下略。
僕はいま、流川に来ている。
流川って言えばね、中四国地方最大の繁華街と言われる街で、飲み屋さんや風俗店が集まるところなんだ。
東京で言えば新宿歌舞伎町、大阪ならミナミ(だよね?)岐阜なら柳ケ瀬、名古屋なら栄ってとこかな。
言っておくけど僕は飲みに来たんじゃないよ?
仕事だよ、仕事。
今月は最近増えてる、不法就労している外国人を一斉摘発しよう強化月間なんだよね。
でもそれ、捜査1課の仕事じゃないから。
人手が足りないから手伝ってくれって言われて、ウチにお鉢が回ってきたんだけど……話が出た途端にブーイングしたら、
僕に白羽の矢が立った……って言う訳。
と、いうことで。
僕は仕方なく、むさ苦しいおっさん達に囲まれて、店内突入のタイミングを待ってる訳。
今日のターゲットは主にロシア人を使っているパブ。
ロシア人って、肌が透けるように白くて、蒼い目と薄めの金髪っていうイメージなんだよね。
まぁ、そんなことはさておき。
あ~あ、早く帰りたいなぁ……。
「よし、合図をしたら突入だ」
無線機を通して、よその班長さんの声が流れてくる。
「3、2、1……行け!!」
ドドド……。
「はい、警察~!!」
「動くな~、そのまま……!!」
○×◎●▼□※※?!!
■◆△◎×××……!!
こうして。
不法就労していた外国人達は逮捕され、違法営業に携わっていた経営者も逮捕……となった。
さて。
僕の出番はもうないよね?
さ、帰ろ。かえ……あれ?
その時僕は、カウンターの隅っこに妙なものを見つけた。
エビ……?
全体に青っぽいし、薄暗いからすぐにそれとはわからなかったけど、あれは確実にエビの握り寿司だ……!!
「……?」
近づいてよく見ると、間違いない!!
「は、ハロー?」
エビが振り返った。
間違いない!! これは、エビ太君やエビ美ちゃんと同種類の特別なエビ……!!
なんとなく尻尾をつかんでみると、案の定、しゃべった!!
「ボルシチピロシキ、ゴルバチョフチェルネンコ、コルホーズソフホーズ、モスクワマトリョーシカ!!」
とりあえず、知ってるロシア語(?)を並べ立てただけのような気もするけど……とにかく、当たりだった。
なんだろう、これ。髭?
※髭ではありません、ツインテールです。
「英語、わかりますか?」
「ナニヨアンタ?! ワタシハタダノエビヨ!!」
「あなたのお名前は?」
「……シュリン・プー……」
「プーさん?」
「アンナ、キイロイクマトイッショニスルナ!!」
うわ、キレられた。
なんだ、日本語わかるんだ。
その時。
捜査1課にこの人あり、とまで言われた僕の明晰な頭脳に、ポンとすごいアイディアが生まれた!!
このエビ、使える……!!
今度こそ、あの小生意気なエビ太の、息の根を止めてやる!!
【美人局】(つつもたせ)
ふふふ、ふははははぁあああ~~~はっはっは!!
「僕と一緒に来てくれませんか? そうしたら、不法就労の件は見逃してあげますよ」
「エビ……?」
……以下次号!!




