いや、決してそう言う訳では……。
<SIDE エビえもん>
ふぅ~、危ない。
エビ太君め、最近、妙な知恵をつけやがった。
黙ってついてくればいいのに……。
と、いうことで。
僕はエビ2匹を連れて、三原浮城まつりに来ている。
なかなかの人出だ。
【暗殺】と言うのは常に、こういう衆人環境の下で行われるものだ。
例のゴルタコ13は、ちゃんと仕事をしてくれるのだろうか?
僕は少しの不安を覚えつつ、まわりを見回す。
……いた!!
すごい。
なんちゃってライフルを手に、構えてる……。
僕の足元で。
「……」
確かにエビ太君は今、僕の肩に乗っている。
だけど、足元って……姿をばっちり見られる位置に待機してるスナイパーって、意味なくない?
「うわっ!!」
タコに気付いたエビ太君が妙な声をあげる。
「やだ、タコ!! 怖いよーっ!!」
ふふふ。
これで最後だぁあああーっ!!
すると。
「助けて、エビえもん!!」
「助けてください、エビえもん様!!」
……え……?
『隊長さん』じゃなくて、僕……?
言えない。
実はこのタコにエビ太君の暗殺を頼んだのが、僕だなんて……。
ぶるぶる。
エビ2匹は本気で怯えている。
なんだろう、このものすごい罪悪感は?!
<SIDE エビ太>
あ、エビえもんが動揺してる。
隊長さんの言ってたことは本当かもしれない。
『エビえもんはねぇ、ただの小心者で脳天気なのよ。あんたに何かあったら自分がボコられるのわかってるくせに。そうそう、あの子ってなんだかんだ頼られると喜ぶのよ。三原で何か困ったことが起きたら、「助けて」って、エビえもんに叫んでごらんなさい?きっと助けてくれるわよ』
<SIDE エビえもん>
僕が戸惑っていると突然、タコが飛び上がってきた。
手(足)に持っているそのライフルはなんだ?! お飾りか!!
思い出した。
ヤボー知恵袋に書いてあった。
【タコ、イカには「顎板」があり、これでエビを噛み砕き、そこから分泌される毒を注入して麻痺させて食べます。この毒は人には影響ありませんが、噛まれると痛いです】
それはもう、反射神経としか……。
とっさにエビ太君を庇った僕の手にタコが吸いつき、噛みついてきた。
「痛、痛い、いた~いっ!!」
おまけに。
この海洋生物、ぬめぬめしてる上に、なかなか剥がれてくれない!!
……気持ち悪い!!
しかもなんか、顔に向かってめっちゃ近づいてくるんですけど?!
僕は思わず叫んでしまった。
「た、た、た……助けて、隊長さ~んっ!!」
……以下次号!!




