格安はたいてい、質がいまいち……だよね。
安かろう、悪かろう♪
前回までのあらすじ。
狙った獲物は逃がさない。
最強の腕前をもつ奇跡のタコと呼ばれる【ゴルタコ13】へ、エビ太の暗殺依頼をしたエビえもん。
すべては主人公としての矜持を取り戻すため。
<SIDE エビえもん>
僕の名前はエビえもん。
いや、それは本名じゃないんだけど……以下略。
さて。スイス銀行に1ドルは振り込んでおいたが。
あれから連絡がない。
ターゲットを三原に連れて来い、ということだろうか?
かくいうエビ太君は、今日も彼女とイチャラブしてるよ。
「待って~エビ美ちゃ~ん!」
「うふふ~捕まえてごらんなさ~い」
なにこれ。
既にネタと化している、昭和の古い光景。
ふふふ……そんなふうに笑っていられるのも今の内だよ!!
「エ~ビ~太くんっ!!」
「……なぁに?」
「明日さぁ、僕と一緒に三原へ行かない?」
「なんでー?」
「明日は三原の4大祭りって言われる、三原浮城まつりがあるんだよ。ローカルだけど、テレビも取材に来るからね~……もしかしたらテレビに映るかもしれないよ!!
説明しようにも、実は僕は、その祭りの内容を詳しくは知らない……(汗)
<SIDE エビ太>
僕の名前はエビエビ太。
以下略。
エビえもんから急に、三原に行こうとか言われて戸惑ってる。
でも、とりあえず。
「エビ美ちゃ~ん、エビえもんがね、明日お祭りに連れて行ってくれるって!」
「わぁ、嬉しいです」
「楽しみだね~」
「はい、エビ太様」
「ねぇ、エビ美ちゃん。僕のことは【エビ太】って呼んでよ」
「でも……殿方を呼び捨てになんて……」
「……じゃあ、せめて【エビ太さん】は?」
「エビ……エビ太さん?」
「なぁに? エビ美ちゃん」
「……きゃっ、恥ずかしい……」
……。
……。
「あんた達って、いつ見てもラブラブねぇ~」
隊長さんだ。
「そうだ、エビ太。いいこと教えてあげようか?」
ひそひそひそ……。
「ねぇねぇ、エビえもん。奥さんに逃げられたってほんと~?」
「やかましいわ」
わ~い、エビえもんがキレた~♪
あ、そういえば。
「ねぇねぇ、隊長さ~ん。さっきエビえもんがね……」
何か不審に思ったらすぐ隊長さんへ。
エビえもんはいつだって言動が不審だけどね。
僕はその言いつけをきちんと守ってるんだよ。
偉いでしょ?
「……ふーん、三原ねぇ」
「行っても大丈夫かなぁ?」
「エビえもん。あんた、何を企んでんの?」と、隊長さん。
ぎくっ、と明らかにエビえもんの全身が震えた。
「や、やだなぁ……企むとか、そういう言い方やめてくださいよ」
でも。顔にハッキリ書いてあるよ?
【ロクでもないこと考えてます】って。
「か、考えすぎですって。だいたい何ですか? 人のこと、そんなふうに疑うのは失礼ってもんじゃないですか?!」
逆ギレしちゃった。
悪いことしたかなぁ……?
「あれは完全に、後ろ暗いところを指摘されてビビる、2時間ドラマだと中盤ぐらいに死体になって発見される脇役のリアクションね」
「そうエビ……?」
エビえもんって、主人公じゃなかったっけ?




