赤い靴を履いたエビ
イラストは三村 たま様からいただきました。
吾輩は主人公である。
名前はエビえもん。
無論、本名は別にある。が、今さら名乗ったところで誰? となるのがオチだ。
さて。
僕には重大な悩みがあった。
この頃、エビの握り鮨に自分の立場を危うくされている。
そのエビとは……備品のくせに空は飛ぶわ、宙は舞うわ、エビパンチとかなんとか技を持っているだけでなく、人間の言葉をしゃべるのだ。
おまけに最近、彼女ができた。
僕なんて、シリーズ1作目で奥さんに逃げられてバツイチになった挙げ句、7作目になった現在も警部補から昇進できていないっていうのに。
だから今、僕は主人公としての立場とかプライドとか、そういう諸々に関して重大な危機感を覚えている。
そこで。
この生意気なエビを、なんとかギャフンと言わせたいのだが……どうしたらいいのだろう?
あからさまに手を出せばすぐに『助けて、隊長さ~ん!!』となり、あの狂犬から痛い目に遭わされるのは確実だ。
実際、何度三途の川を渡りかけたことか……。
知ってる?
三途の川の渡し賃って、六文なんだって。
こないだなんて僕、一万円札しか持ってなくて『お釣りあります?』って聞いたら、ある訳ないだろって追いかえされたよ(笑)
おかげで生還できたけど。
……え?
自分のまいた種だろうって? まぁ、そうとも言うね。
しかし……なんとか【隊長さん】に見つからずに、エビをいじめる方法……もとい、この割烹から追い出す方法はないか。
そして。
僕は日々、あれこれと思考を巡らせた。仕事も手につかなくなるほどに。
そこである日、すごい名案を思いついた!!
「エ~ビ~太~くんっ!!」
「……」
あれ? 寝てるのかな……?
「ねぇねぇ、エビ太君」
「……」
「エビ太君ってば!」
くるり。
「……何?」
「な、何? その眼は。なんでそんな目で僕のこと見るの?」
↓そんな目
「だって……エビえもんがそういう口調で話しかけてくるときって、たいていロクでもないこと企んでるってわかるもん」
……!!
「お前な、エビに行動パターン読まれてどうするんだよ」
「……」
「で、なーに? いま僕、産みの親の古川アモロさん著【チャッカマン・オフロード】を読んでて忙しいんだから、用件は手短にね……」
こいつ!!
いや、落ち着け僕。
ここは冷静に……。
「あのね。エビ太君との思い出を写真に残して、アルバムを作成しようと思うんだ。写真、撮っていい?」
「エビっ?」
「可愛く撮ってあげるから、ほら支度して」
「は~い♪ あ、しおり挟むからちょっとだけ待って……」
ふっ……ふははははっ!!
所詮はエビだな。
この後、どんな事態が待っているかなんて、予想もできないだろう。
……以下次号!!
≪次回予告≫
所詮はエビえもんの頭脳。
どうせたいしたことは考えていない。
お約束はいつもの通りだ。
何も期待してはいけない。
ところでタコと言えば……三原だよね。
次回「エビえもん~三原漁港ナビタイム~」




