えびフライアゲイン
前回までのあらすじ。
エビ美と初デートで宮島の弥山に行ったエビ太だが、
いきなり目の前にエビ美の元カレと思われる『安芸の黒虎』エビ助があらわれ、行く手を阻まれる。
ど、どうしよう。
こんな、武器を持ったエビ達に囲まれて、丸腰の僕がどうやって闘うの……?
こうなったら……仕方ない!!
せめてエビ美ちゃんだけでも逃がさないと。
「隊長さん、エビ美ちゃんを連れて逃げて!!」
「エビ太……」
「ここは僕がくい止めるから!! 早く!!」
『エビ太さん、これを、これを使って!! 【魔法の衣】よ!!』
え……?
すると。
空から突然、以下のピンナップが落ちてきた。
【薄力粉:適量】
【溶き卵:1こ分】
【パン粉:適量】
※【180度に熱した油:適量】
うぅっ、粉が目に……!!
ぬるぬる~気持ち悪い~(>_<)
サクサク、いた~い……。
あつっ、熱いぃ!!
あっちぃぃぃぃぃ~!!
そして。
僕はフライになった。
なんだろう。
ものすごく力が沸いてくるような気がする。
今なら空も飛べるはず……!!
と、飛べた!!
これこそまさに、
『フライ揚げいん!!』
いぇい、いぇ~♪
『ええい、何をしている!! 矢を、矢を放て―!!』
ひゅんひゅん!!
すごいよ、この衣!!
飛んでくる矢を全部弾いてくれるんだ!!
ニヤリ。
『お返しだぁ!! 喰らえ、パン粉手裏剣~!!』
「あ~、確かに……火を通し過ぎたパン粉って、口の中で凶器になるわよね……」
わーわー!!
ガヤガヤ
ザワザワ
……かくしてエビ太VSエビ助軍の戦闘は膠着状態と化した。
はぁはぁ……。
『エビ美ちゃんは、僕が守る!!』
『小癪な……!! エビ美は、俺の嫁だぁ~っ!!』
【エビパーンチっ!!】
【必殺、エビ十文字斬り~!!】
ガッキぃ~ん!!
僕の一撃がエビ助氏の旗を折ると同時に、彼の攻撃によって僕の衣は剥がれてしまった……。
ここまでか……。
「た、隊長さん……」
「よくやったわ、エビ太。あんたは『漢』よ」
良かった……。
『ものども、かかれぇ~っ!!』
エビ助氏の号令により、残っていた雑兵が一斉に襲いかかってくる。
「助けて、隊長さん……」
「任せて」
ぴゅーい!!
隊長さんが口笛を吹くと、
ドドドドド……。
な、何?
振り返ると、後ろからシカの大群がすごい勢いでこちらへ向かってくる!!
土煙をあげながら真っ直ぐに。
ひょいっ。
「隊長さん?!」
いつもの指定席(隊長さんの肩の上)に乗っかったかと思えば、
「踏まれたら怪我するわよ」
そして。
シカの群れはただ、通り過ぎただけだった……。
……。
……。
「群れの中に何頭か、奈良県産が混じっていたわね」
シカの産地なんてどうでもいいよ。
『ぐぅ……エビ美……っ!!』
気がついたらエビ助氏と、彼のまわりにいた兵士たちは皆、ぴくりとも動かなくなっていた。
シカに蹴飛ばされたんだね、かわいそうに。
『ごめんなさい、エビ助様!! 私、やっぱりエビ太さんが……!!』
……以下次号!!
≪次回予告≫
エビ美による謎のアイテムで、どうにかエビ助の軍勢を跳ね返したエビ太。
この後、本当の事件は県警本部で起きる!!




