生き別れの兄弟?
僕の名前はエビエビ太。
以下略。
今日は非番(笑)なので、隊長さんと一緒に縁日に行きました。
うわぁ、すごい人だぁ~……。
縁日とかお祭りとか、こういう大勢の人が集まるところってね、必ず酔っぱらいがケンカ騒ぎを起こしたり、
スリとか、痴漢とか、いろいろな事件が起きるんだよね。
隊長さん、遊んでるフリして実はそういう事件を未然に防ごうっていう目的でやってきたんだ。
根っからの【おまわりさん】なんだよね~。
休みの日にエビと縁日に出かける、年齢不詳の寂しい独身男性……なんて思ったことは、僕の胸の内にしまっておくことにするよ。
それから。
隊長さんが金魚すくいのお店の前を通ると、なぜか「ひぃ!!」ってお店の人に怖がられた。
何かあったのかな?
この人のことだから、水槽の中の金魚を全部すくいあげちゃった……みたいな伝説があるんだろうなぁ。
それからしばらく歩いていると。
射的ゲームのところで、隊長さんが足を止めた。
「あら? あれ、あんたの兄か弟?」
エビ……?
よく見ると……棚の上には僕にそっくりなエビが鎮座している。
あれはまさか、
生き別れの兄弟?!
「隊長さん、お願い!! あれとって!!」
「任せなさい」
よかった。
隊長さんなら絶対にゲットしてくれるよね。
本職はスナイパーだもん。
ゴ○ゴ13も裸足で逃げ出す腕前、って絶対嘘だと思うけど。
それから隊長さんが玩具のライフルを構えると、顔がマジになった。
パァンっ!!
え?
なんか、音おかしくなかった……?
射的の弾って、コルクだよね……?
今の、どう聞いても『実弾』ぽかったんだけど。
「あら……?」
隊長さん、怪訝な顔。
「おかしいわね、確実に当たったはずなのに」
たしかに。
エビは元の場所に鎮座している。
「何が起きたの……?」
「……お客さん、貫通してるよこれ……」
ガーン!!
「あらやだ! 穴開けちゃったみたい。ごめんなさいね~」
あはは。
う……。
「どうしたの? エビ太」
「エビぃぃぃ―――っ?!」
せっかく、生き別れの兄に会えたと思ったのに!!
「隊長さんのバカぁ―――っ!!」
うわぁーんっ!!
ぴょーんっ。
「エビ太!!」
……。
……。
言っておくけど、実弾じゃないわよ?
普通のコルクだったのよ。
普通の人なら、こうはならない……わね。
……チートって大変なのよ。
……以下次号!!




