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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第三章

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来訪者捜索

 雪斗はトラブルの一報を聞いた後、すぐさま行動を開始。リュシール達の協力もあって、捜索を行うことにする。


「異世界に来訪した人達については魔力分析もできているし、捜索範囲を広げれば見つかると思うわ」


 そうリュシールは語ったのだが――範囲を広げ、路地や建物の中も検索したのだが、一時間経過しても一向に見つからない。

 このまま登美子が見つからなければ他のクラスメイト達にも影響が波及してしまう。動揺を広げるのを避ける意味合いでもすぐに見つけたいところだが――


「リュシール、見つからない要因は何だと思う?」


 雪斗はどうにか冷静を保ちつつ問い掛ける。すると、


「例え建物の中に入っているにしても、私の探知魔法なら絶対見つけることができる……しかしそれができない以上、可能性は二つ」

「二つ?」

「一つはこの短時間で町の外まで出た」

「さすがにそれはあり得ないだろ……って、ちょっと待て。探索範囲を都全体に広げているのか?」

「ええ、そうよ」


 事も無げに述べるリュシール。


「なおかつ、いなくなったキサラギトミコという人物以外の来訪者達は、全て捕捉できているわ」

「予め魔力を分析したことにより、遠隔でも完璧に把握できると」

「そうね……しかし、私の魔法で見つからないということは、都の外へ出てしまった」

「いくら如月さんがフラッとどこかへ行くといっても、さすがに外までは出ないだろう」

「そうね。私も同意見。ということは、もう一つの可能性ね」

「それは?」


 問い掛けたのはナディ。他にシェリスを含め、迷宮に入った者達も協力してくれる。


「もう一つ……それは、私の探知魔法をすり抜けている」

「すり抜けている?」

「例えば、そうね……外部から魔力を遮断するような物に覆われている、とか。けれどこの都に魔力を完全遮断するような効果を有する建築物はないわ。城であっても私は魔力を捕捉できる」

「でも、現実として捕捉できていない」

「こちらが探知魔法を使うことがわかっているから、何かしら魔力を遮断するような物に彼女を隔離している……さすがに建物内に存在するそうした物までは細かすぎて把握は無理だから」


 ――建物自体に魔力遮断能力を有しているのなら、リュシールも気付く。だがそれが箱とかであれば、さすがに彼女も近づかなければわからない、ということ。


「……誰かが仮に彼女を隔離したとして」


 雪斗は内心嫌な仮定だと思いながら口を開く。


「その目的は何だ?」

「最悪のケースでは、アレイスの息の掛かった人物ということかしら」


 その言葉に雪斗の表情が険しくなる。


「なら、どうすべきか――リュシールの語った可能性も考慮すべきか」

「そうね……ただ、隔離された物が仮に外へ出ればさすがに私もわかるわ」

「……どこかへ移送するとしたら、すぐにわかるってことか?」

「そう。面倒なのは一ヶ所に留まる場合だけど」

「それだと敵は逃げていないことになるぞ?」


 これが敵の仕業だとしたら、どんな理由で彼女を攫ったのか。


「……ふむ、これは少し気合いを入れないといけないかしら。ならユキト、私はもう少し魔法の出力を上げて、魔力を隔離するような物がないかを探してみるわ」

「できるのか?」

「疲れるし、精度もそう高くないからあまり期待しないで欲しいけど……ともあれ、やってみるから少し待って」


 リュシールは語ると魔力を高めた。さすがに天神といえど都全体に魔法を行使して、というのは大変らしい。


「後は動揺が広がっていないことを祈るばかりだな……レーネは観光が終わったらクラスメイトを一度城へ戻すだろう。とりあえず翠芭達がフォローをしてくれることを祈りつつ、捜索するしかないな」


 雪斗が声を発した矢先、リュシールが突然首を向けた。


「ユキト……これは……」

「もうわかったのか?」

「魔力を遮断する物は見つけたけど……それ以上に、面倒な場所がある」


 面倒な――雪斗が沈黙を守り聞き入る構えを見せると、リュシールは話し始めた。


「その建物は路地の一角にあるけれど……どうも、地下に空間が存在する」

「地下室ってことか?」

「そうね。なおかつ少しばかり範囲が大きい」


 ――そこまで解明できるリュシールはさすがといったところだが、彼女が面倒と呼ぶ以上何かあるようだ。


「嫌な反応があるのよね。魔力源と言うべきか……」

「魔物か?」

「この距離ではわからない……というより、巧妙に隠されていると言えばいいかしら。怪しい場所ではあるけれど、わかるのはそれだけ」

「近づけばどうだ?」

「詳細はわかるかもしれないけれど、今回探しているキサラギさんとは関係ない可能性もあるわ。どうする? もう少し捜索する?」


 ――もしハズレなら余計な時間を食うことになる。登美子に危機が迫っているとしたら、そのハズレによるタイムロスは非常にまずい。


 とはいえ、


「……リュシールが調べた結果だ。怪しい場所と捉えて信じよう」

「即決ねえ」

「もしハズレだったら……頑張らないといけないな。最悪誰かが都外へ連れ去ったとしても、どうにかしてみせる」

「わかったわ……それじゃあ当該の場所へ行きましょう」


 時間との勝負。よって雪斗達は揃って動き始めた。直後、雪斗を含めたメンバーが一斉に走り始めた。

 町中であるためか雪斗達の姿に誰もが注目する。戦争を経験し、雪斗達の戦いを見ていた人間からすれば、町中を駆け巡る様は否が応でも目を引く。


 中には雪斗達が何をしているのかわからない状況下ではあったが、歓声を上げる者もいた。そうした中で雪斗達は人々に目もくれず、ひたすら目的地へと向かう。


(他のクラスメイト達は……)


 走りながら雪斗は胸中で考える。とはいえ様子を見に行く暇はない。混乱がないように翠芭達が配慮していることを祈るしかなかった。

 そうこうする内にリュシールの案内によって雪斗達は路地へと入る。人がいなくなり道を駆け抜け、辿り着いたのは一軒の店舗だった。


「魔法道具を売る店かしら」


 看板を見据えながらナディが呟く。一方で雪斗は「そうだな」と答えながら、躊躇いもなく店の扉を――開けた。


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