表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

388/397

超常的な力

「あの、違和感というか……何か、自分の周囲を取り巻くような何かがあるような気がするんだけど」


 そう発言したエリカに、イズミは満足そうな表情を浮かべた。


「良い兆候だね。それじゃあその感覚を意識しつつ、まだ目は閉じていて」


 指示にエリカは頷きつつ、引き続き体勢は変えないまま。それに対しイズミはさらに作業を進める。

 新たな魔力が室内を充満し始めた時、エリカはさらに声を上げた。


「何か……暖かいものが……」

「うんうん、順調だね。さて、それじゃあ最後に」


 イズミは一度手を止めた。次いで少しばかり魔力を溜めた後、今度はエリカへ向け魔力の塊を放った。


「……ん」


 直後、エリカは明らかな反応を見せた。


「今のは……力の塊? みたいなものが体に当たったというか……」

「うん、それで正解。エリカ、これで作業は終わったから楽な姿勢になって目を開けて」


 その言葉にエリカは目を開けた。ユキトはそうした光景を黙って見守っていると、イズミは手をかざし、


「これで魔力は知覚できるようになった……私の腕に魔力を集めてみたんだけど、どう感じる?」

「……腕に力があるのがわかるよ。これが魔力ってこと?」

「そう。私達の体の中にはこの力が存在している……けれど、この世界では誰も認識することができない」

「でも、私はできるようになった」

「そうだね。これで異世界の技法を使えばこの世界でも魔力を知覚することができる、というのが証明された」


 そこは大きな進歩だろう、とユキトは思いながらイズミへ言及を行う。


「イズミ、同じようなやり方で他の人……例えば今後魔物と戦う役割を担っていく人達に魔力知覚を促すのか?」

「全員が全員、同じようなやり方で知覚できるようになるかはまだまだ検証が必要だね。でも、この場所なら同じやり方で作業を進めることができるから、マニュアル化とかも可能かな」

「マニュアル化まできたなら、作業が大きく進めることができそうだな……」

「これで霊具、というのを使えるようになるの?」


 ここでエリカからの疑問。それに対しユキトとイズミは同時に首を左右に振った。


「残念だけど、これはあくまで魔力を知覚するための作業。ここから自分の魔力を自在に動かし、制御する方法を習得しないといけない」

「まだまだ作業が必要だと」

「でも、そこまで時間は掛からないよ。知覚さえできれば、後は順調に進めていけると思う」

「どのくらい時間が掛かるの?」


 さらなるエリカの問い掛けにイズミは一考し、


「そこは個人差にもよるかな……ひとまず休憩しよっか。魔力知覚の作業が一番の山場だったけど、それがクリアできたし、ここからは少しゆっくりやってもいいかな――」






 ユキト達は食堂へ入り、休憩することに。時刻は昼前で、このまま昼食でも良かったのだが、落ち着いてからというエリカの要望によりこうなった。


「気付かない内に疲れていたかもしれないね」


 イズミはクッキーを口に入れながら言及。ユキトはそれに同意しつつ、ペットボトルのお茶を飲むエリカに目を向けた。


「今までにはない感覚を養おうとしているんだから、体の方に疲労が出てもおかしくはないな」

「……みんなは、そういうわけじゃなかったの?」


 エリカは尋ねながら周囲を見回す。食堂にはユキト達以外にも仲間の姿があった。

 そして彼女の質問に答えたのは、ユキト。


「俺達は必要に迫られて戦っていた……しかも、危機的状況で。だからまあ、疲労感なんてものを抱く余裕はなかったかもしれないな」

「ついでに言うなら、いきなり霊具を持ったことも関係していると思う」


 そう発言したのはイズミ。彼女はユキトへ視線を送りながら、


「私達が持つことになった霊具は全て特級以上……異世界で迷宮によって生まれた特級以上の霊具には、身体能力を増強する効果もあった。だからこそ私達は、即座に霊具を扱うことができた」

「この世界では絶対に手に入らない物ではあるな……この場所で特級以上の霊具について研究し、作成することはおそらくできるが、異世界にあった霊具とは決定的に違うことがある」


 ――エリカはその発言が気になったのだろう。ユキトへ視線を向けた。


「違う……というのは?」

「俺達が使っていた霊具は、迷宮にあった力が作用して生まれた物だ。迷宮を攻略しようとした人間が残した武具に力が宿り霊具となった。そうした武具に迷宮の力が入り込むと、元々使用していた人物の思念なども残る……結果、霊具の扱い方なんかも、一緒に武具の中に封じられていることが多かった」

「思念……」

「迷宮には超常的な力が存在していた。それによって人の手では成しえない奇跡が多数生まれていた……俺達の手でそれを再現することは非常に難しい。できるのは、異世界にあった霊具が持つ力を再現することだけ……邪竜側もそうした力を再現するのは難しいだろう。敵の数が魔物以外で増える可能性が低い点が、俺達にとっては幸いといったところかな――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ