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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

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新たな霊具

 イズミの霊具作成によって、戦力が大幅に強化される目処は立った。しかし、まだまだ課題は多い。


 その中で、特に重要なのは霊具を修練しなければならない点。ユキト達は召喚された経験から、霊具の扱い方も記憶はしている。だが異世界で霊具を振るっていた全盛期とは程遠い。

 よって新たな霊具を修練し、全盛期に近しい能力を取り戻す――魔力樹を調査した翌週、ユキトは訓練のために組織の建物を訪れた。


「さて、始めようか」


 そして組織内に用意された訓練場で、竹刀袋のような物を抱えるイズミが言う――ユキトに相対するのは、トレーニングウェアに身を包んだスイハであった。


「というわけで、スイハ。はいこれ」


 そう言いながらイズミは抱えている物をスイハへ渡した。


「完成した霊具」

「もうできたんだね」

「潤沢な魔力があれば、作業そのものは早かったね」


 イズミが笑いながら話すと、それを横で聞いていたツカサがため息をつく。


「作業が楽しかったのか知らないが、寝食忘れるレベルだったからな。俺が止めていなければ二日くらいはぶっ続けで作業していたかもしれない」

「無理はしないでくれよ」


 ユキトが言うと、イズミはなおも笑いつつ、


「まあまあ、少しは慣れたから今後はそういうこともなくなるよ」

「だといいけど……」


 ユキトは訓練場を見回す。この場にいるのはユキトを含め先ほど会話を行った四人のみ。


「イズミ、他の人の霊具検証はしないのか?」

「さすがに一日で色々やれるほど余裕はないよ。まずはスイハの霊具について問題ないかを確かめる……聖剣所持者だったことを考えて気合いを入れたけど、満足いくかどうか確かめたい」

「満足って……」


 スイハは苦笑しながら袋を開ける。そこにあったのは、シンプルな鞘に包まれた一本の剣。


「ちなみに意匠は後でいくらでも変えられるから、リクエストがあったら言ってね」


 イズミが話す間にスイハは剣を抜く。白銀の刀身は照明に当たってキラキラと輝いている。その見た目は空想上の剣と比べれば――否、現存する刀剣と比べても装飾などがシンプルで無骨な物だが、湛える魔力量は今まで作成したどの霊具と比べても大きい。


「どう? ユキト」


 イズミが問う。それにユキトはじっとスイハが握る剣を見ながら、


「魔力量だけなら相当だな……よく作れたというのが感想だ」

「色々と試行錯誤したからね」

「ただ問題は、この魔力量に対しちゃんと扱えるのかどうか」

「聖剣他、異世界にあった霊具には使用者の記憶があって、それを利用し手に取るだけですぐ扱えるようになっていた」


 イズミが捕捉するように告げる。


「でも、作成した霊具はまっさらな物だから、当然魔力量が膨大な剣でも、地道に使い方を勉強していく必要がある」

「……スイハ、いけそうか?」

「やってみる」


 言いながらスイハは剣を構えた。発する気配は以前渡された霊具と比べ明らかに増している。それを見たユキトもまた剣を構え、


「それじゃあ、始めるぞ」

「うん」

 頷いたスイハ。同時、ユキトは彼女へ向け踏み込んだ。

 そして放たれる剣戟。スイハは反応し、新たな霊具をかざして防御した。


 ギィン、と一つ大きな金属音が生まれた。ユキトの攻撃を防いだスイハは一歩後退しつつ両腕に魔力を集める。

 それによって、彼女が持つ新たな霊具は反応。備わっている魔力が膨らみ、彼女の体全体を包み込む。


「これは――」

「聖剣には様々な能力があった」


 スイハが呟く間にイズミが説明を行う。


「その中で特徴的だったのは、聖剣所持者の能力を引き上げる強化効果。剣なんて持ったことのないカイが、聖剣を握るだけで勇者となった。それだけの素質があったわけだけど、だからといって身体能力まで備わっていたわけじゃない」

「まずは身体強化に着目し、機能として盛り込んだのか」


 ユキトはスイハがまとう魔力を観察しながら言う。


「さすがに聖剣に比肩するわけじゃないけど、今までの霊具とは明らかに違う。これが魔力樹の魔力か」


 ユキトは動く。再び一閃された剣にスイハは即座に反応する。

 再び金属音が鳴り響くと、ユキトは前に詰めて押し込もうとする。それにスイハが食らいつく。幾度となく迫る剣をいなし、ユキトの動きを見て取りながら反撃の機会すら窺っている。


 ――彼女が放つ魔力は途切れることなく体を強化している。ユキトは以前とは明らかに違うと確信しつつ、少しギアを開ける。

 右腕に魔力を集め、スイハへ迫る。彼女はすぐユキトの動きに変化があるのを悟り、迎撃する構えを見せた。


 そして、両者の剣が激突する。スイハは押し負けないまま、戦況は拮抗する。

 彼女の戦いぶりを見て、イズミやツカサは驚いた様子。それはユキトも同じであり、内心で感嘆しながら、スイハの剣を一度押し返した。


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