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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

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 雑談を挟みつつ、ユキト達は山を進みとうとう魔力樹まで到達した。山の頂に存在しているが、標高がそれほどない山であるため、山頂付近にも草木が生い茂り、緑に埋もれている中で発光をしていた。

 しかし目立たないわけではない――むしろ輝いているため、一際魔力樹の存在が際立っており、ユキト達はその光を目印にここまで到達することができた。


「間近で見ると、迫力があるな……」


 タカオミが感想を漏らす。ユキトの同行者である彼に加え、レオナとチアキもまた、同じ感想なのか光り輝く魔力樹を見上げていた。


「ユキト、今から調査に入るけど……まずは魔力の採取か」

「どうやって魔力を器に取り込むのか、だな。魔力樹から魔力は出続けているけど、美味いやり方があるはずだ」

「箱を近づけたら勝手に吸うとかじゃないの?」


 レオナが問う。それにタカオミは首を左右に振る。


「箱に魔力を少しだけ注ぐんだ。そうすると、周辺の魔力を自動で取り込むようになる」

「なら魔力樹に近づいて反応を見ないといけないのか」


 タカオミは頷き、ユキト達は魔力樹へ。木の根元に到達すると、タカオミは透明な箱へ魔力を注いだ。

 その瞬間、幹に存在する魔力が透明な箱へと吸い寄せられていく。ただ、その量は決して多くない。


「単純に魔力を吸い寄せるだけでは足らないな……魔力樹にも干渉が必要か?」

「タカオミ、何か手があるのか?」


 ユキトの問い掛けにタカオミは頷き、


「イズミやツカサから色々と教えてもらっている……まず、魔力樹に魔法で干渉をする」


 そう言うとタカオミは幹に触れ、魔力を注ぐ。それと共にユキトは周囲を見回し、


「魔力樹に変化がある場合、魔物などが出てくる危険性がある。警戒しよう」


 レオナとチアキは頷き、ユキト達は気配を探る。その間にもタカオミは魔力樹へ魔力を注ぐ。その結果、樹木に存在する魔力の流れが変わった。


「魔力樹は魔力の塊ではあるけど、普通の樹木のように光合成もするし水や栄養を吸収し成長している……その中で魔力の流れは操作で変えられるみたいだ。これなら」


 と、タカオミは再び透明な箱に魔力を注ぐ。その瞬間、先ほどと比べて多量に箱へ魔力が吸い込まれていく。


「うん、持ってきた箱全てに魔力を注ぐことも難しくはなさそうだ」

「タカオミ、この箱でどのくらいの霊具が作成できるんだ?」

「箱一つで、一級霊具を作れるか作れないか……といったくらいみたいだ。ただ、魔力は圧縮ができる。僕が上手いことやれば、さらに魔力量を増やすことはできるみたいだ」

「特級霊具も作れそうなの?」


 と、レオナが問う。彼女は持参している斧の霊具を軽く素振りしている。


「この霊具もこの世界で戦うなら十分かもしれないけど、カイとの戦いになったら心許ないかな」

「……魔力量だけなら、特級クラスの霊具は作成できるはずだ」


 と、タカオミは作業を進めながら応じる。


「でも、肝心の霊具としての能力……そこについては、再現が難しい。あれは迷宮がある異世界で生まれていた物だから」

「そっか……」

「でも、決して不可能ではないとイズミは言っていたよ」


 タカオミはレオナへと視線を向ける。


「僕らが持っている記憶を利用すれば」

「記憶……」

「特に、異世界で長い時間戦い続けていた君達の記憶……それを魔法で引き出し、霊具に注ぐことができれば、所持していた霊具の再現ができるだろうとイズミやツカサは言っていた」

「記憶を……そんなことできるの?」

「そういう術式を、開発しているみたいだ……異世界での戦いで必要の無かった行為……つまり、霊具のデータ化を行うことで、再現ができるのではと考えているようだ」

「……つまり、霊具の性能を数値化するってことか」

「その通り。霊具の性能を数値化しようとすれば、当然ながら膨大な物になると思うけど、幸いながらこの世界には膨大なデータを集積できる機器がある」

「この世界の機器と、魔法を組み合わせて、作成すると」

「そうだ。場合によっては……異世界の物を凌駕する霊具を生み出せる……かどうかはわからないけど、聖剣に匹敵する物を科学の力で生み出すことも、決して不可能ではないんじゃないかと、ツカサは言っていた」


 聖剣を超える霊具――そんな物ができれば凄まじい話だが、ユキトとしては逆に怖くもあった。


(きっと、それは個人で扱える物ではなくなるよな)


「ユキトが懸念していることもわかる」


 と、タカオミはユキトへ言及する。


「この世界には大量破壊兵器がある。それに匹敵する規模の霊具が生まれれば、僕らでも対処は難しい……が、魔法がこの世界で発展すれば、いずれ生まれるとは思う」

「そうだな……」


 ならば、どうすればいいのか。カイ達との戦いだけでなく、それが勝利に終わった後のことも考えなければならない――ユキトは増え続ける問題に頭を悩ませつつ、タカオミの作業を見守り続けた。


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