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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

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戦力強化

「転移、索敵については以上だ……なら次の問題は、戦力だな。イズミ」

「うん」


 ここで話はツカサに代わってイズミが始める。


「霊具については全員に行き渡った……けど、等級で言えばカイが持っていた物やスイハが所持している物で一級程度。他の人達は大体二級クラス……ただ、元々所持していた霊具の性能に寄せたから、多少癖のある性能をしていた霊具の再現は難しくて、そういう人の霊具は魔力量だけで言えば三級くらいの物になっているケースもある」


 ――霊具は下から順に三級、二級、一級、特級、天級、そして神級というランクに分かれている。とはいえ神級はカイやスイハが持っていた聖剣のみ。ただし、ユキトのディルについては正式に調べたことがないためわからないが、継続戦闘能力を始め特性から神級に位置しているのでは、と考察する人間はいた。


「今後魔物が出てくるのであれば、特級クラスの霊具は作成したいけど」

「作れるのか?」


 ユキトの問い掛けにイズミは頷き、


「うん……皮肉な話だけど、魔力樹から発せられる魔力を利用すれば、霊具の備わる魔力量だけは特級クラスになる」

「それでも形だけって感じか」

「迷宮に存在し、私達が使っていた霊具は、それこそ超常的な存在の影響だからね。あれをそのまま再現するというのは、難しいよ」


 そう述べたイズミだったが、ユキトは一つ言及する。


「だけど……不可能ではない?」

「うん、たぶんね」


 イズミはそこで口の端に笑みを浮かべる。


「もしカイや邪竜達を出し抜くのなら、開発以外ないと思う。相手は魔力樹が生まれたとしても、私達が扱っていた霊具のようなものを再現することは困難だと考えているはず」

「逆に言えばそれを完成させれば……」

「うん、カイ達との戦いに勝つことだってできるだろうし、どんな魔物が現れたとしても、対抗できる」

「何よりまずは戦力強化、か」


 ユキトは呟いた後、小さく息をついた。


「今、まだ魔物が出現しているわけじゃない。よって、今のうちに霊具作成を進めた方がいいのかもしれない」

「そうだね。カイ達だって動くにしてもまだ準備する必要はあるだろうし」

「けどイズミ、具体的にはどうするんだ? 魔力樹から魔力を収集するのか?」

「うん、より濃密な魔力があれば霊具そのものを強化できるし、魔力を用いて器具の開発もできる」

「なるほど、霊具を開発する環境を整える……か」

「それを急ピッチで行うことができれば、私達は戦いを優位に進めることはできると思う」


 イズミの言葉にユキトとツカサは深々と頷いた――確かに、勝利するためには必要なことであった。

 彼女の言葉にツカサは納得したように幾度か頷き、


「後手に回る以外にない以上、戦力を強化することでどんな状況にも対応できるようにする……俺達がやるべきことはそれか」

「ただイズミ、魔力を採取するにしても……どうやって?」

「今、魔力を収集するための道具を開発している。それを使って大量の魔力を確保する」

「なるほど……カイや邪竜は魔力樹の魔力を利用しようとは思わないかな?」

「可能性は低いと思うよ」


 そうイズミが言う。なぜかと問い掛けるより先に、ツカサがそれに答えた。


「生成された魔力樹周辺は、現在組織で観測ができている。もしカイや邪竜が出現すればすぐにわかるようになっている。そのくらいは相手方も気付いているはずだ」

「そうか……もしカイ達が表に出てきたら、決着のチャンスではあるか」

「ただ、今起こっている事象は不可逆である以上、対策は立てないといけないが」


 ツカサの言葉に一時部屋の中が重い空気となる。


「……すまない、とにかく戦力強化を優先し、魔力樹の魔力を採取する。それと共に魔力樹の特性も調べる。発生した魔力樹は特性が異なっているのか。それとも、大本のコピーなのか……あるいは、土地によって変化するのか。その辺りを精査し、破壊する時の参考にする」

「ツカサ、一ついいか?」


 ユキトはここで問い掛けをする。


「魔力樹を破壊したら、元の世の中になるのか?」

「残念だが、ならない。魔力の供給源が断たれたとしても、魔力や魔法という概念は多くの人に知れ渡るだろう。もし、普通の人々に縁が無くとも、国家が野放しにはしないだろう」

「そうか……そうだよな」


 ユキトは幾度か頷き、ツカサの言葉を飲み込み納得する。


「なら、混沌が始まる世界の秩序を、維持するために動かないと」

「そうだな」

「その中で大きな問題は国側の動向だ。現在は連絡を取っているわけじゃないよな?」

「カイがいなくなったことで、話をする役割はオウキが担っている」


 仲間の名を上げながら、ツカサは語る。


「オウキならば少なくとも、状況が悪くなることはないだろう」

「そうだな……けど、カイのように積極的に折衝するのは難しいか」

「……国側としっかりと協議するなら、もう少し人を振り分けるべきだろうな」


 ツカサは述べる。ユキトが見返すと、彼は説明を始めた。


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