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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第七章

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崩れない絆

 自分のライブで邪竜が動くかもしれない――そんな可能性を指摘されメイはどうやら悩んだらしい。けれど最終的にユキト達が防衛する準備を進めるということで、彼女は組織に協力を頼んだ。


「それに、私がいなくなったところで、邪竜が計画を止めるとは思えない」


 彼女はそう言及。カイもそこには同意し――ライブを成功させるべく、準備を進めることとなった。

 無論、これはユキト達が勝手に推測しているものではある。実際はエリカ達がライブにやってきても、騒動が起きることなく終わるかもしれない。


 ただ、ユキトはなんとなく予感を抱いていた――カイから騒動が起きるかもしれないと言われ、一晩考えて――邪竜は、来るだろうと。

 そこに明確な根拠はない。ただ、体は予感した。邪竜の計画や目的はまだわからない。しかし、仕掛けてくると。


 ――そしてこういう時にある嫌な予感は、異世界で邪竜と戦っていた時もよくあったし、その的中率はほぼ百パーセントだった。


「ユキトも、何かしら予感があるんだね」


 防衛準備を進めている時、組織にいたカイに話し掛け予感について言及すると、彼はそんな風に応じた。


「その感覚はとても大事だと思う。邪竜は次に何をしてくるかわからない――特にユキトの勘というのは、ユキト自身が意識していないようなことまで察することが出来ると思うし、重要だと思うよ」

「……なあ、カイ」


 ユキトは彼のコメントに対し、


「なぜ邪竜はこのタイミングで仕掛けてくると思う?」

「そこはわからない……けれど、邪竜は無駄なことはしないだろう。故に、何かしら理由があるのは間違いない。もっとも、その理由についてはわからないけれど」


 ――異世界での戦いにおいては、邪竜の目的は世界の支配だった。だからこそ魔物を多数迷宮の外へと出して、国々を蹂躙した。

 支配するために様々な謀略を張り巡らせ――その狙いは明瞭だった。けれど今回の場合はまったくわからないまま。支配――それが最終目標であることは想像つくが、なぜエリカ達を狙うことと繋がるのかは、理解不能だった。


「ただ、邪竜が動く以上は確実に自分の目的のためであることは間違いない」


 カイは断定する。


「例えば、何か本命の策があって、それを誤魔化すために……などということも考えられる」

「その場合は……」

「現在、邪竜の動きを捉えるべく多角的な分析を試みている。それがちゃんと機能し、邪竜の動きを把握できるようになれば……」


 厳しい表情ではあったが、カイは勝算ありだと考えている様子。


「迷宮の奥深くに邪竜がいるのとは違い、自由に動けている以上、策が読みにくいのは確かだ。けれど、大きく事を起こす場合は当然魔法を使用する……この世界で魔法という概念が公になっていない以上、何か起こればすぐに察することができるはず」

「問題は、邪竜が動いた段階で俺達が止められるかどうかだな」

「うん……そこについても色々と対策を練っていく必要性がある」


 カイはそう述べる――と、ここでユキトは、


「……正直、やることが多すぎる。カイ、無理をしていないか?」

「多少は、ね。けれどここで気合いを入れてやらないと、取り返しのつかない事態に陥る可能性がある」

「今頑張る時、というわけか」

「そうだ……ただユキトは加わらなくていい。それこそ、ライブ当日で動いてもらう必要があるからね」


 その言葉にユキトは頷く――戦闘になれば、最前線で戦い続ける意思は既に持っている。

 ユキトは以前、取り逃がしてしまった人物のことを思い出す。あの時、彼を捕まえていれば邪竜を発見できていたかもしれない。仲間達はさすがに不始末だとは思わないだろうが、ユキトだけがこの事態を防ぐ可能性があった。


 だからこそ――犠牲など出すことなく、事件を解決する。そう胸に誓った。


「……邪竜も、当面動きはないだろう」


 カイはそう予想する。


「事が起こるのはライブ当日……だね」

「もし何も起こらなかった場合は?」

「その可能性も考慮し、色々と仕込みをしておく。ツカサやイズミ、タカオミの協力があれば、対策はできるはずだ」

「……三人も、大変だな」

「みんな了承してくれている……作戦が終わった後、特別ボーナスを出さないといけないかな。もちろん、ユキトにも」

「俺を特別視する必要はないよ。俺はただ、目の前にある脅威を取り除くだけだ」

「――ユキト」


 名を呼んだカイは、右手を差し出す。


「困難な戦いになると思う……どうか、手を貸してくれ」

「当たり前だろ……カイこそ、無理はするなよ」


 握手を交わす。それはまさしく、強い絆で結ばれていることを証明することだった。

 これが崩れることはない――そうユキトは思うと同時に、邪竜はこれを崩そうと考えているのでは、とも思った。


(いや、そうだとしても絶対に崩れない)


 ユキトは、そう強く確信しつつ作戦準備を手伝うことにしたのだった。


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