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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第七章

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防衛と捜索

 ミナとエリカの二人については、一度組織の建物に保護という形となった。メイに加え今日組織にいた面々が出迎え、色々ともてなしをする。

 その合間にユキトとカイ、さらにツカサやスイハといった面々は今後の対策を検討することに。


「彼女達の護衛を行いつつ、邪竜の真意……目的を知らなければ解決はしないな」


 カイはそう告げる。ユキトはそれに同意しつつも、


「ただ、捜索しても見つからない……肝心の邪竜を見つけなければいつまで経っても後手に回るばかりだ」

「うん、何より発見を優先すべきだけど、現在までその姿を捉えることはできていない……邪竜は既にこの世界に適応し、魔力を上手く誤魔化して僕らの索敵の網をすり抜けているんだろう」

「だとすれば……どう動く?」

「索敵のやり方は色々変えているけれど、成果は上がっていない……もちろん今まで通り様々な手法を試しつつ、別の手段を模索していかないといけない」

「それは?」

「人間を対象とした索敵だ」


 カイはそう発言すると説明を加える。


「僕らは魔物を基準として、怪しいところがないか探していた。実際、邪竜は魔物を生み出して僕らに攻撃していた。よって、魔物の動向を注視すれば邪竜を見つけられる可能性が高いと考えた……野生の魔物が出現しても対処できたことから、邪竜捜索以外でも有効なことがわかったし、一定の成果を得たのは間違いない」

「確かに、そうだな」


 ユキトはそれに同意する。しかしカイの話には続きがあった。


「邪竜は魔物を使い、攻撃を仕掛けてくると僕らは考えていた。今回もそうした事例だったけれど、想定していた方向性とは異なっていた……邪竜は僕らが強くなるのを見越し、僕らの周囲を狙う方向にもっていった。なおかつ、確実にそうした人達を狙えるだけの仕込みもしている」

「魔物が生まれるタイミングを狙っている人物の目の前にする……確かに、俺達の想定にはない形だ」


 ユキトの言葉にツカサやスイハは幾度も首肯する。同時に邪竜のやり口がどれだけ凶悪なのか、痛感させられる。


「……とにかく、早急な対策を施さなければならない」


 さらにカイは語る。


「問題は、今回の魔物……その狙い。ユキトの話に寄れば、ミナもしくはエリカである可能性が高いようだ」

「メイさんはどう考えているんでしょうか?」


 疑問を呈したのはスイハ。ここに彼女を呼んでくるか、とユキトは思ったのだが、カイが答えた。


「この話し合いが始まる前にメイに色々と確認した。自分が狙われた可能性はある……としていたけれど、出現した魔物の視線は明らかに自分へ向けられてはいなかったと言っていた」

「だとするなら、二人のどちらか?」

「視線の向きなども観察したらしい……現段階では推測の域は出ないけれど、エリカへ魔物は目を向けていたと語ったよ」


 どういう理由で――とは、誰も言及しなかった。カイの幼馴染みにして、大切な存在。邪竜が狙う理由はそれだけで十分すぎた。


「ユキトは、どう思う?」

「……カイとエリカ達の関係性を調べることは、それほど難しくないよな」

「ああ、ただ多少なりとも僕らの身辺を調べないといけない……もしかすると敵は、思った以上に僕らの近くにいるのかもしれない」


 その言葉にユキトの表情は厳しくなる。敵が近くにいる――それに気づけていないという状況。

 そんな顔つきを見てか、カイは補足を行う。


「僕らが行っている邪竜捜索方法は、言わば王道とも言えるものだ。けれど邪竜はそれを見越して、露見しない手法を確立した……そして、今後も同様の攻撃が来ることも予想される」

「一度で終わる理由がないからな」


 ツカサが言う。無論、魔物による攻撃が増えればユキト達も情報を得られるため、邪竜へ近づく可能性は高まるが、


「近しい人を守るだけでも俺達には相当プレッシャーが掛かる……こちらを疲弊させるのが目的か?」

「その線も十分考えられる。僕らは霊具の力を利用し、早急に事態を解決しなければならない」

「……具体的にはどうする?」

「防衛と捜索、二手に分かれつつ動くほかないな……ツカサ、魔物を索敵するだけでなく、今回のような魔物の出現を抑える魔法というのは作れないか?」

「魔力の集結そのものを防ぐ……か。こちらが対策を考案する間に邪竜は他に何かしら手段を用いて魔物を生成してくるかもしれないぞ」

「わかっている。けれど現在の状況を野放しにはしておけない」

「そうだな……ただ、魔法を広範囲に拡散させる必要がある。それは当然多くの人に魔力的な影響を及ぼす」


 つまり、魔力を知覚する人間が出てきてしまうかもしれない――


「カイ、そちらの言葉通り早急に事態を解決しなければ、状況はさらに悪くなる」

「わかっている……多少無理をする必要はあるかもしれないが、みんな……手を貸してくれ」


 カイの言葉にユキト達は頷き――作戦が始まった。


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