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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第七章

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都会の喧噪

 ユキト達は転移魔法によって施設を移動した。そこは都会にあるビルの一つであり、転移後に見えたビル群に少なからず圧倒される。

 転移先は高層ビルの上階というわけではなかったが、見晴らしはそれなりで窓の外を見ると眼下には人や車が行き交う大きな通りがあった。


「……このどこかに、魔物がいるのか」


 ユキトは呟きながら魔力を探る。人が多いためか怪しい気配は感じられない。


「ユキト、スイハ」


 そうした中でカイが名を呼んだ。


「すぐにここへ向かうということで、服装などを気に掛けることはできなかったから、魔法によって姿を変えてくれ」


 ――三人とも制服姿。人が多い場所な上、学生もいるためそう目立つものではないが、


「この建物から学生が出てくる、ということで怪しまれるのも嫌だからね。ま、僕らを気にする人なんか皆無だろうけど、念のためだ」

「わかった」


 ユキトは同意し、スイハもまた頷いた。

 そして魔法で幻術をまとわせる。魔法を使った人間同士では見た目など変わらないが、これでユキト達はスーツ姿のサラリーマンだったりOLに見えるはずだ。


「それじゃあ、行こう」


 カイは告げると率先して部屋を出る。それでユキトとスイハもまた部屋を出て――エレベーターで下へ移動し外へ出た。

 そこは、ユキト達が暮らす町とは大きく違う場所。人混みと喧噪が耳に入り続ける都会。放課後ということもあって学生も多く、人混みの様子を見るだけで気疲れしそうだった。


「足が止まっているけれど」


 ユキトの様子を見て何か察したか、カイが口を開く。


「ここから探索するんだ。ユキト、頑張ってくれよ」

「……わかっているさ」


 ユキト達は歩き出す。歩道を歩く人の流れは縦横無尽であり、目的地は一定していない。ただ、駅方向へ進む人の流れは多く、ユキトはカイへ尋ねる。


「まずは人が多い場所を探すのか?」

「そうだね……ユキト、魔法を使って魔物を探ることはできるかい?」

「やってみよう」


 ユキトはディルの力を利用し、魔力を探る。多数の人々がいるこの都会では邪魔をする様々なものが存在しているが、


「……怪しい魔力はいくつかあるな。ただ具体的な場所まではまだわからない」

「近づけばより正確に場所が割り出せそうかい?」

「おそらくは。あっちの方角だな」


 ユキトが指で示した方向を見てカイは、


「大きな地下鉄駅と地下街があるエリアだね」

「地下街……もし調べるとなったらかなり大変そうだな」

「かもね。けれど魔物がいる以上はやらなければならない」


 カイは意を決したかのように発言した後、先導する形で歩き始めた。ユキトとスイハはそれについていき、三人のは少しの間無言で歩を進め続ける。

 移動を開始して数分ほど経過した時、沈黙を破ったのはスイハだった。


「魔物を発見した場合は、状況を見て判断するみたいだけど……私の方は対応できるかな?」

「ここまでの修行を思い起こせば、十分いけるさ」


 スイハの言葉に対しカイは明瞭な返答をした。


「様々な想定をして修練は行ってきた。それがきちんと発揮できれば、今回の魔物討伐も速やかに行えるはずさ」

「それならいいけど……」

「記憶を戻した僕らの能力に驚き、引け目になっているのかもしれないけれど、そんなことはないさ。スイハを含め、ユキトが再召還された際に巻き込まれた君達は、強い。そこは僕が保証する」


 ――スイハはどういう風に受け取ったか。それ以降返答はなかったのだが、ユキトはスイハが喜んでいるのだと心のどこかで察した。

 そうこうする内にユキト達は目的の近くへ辿り着いた。人混みはさらに多くなり、地下街へ繋がる階段からは人が多数出入りしている。


 人口密度はさらに増し、行き交う車の数も明らかに多くなり、路駐をしているケースも散見された。


「この中から探すのは大変そうだな」


 ユキトは呟きながら索敵を施す。そこで、地下街に反応があることに気付いた。


「カイ、どうやら地下街だ」

「わかった。それじゃあ地下街へ入ろうか」


 ユキト達はそこから地下への階段へ。下りた先には外と同様に多数の人の流れが存在する場所だった。ただ学生の姿が目立ち、


「なんだか、いいなあ」


 スイハが呟いた。確かに同年代の人達を見て、羨ましく思ったのは仕方が無い話。


「魔物は目の前の光景を脅かすことになるんだよね」

「うん、だからこそ是が非でも事態を収束させなければならない」


 彼女の言葉にカイは答えながら通路を見回した。


「ユキト、現時点で場所はわかるかい?」

「……ああ、わかってきた。問題は前みたいに水道管の中とかにいたら至極面倒だな」

「戦い方は魔物の姿を見てから決めよう。ユキト、案内を」


 カイの言葉にユキトは頷き、気配を探りながら進み続けた。


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