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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第七章

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組織の屋台骨

「ただいま」


 いつものように帰宅し、声を上げるユキト。リビングに母親がいることを確認し、自室へと入る。

 荷物を置いて、椅子に座る。本日、放課後の段階でカイから定時報告が来た。記憶を戻した仲間達の鍛錬は順調。魔法の研究も問題はなし。けれど、敵の居所はまったくつかめていない。


「不気味極まりないな……」


 ユキトは呟きつつ、引き出しからノートを取り出してメモをする。スマホなどを使って記録しても良かったが、異世界で戦っていた時もこうして筆を走らせていた。それを思い出し、ノートに情報をまとめるようになっていた。


 ――敵の襲撃から、数ヶ月の時間が経過した。ユキト達は進級して受験生となった。志望校を決めるような段階になって、仲間達も大変だろうと思いつつ、ちゃんと鍛錬には参加してくれている。ユキトとしてはありがたかった。

 ユキトも勉強はしており、このままいけば目指している大学へはいけそうな雰囲気。


 だからなのか、自然と生活の比重は組織の活動に向けられる。


『敵さんは何をしているのかな?』


 ノートへ情報を書いていると、ディルの声が頭の中に響いた。


『交流会の時にあった戦闘から、何も動いていないね』

「カイとしてはより警戒を強めている……異世界における戦いでも、俺達が召喚されて邪竜の侵攻は完全に止まった。けれどそれは計略で、俺達を迷宮に誘う罠だった」

『つまり、敵はそういう罠を用意していると?』

「カイはそう認識しているし、俺もそうだと考えている」


 とはいえ、やれることは敵がどういう動きをするか想定し、それに対する備えをすることだけ――防備については予想以上に進んでいる。仮に大量の魔物が色々な地区で出現したとしても、対応できるだけの力を持っているとユキトは考えている。


「本来、こっちの準備が進んでいる以上は敵としてはどれだけ潜伏していても不利になるしかないと思うんだよな……」


 敵がどれほどの規模かは不明だが、確実にユキト達の組織規模が膨らんでいく速度が圧倒的のはずだった。にもかかわらず敵は動かない。


「次に敵が動いた時は、大規模な行動というのはない可能性もあるな」

『例えば……誰かを狙うとか?』

「暗殺、とまではいかないにしろそれに近い行動を起こしてくる場合は厄介だな。ただ町には既に結界なども構成されているし、敵が動こうとしてもこっちが察知するはずだ」


 ユキト達が暮らす町は霊脈が存在している上、幾度となく魔物が出現した。よって、重点的に守るべきだとして、既に魔法を張り巡らしている。それは霊脈を利用したものであり、霊脈からの魔力が途切れない限りは発動し続ける。

 ただし、それほど強固なものではない。あまり過剰に魔力を吸い上げると人々に影響を及ぼす可能性はあるし、そもそも多量の魔力は魔物などを生んでしまう。人々を守るために構成した結界によって魔物が生まれるとあっては本末転倒であるため、そこは細心の注意を払っている。


「少なくともこの町では……組織がある町では行動する可能性は低いな」

『だとしたら可能性としては別の町で行動する……もしくは――』

「この町の外で活動している人間を狙うか……筆頭はもちろんメイだな」


 ユキトはここでふと、スマホを手に取った。何気なくニュースサイトなどを見ると、芸能ニュースでメイの記事があった。


「メイはどんどん有名になっていくな……」

『テレビにたくさん出ているからね』


 その忙しさは、正直ユキトの想像の範疇を超えているに違いなかった――ちなみに組織の形作りでも彼女の貢献は凄まじく、彼女がいなければ組織自体がスムーズに運営できていないはずだ。


「メイという存在がいるから、組織に関連する職員の人とかが俺達と問題なく接していると思う。交流会だってメイの動きがあったから、あそこまで容易に開催できたわけだし」

『組織を支える屋台骨ってわけか』

「職員達との信頼関係は構築できたし、メイが腐心しなくても良くはなっていると思う……が、カイというリーダー以外にも仲間達のケアをする人物は必要だ。その筆頭がメイ……彼女は治療薬だったこともありそういう役割を率先していたわけだけど、今のメイは異世界で活動していた時よりも遙かに忙しい。身体的な負担も多いだろうし、何かしらやってあげたいけど……」

『例えばリフレッシュさせるのに遊びに誘うとか……でもそれって時間を作らないといけないわけだよね』

「ああ。それ自体が負担になる可能性もある……カイとかに相談してみるか」


 とはいえ、ユキトとしては何ができるのか――それに、メイはどれだけ言及しても弱音を吐くことはないだろうとも思う。


「……俺にできることは、組織そのものをより安定させることかな。それで組織の人員として活動するメイの負担を減らせる」

『それしかなさそうだねえ』


 結論を呟いた後、ユキトは少し考え――カイへ電話をすることにしたのだった。



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