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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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バランス

 ユキトは勢いを維持したまま、三体目の悪魔を倒すことに成功する。その過程でさらに魔物の数を減らしていき、さらにスイハ達も仲間を守りながら迎撃し続け、目に見えて魔物がいなくなっていく。

 そうした中、ユキトは四体目の悪魔を見つけた。しかもその個体はさらに特殊であり、ユキトの視界に映らないよう動くだけでなく、明らかに気配そのものを殺していた。


『見つからないためにリソースを相当使っているね』


 ディルもその異常性を捉えてコメントする。ユキトは彼女の言葉に同意しつつ、


「とはいえ、策としては微妙だな……俺が魔物の中に飛び込むなんて戦法を使わずとも、スイハ達だけで対処できたと思うし」


 もはや魔物の数は減り進路を塞ぐような個体もいなかった。ユキトは瞬く間に悪魔へと接近して、一刀両断。これで特殊な悪魔は全て潰えた。

 その直後、魔物の動きが明らかに変わった。秩序を維持し攻撃をしていたはずの魔物達は、突如吠え近くにいた人間へと襲い掛かった。


「命令の維持ができなくなったみたいだな」


 ユキトは断じながら迫る魔物を全て一撃で倒す。仲間の様子を見れば、応戦し数を減らしている光景が。スイハとノブトの武器がしっかりと魔物を捉え撃破し、さらにアユミの弓が的確な射撃で魔物の頭部を撃ち抜いて倒していく。

 結果、みるみるうちに魔物は消滅していき――最後の魔物を倒して、ユキトはようやく息をついた。


「問題なく倒せたな……ディル、他に敵はいるか?」

『うーん……』


 ここでディルは渋い声を出した。


「どうした?」

『戦いの影響で魔力が乱れてる。索敵するのは少し待った方がいいかも』

「わかった……なら、少し待とうか」


 ユキトは仲間達へその旨を伝える。スイハ達は同意し、少しの間休憩することに。


「私達の戦い、どうだった?」


 そう尋ねたのはスイハ。ユキトは先ほどの戦いぶりを思い返し、


「動きは良かったし、立ち回りも問題なかった。アユミとリュウヘイもスイハ達と連携がとれていたし」

「連携?」

「アユミの援護、さらにリュウヘイはイズミの護衛……双方とも、スイハ達の戦いに邪魔にならないよう、さらに言えば前線の二人に何かあってもすぐに対応できるよう、備えていた……戦闘経験は十分だが記憶が戻っただけで能力については全盛期とは程遠いアユミ達。そして戦闘経験は浅いが霊具を持った体のままこの世界へ戻ってきたスイハ達……両者のバランスをとるなら、今回のように前衛と後衛で動くのが良いかもしれない」


 ユキトはそう結論を述べた後、アユミへ視線を移した。


「そちらはどう思う?」

「一概に言えないというのは当然としても……確かに、基本的にはそういう立ち回りが良いかもしれない」

「リュウヘイは?」

「俺も同じく」


 続いてシオリも同意するように頷いていた。


「わかった、今回の戦い方についてカイに伝えることにするよ。ただまあ、さすがに後衛的な役割を持つタカオミとかを前線に立たせるというわけではない……その場に居合わせたメンバーで臨機応変に……でも、現在はひとまずこの形が一番安定しそうだし、よさそうだ」


 ユキトは結論をまとめた後、森の中を見回した。


「魔物を倒し、今後の戦い方について指標を得た……うん、十分な成果だな。後は他に魔物がいないかを確認して――」

『――ユキト』


 その声はディルからのものであり、頭に直接響くのではなく刀身から声が発せられた。


『魔物がいる。でも、それは――』

「ヤバいのか?」

『うん、明らかに他の魔物とは違う』


 その言葉の直後だった。ユキト達からやや離れた場所の地面が、突如爆発でも生じたかのように轟音を上げながら噴き上がった。

 すぐさまユキト達は警戒しつつもそちらへ向かう。その道中で、ユキトは魔力を感じ取った。先ほどまで交戦していた魔物とは明らかに異なる気配。それだけではなく、感じ取れる魔力量は先日戦ったのあの竜とも比肩しうるものだった。


「止まれ!」


 ユキトは即座に指示を出した後、仲間達へ告げる。


「ここは俺が戦う。スイハ達は守りを固め構えていてくれ」

「一人で戦う気?」


 アユミの問い掛けにユキトは小さく頷き、


「相手の能力がわかるまでは手出ししないでくれ。とにかく魔力を抑えて、相手を刺激しないように」


 その言葉で仲間達の表情が引き締まる。同時、ユキトはたった一人で歩き出した。

 地面が噴き上がった場所には土煙が上がっていたが、やがて何かが姿を現した。竜のように巨大なものではない。背丈はおそらく人間とさほど変わらない。


「……最後に残していた切り札か」


 ユキトはそう断じると共に剣に魔力を注ぐ。さらに全身に魔力を循環させ、力を込める。

 そこでとうとう相手が姿を現した。目前に現れた存在を見て、ユキトは剣を構え迎え撃つ態勢に入った。


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