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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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最初の激突

 魔物の群れは隊列や動きを維持しながらユキト達と真正面からぶつかった。先頭にいた魔物――熊型の存在は速度を維持しながら突っ込んでくる。

 それに応じたのはユキト。ディルに魔力を込め、それを瞬間的に解放。威力を大きく引き上げて、一閃した。魔物はそれでもなお突撃したが、斬撃が入ると、その体が一気に両断される。


 ユキトが剣を振り抜いた時には、魔物の体は真っ二つに分かれて消滅していく光景があった。そして、後続の魔物が襲い掛かってくる。ユキトが剣を構え直し迎撃しようとした時、仲間達も動いた。


「はっ!」


 ノブトの槍が、魔物の頭部を捉えて貫く。次いでスイハの剣が煌めき、魔物の胴体を上下に分断。両者の攻撃によって魔物は散り、


(二人の攻撃でも一撃か)


 そうユキトは心の中で呟いた。直後、今度はアユミの弓が魔物を射抜いた滅ぼす。


「いけそうだな」

「こっちは問題ない」


 ユキトの言葉に応じてみせたのはノブト。


「体も動けてる……鍛錬の成果だな」

「違いない……が、油断は禁物だ」


 ユキトは目を凝らし魔物の能力を推し量りながら剣を振る。仲間達の攻撃でも一撃であるため、ディルの剣戟に耐えられる魔物がいるはずもない。剣を振る度に魔物は等しく滅んでいく。

 最初の激突はユキト達が圧倒。だが魔物達は動きを止めることなく次々と襲い掛かってくる。魔物は確かに数は多い。けれどさすがに大軍勢というレベルではなく、ユキト達の奮戦ぶりを考えるとそれほど長い時間を掛けずとも全滅できる――


(敵はリアルタイムでこの状況を見ているのか?)


 ユキトは剣を振りながら現状を分析する。


(もしそうであったなら、出方を変えてもおかしくない。この魔物達が何かしらの実験で動かし俺達と戦わせているにしろ、ただ単純に突撃するだけでは能がないし、ただ一方的にやられているだけだ)


「ユキト!」


 と、ここで後方にいてシオリを守るリュウヘイが声を上げた。


「このまま終わると思うか?」

「どうだろうな……敵が魔物に命令を与えて動かしているだけなら、このまま戦いが終わる可能性はある。けれどもし敵が遠隔で魔物を操っているとしたら――」


 その時だった。突如魔物の進撃が止まり、ユキト達と対峙するように並び立って威嚇を始める。


「――魔物に新たな命令を与えて、動き方を変える」

「その通りになったな」

「けど、にらみ合いは通用しない」


 ユキトが端的に告げると、魔物の頭部にアユミの矢が刺さった。それで魔物は一体消滅したが、後方からさらなる魔物が前に出てきて対峙する。


「アユミ、弓の調子はどうだ?」


 そこでユキトが問い掛けると、


「まあまあね。霊具を持っていない以上、それほど強力な矢を放てるわけでもない。けれど――」


 その言葉の直後、矢が放たれる風切り音が聞こえたかと思うと、複数体の魔物に矢が突き刺さった。

 それにより、前衛に立っていた魔物が数体まとめて消滅――そこへ、ユキトは斬り込んだ。前衛が消えたことによって魔物の動きに戸惑いが見られ、ユキトの追撃によって魔物が動くことなく数体消えていく。


(今のアユミの攻撃、明らかに魔物の想定外だったみたいだ……例えば、命令を遵守しているだけならば前衛が消えても後ろの魔物が出てくるだけで、俺達の動きを見極めて動けばいいだけだ。でも、そうじゃないってことは、魔物達は遠隔で逐一命令を送っているのか?)


 考えつつユキトはさらに魔物を斬る。それに乗じてスイハとノブトの二人も動いた。両者の武器が魔物へ差し向けられ、確実にその数を減らしていく。

 魔物側に何か大きな手がない限り、現状を変えられる手立てはなさそうに見える。魔物側の攻撃は単純な接近戦であり、ユキト達はそれをさせる前に剣や槍を使いはね除けている構図。


 この状況を維持することができれば、あっという間に魔物の数は減り勝利することができるはず――とはいえユキトはそう甘くないと考える。理由としてはこの魔物の動きが単純な魔物の遠隔操作、その実験であったとしても、ただ単に魔物を動かすだけでは終わらないだろうという推測だった。


(邪竜は合理的な考え方をしていた。俺達が召喚されて形勢不利だと考え、迷宮で迎え撃ったほどに。俺達の能力について検証する意味合いだってあったはずだけど、必ず他にも思惑はあるはずだ)


 これで終わるわけが無い――そんなユキトの予想を裏付けるかのように、魔物の群れの中に明らかに他の個体とは違う動きをしている存在がいた。


「あれが司令塔の役割を持った個体か? それとも、切り札か?」


 ユキトはそこで当該の魔物について仲間へ警告。すると、アユミはその魔物へ向け照準を合わせたか、


「私がやる!」


 声と共に彼女は矢を放った。それは正確に対象の魔物へ向けられ、あっという間に直撃する――そう思った矢先、パアン! と矢が弾けた。


「防いだか」


 ユキトは呟く。そして前衛を固める魔物を倒しながら、アユミの矢を防いだ魔物へと注意を向けた。


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