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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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心酔する者

 カイはその後、魔物を捜索しなければならないと判断し、今後索敵を強化していくと表明した。


「イズミが作成する霊具なども活用し、魔物を探し出す……それと平行して、邪竜とその一派を探し出せばいいだろう」


 そう彼は語るが、言うほど簡単ではないだろうとユキトは内心断じる。


「ある程度人数も多くなったし、ユキトが再召喚された際、共に戦った人達も成長している……それを踏まえれば、もし交戦した場合でも対処はできるはずだ」


 その言葉を受け、次に発言したのはメイ。


「敵だって準備は整えていないだろうし、今のうちに倒せるならやった方がいいよね?」

「そうだね。敵は隠れて次の行動を起こすための準備をしているだろう……その間に探し出すことができれば……」

「イズミの霊具がどこまで機能するかにかかっているかな?」


 ――そこが不安要素ではあったが、この場にいた仲間達の間に心配する雰囲気はなかった。彼女の仕事ぶりは自分達がよくわかっている。異世界で所持していた霊具がないとしても、相応の仕事をしてくれるだろうという確信があった。


「……ひとまず、今日は解散しよう」


 そしてカイはまとめるべく口を開いた。


「他の仲間達の記憶を戻すのは後日……可能であれば一斉にやりたいところではあるけれど、さすがにそれは難しいからね。ただ、仲間が増えたことで今まで以上に記憶を戻しやすくなっているのは間違いない……ユキト、その時は頼むよ」

「ああ」


 そして仲間達は解散――というわけだが、ここでメイはシオリやアユミを誘い三人でこの場を去った。おそらくカフェにでも寄って記憶が戻ったことにより話に花を咲かせるのだろう。


「俺達もどこかに寄っていくか?」


 リュウヘイがそんな問い掛けをする。ユキトとカイはそこで互いに視線を交わし、


「俺はいいぞ」

「僕も構わない」

「なら……そうだな、ユキト。再召喚された時のことを話してもらえないか?」

「ああ、いいよ」


 頷き、ユキト達もまた移動する。その際の空気は、ユキトも感じたことのある――異世界で戦っていた激動の日々。それに似ているものだった。



 * * *



「これで、作業は終了だな」


 ヒロはとあるホテルの一室で呟くと、向かい合っていたノートパソコンから目を離した。

 そして椅子から立ち上がって軽くのびをする――と、そこで横から人影が。


「お疲れのようですね」


 スーツ姿のサラリーマン――といった風体のオズであった。彼の手にはカップに入ったコーヒーがあり、ヒロへと差し出す。


「ああ、慣れないことをするもんじゃないなと心の底から思うぞ」


 返答しながらヒロはコーヒーを受け取り、飲み始める。


「表立って行動はできないから引きこもるしかない……で、その間に事務作業をやれとミリアから言われやっているが、つくづく自分に合っていない」

「とはいえやれる人は他にいませんし」

「そうだな……ミリアは動き回っている上に俺はあいつにかくまわれている身だし、粛々と作業はするけどさ」


 肩をすくめながらヒロは語る――現在いる場所はミリアによって提供された部屋。それなりに金の掛かる広めの部屋であり、ヒロは最初暮らしていたアパートと比較してあまりに広かったため、落ち着かなかったくらいだ。


「進捗の方はどうですか?」


 オズが問い掛ける。それにヒロは首を鳴らしながら、


「順調だよ。ミリアが上手いことやっている……ただ、敵側もかなり強くなっているな。思った以上のペースで仲間を増やしている」

「戦力を整えている速度が早いと」

「場合によっては俺達をあぶり出すために動くかもしれないな……それに対しリュオは作戦を続けろとだけ」

「想定していると?」

「どうなんだろうな」


 ヒロは腕組みをしつつ、窓の外へ視線を移す。時刻は夜。ホテルの高層階に位置する部屋であるため、建物よりも夜空の方がよく見えた。


「俺達を束ね力を与える存在……ただ、敵の動きを完璧に予測できているかと言えばわからない」

「ヒロは懐疑的、というわけですね」

「そういうオズはどうなんだ?」

「余すところなく信奉しているわけではありません。ミリアなんかはそういう考えかもしれませんが」

「心酔しているのがわかるからな。財産全てを注ぎそうなくらいだ」

「リュオはそれをわかって接している節もあるでしょうが」

「……心でも読んでんのか?」

「どうでしょうね。どちらにせよ、力はもらえる……それだけで、付き従う理由としては十分ですよ」


 そう答えたオズはヒロに対し背を向けた。


「そろそろお暇します。ミリアさんによろしく」

「ああ」


 オズは部屋から出て行く。そこで一人となったオズは、息をついた後椅子に座ろうとして、


「退屈そうだな」


 リュオの声だった。驚いて目を向けると、部屋の隅にいつのまにか立っていた。


「……心臓に悪いな」

「すまんな。さて、仕事にもそろそろ飽きてきただろう」

「他にやることもないからな……何か仕事をくれるのか?」

「ああ。とはいってもこの部屋から出ることはない……敵が思った以上に力をつけてきた。それに対し手を打とうと思ったのだ」


 どうするのか――ヒロが尋ねるより前に、リュオは告げる。


「力を与えた者にしかできないことだ。ヒロ、手を貸してもらうぞ――」


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