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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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鮮烈な記憶

 来る、とこの場にいた誰もが考えた矢先、一番最初に動き出したのはカイ。魔法で剣を生み出した直後、形を成す魔物へ向け一閃する。


「ふっ!」


 先制攻撃であり、カイの剣は確かに敵へと入った――のだが、刃は水の体を斬っただけで敵の動きは変わらなかった。


「核を壊さないと無理だな……!」


 カイはそう呟くと一度距離を置く。その間にも魔物はさらに形を成し――公園に、巨大な水柱が生まれた。ユキトはその間にディルを呼び寄せ、剣を握っている。


「核が出てきていないな……」


 ユキトはそこで、魔物の心臓である核が地上に出てきていないと悟る。


「俺達の戦闘で何か学習し、弱点については地下にいた方がいいという判断か……」

「なら、引きずり出さないといけないな」


 カイはそう告げながら剣を構え直した。


「魔物はメイの歌に引き寄せられている。とすれば――」


 魔物が動く。水流が渦を巻き、狙いを定めるように――メイへ向かって突き進み始めた。

 即座にユキトが応じる。魔力を伴った斬撃は的確に水流を射抜き、勢いをなくすと同時に水が地面に落ちる。


「とりあえず、魔力を込めて斬れば分離はできるな」

「なら、まずは核が出てくるまで時間稼ぎかな」


 カイは言うと同時に、仲間へ指示を出す。


「リュウヘイは戦えるかい?」

「魔法で盾を作ればいいのか?」

「可能かい?」

「ああ、なんとか」


 応じると彼は右手に大盾――銀色の盾を出現させた。


「思った以上に使っていた霊具に似せることができるな」

「それでメイを守って欲しい」

「了解した」

「そしてシオリとアユミは――」

「私達も戦うよ」


 カイの言葉を遮るようにアユミが発言する。それと共に彼女も魔力を発し――弓を出現させた。

 リュウヘイも彼女も、記憶を戻したのは今日であるはずなのだが、それでも戦う気概を見せ魔力を使いこなしている。


(スイハ達とは違う……それこそ、死線をくぐり抜けてきたからか)


 内に眠っている記憶が鮮烈であるが故に、リュウヘイ達はすんなりと魔法が使える――ユキトはそう結論づけながら、魔物を見据える。

 噴水から湧き出るように大量の水が生まれ出ていた。それは不定形かつ物理法則的には本来あり得ない動きに加え、地面に水柱を形成している。


「……これだけの規模水を操る個体となったら、相当強いぞ」


 カイはそう呟いた。ユキトも内心同意だった。


(まるで竜のように強い……いや、隠れることができるという特性から、こちらの方がよっぽど厄介か?)


 ユキトは心の内で呟きながら、剣を構え直す。水はさらに噴水から這い出てくるが、肝心の核はまあ現れていない。


「とことん本体を隠すつもりだな」

「むしろこちらから引きずり出さないとまずそうだな」


 ユキトの言葉にカイが言う。問題はその手法――


「カイ、何か案はあるのか?」

「ユキト、核の位置はわかるのかい?」

「……地上から数メートル先くらいに、明らかに高い魔力が存在している。たぶんそれが、本体じゃないかな」

「ならそれを破壊できればいいと」

「噴水から湧き出ているけど、そこから魔法を当てるのは難しいかな……」

「ふむ……」


 カイは魔物を前にして考え込む。一方で敵は動かない。なおもメイは歌っているのだが、その前に障害となる存在がいることで警戒している様子だった。

 とはいえ、この膠着状態がいつまでも続くはずがない――どうやって核を倒すのか。ユキトが考えていた時、


『ねえメイ』


 ふいに剣から声がした。


『歌を使って魔物を倒すとかはできないの?』


 するとメイは一度歌を中断する。


「……私の歌に反応している以上、それを使ってだね? でも私は基本、歌を攻撃に使ったことはないからなあ」

「そもそもメイがそんな攻撃をしたら俺達も巻き込まれるぞ」

『あ、そっか』


 ディルは気付いたように声を上げる。その間にもゴボゴボと魔物がさらに膨れ上がっていく。


「……ユキト」


 そしてカイは、名を呼んだ。


「魔物の能力についてはわからないけれど、地下にいる魔物を倒すには魔法しかないだろうな」

「つまり外へ引きずり出すのではなく、今の状態を維持して魔法で倒すと……雷撃系の魔法を使えば倒せるかな? 問題は――」

「どれだけの出力なら破壊できるのか……それならシオリ」

「え、私?」

「ユキトと連携して魔法を放つ……できるかい? ユキトの攻撃だけでなく、シオリの魔法が追加されたら、確実性が増す」


 その言葉を聞いてシオリの顔に緊張が走る――が、


「や、やってみる」

「ユキト、どうだい?」

「そうだな……全力の魔法なら、確実に破壊できるとは思うけど下水道に影響が出てしまう。それを踏まえれば、俺の魔法とシオリの魔法……二段構えによる攻撃の方がよさそうだな」

「ならその手でいこう。シオリ、準備はどれだけ掛かる?」

「……自分の魔力だけで練るわけだし、魔物の体を通して核に当てる……難しい作業だし、数分は欲しいかな」

「ならその時間耐えよう」


 カイが決断した直後――魔物がとうとう動き出した。


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