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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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炎の魔法

 魔物が仕掛ける――そう悟ったカノは即座に魔力を高めた。ユキトの目には彼女の体から湧き上がる魔力の流れをしかと確認できる。

 魔物、ミノタウロスが踏み込みカノが右手をかざしたのは同時だった。刹那、彼女の手から生み出されたのは業火。形を成しているわけではないが、熱風と共に炎が生じ、それがミノタウロスの体に直撃した。


 熱風によって魔物の動きが止まり、さらに炎によって雄叫びが上がる。とはいえ、勝負はそれだけで決まらなかった。ミノタウロスは腕を振り、さらに体から魔力を発して炎を消し飛ばす。


(それなりに魔法耐性を付与している……ダメージはあったけど、まだ勝負は決まっていない)


 ユキトはカノを注視。彼女はさらに魔法を放つべく魔力を右腕に集中させる。直後、ミノタウロスが彼女へ肉薄した。間合いを詰められれば彼女にとれる選択肢は少なくなるはず。

 だが、カノは冷静に魔物の動きを見極めた。放たれようとする魔物の右拳へ狙いを定め、炎を放った。火球のように直撃したら爆発するような技法は用いない。次の炎もまた熱風を伴ったものであり、攻撃しようとした腕に対し機先を制する形で動きを封じ込めた。


(あの巨体から繰り出される攻撃は、力のみでも相当な威力のはず……でもカノの魔法はそれを押し留めた)


 魔法の扱い方に関しても問題はない。なおかつ、単純に火球を生み出すのではなく応用を利かせて今回の魔物に応じている。


(霊具により残った技術を活用しているのは間違いないけど……カノもまた修練を欠かしていなかったか)


 カノがさらに仕掛ける。両手を突き出してミノタウロスへと向ける――魔物としては攻撃が不発に終わり、ならばと後退しようとした矢先の出来事。攻撃するには間に合わず、だからなのか魔物は両腕を交差させて受ける構えを示した。

 そしてカノから放たれた魔法は、炎の――渦。らせんを描くように炎が真っ直ぐ魔物へと突き進み、業火が直撃。魔物だけでなく、その周囲を焼き尽くすように大気すら焦がす勢いだった。


 ガアアア――と、魔物の悲鳴が上がる。そこでユキトはカノが放つ魔力に着目した。その力の大きさは聖剣を所持していたスイハと比べれば小さいはず――なのだが、目前で魔法を放つ彼女の力は、スイハに比肩しうる能力のようにも感じられる。


(もしかすると……)


 ユキトは彼女が所持していた霊具について思い返す。その間にも戦闘は進み、業火を振り払ったミノタウロスが大きく後退した。ひとまず体勢を立て直す――とはいえカノは遠距離攻撃が可能であり、周囲の仲間達はその選択は悪手だと思っただろう。

 魔物はこれまでとは異なる行動に出た。両腕に魔力を集める。その所作を見てカノもまた魔力を収束させる。


「魔法も使えるのか」


 外野からタカオミの声が聞こえた。ユキトは内心でその通りと呟きつつ、事の推移を見守る。

 カノは多少なりとも魔力を溜め、ミノタウロスが攻撃を行うタイミングで魔法を発動させた。彼女が解き放ったのは先ほどと同様、炎の嵐。それに対し魔物は、両手を突き出すと、光の帯を放った。


 光弾とは異なり、まるでレーザーのような見た目をした魔法。それが炎と激突した瞬間、両者は拮抗し魔法同士がせめぎ合いとなった。

 カノは両手をかざしたまま炎を維持する。光の帯は魔物の魔力を受けてさらに輝き、カノのことを蹂躙しようとさらに強まるが――ここで、カノに動きがあった。両腕に、さらなる魔力が生まれる。


 魔物は巨体であるが故に、相応の魔力を抱えている。ユキト自身、霊具を持たないカノが魔物の力全てを真正面から受けとめることができるのか――疑問だったのだが、目前の光景を見る限り、彼女には応戦できるだけの力があるのは間違いなかった。

 いや、そればかりではない――カノの炎は勢いを増し、やがて光の帯を破壊した。途端、ミノタウロスは両腕を交差させ魔力を発してガードする。カノの炎が再び魔物の体に直撃し、炎が舞う。


 とはいえ、魔法の激突によって威力はだいぶ相殺されたか決定打にはならなかった。けれど魔物の魔力も残り少ない。間違いなく次の激突が最後になる。

 ユキトはカノを見る。ここまでは魔物を圧倒している状況だが、彼女とて決して余裕があるわけではないのは認識できた。確実に使える魔力は減っている。本気で応戦できる回数も、決して多くないはず。


 しかしその状況下でもカノの顔は冷静で、魔物を見据えている――ミノタウロスが仕掛ける。今までのように状況に合わせて動くのではなく、猪突猛進という言葉が似合う突撃。巨体によるぶちかましは、まともに食らえば致命的になることは間違いないが、カノはまたも両腕をかざすことで応じた。

 刹那、生じたのは赤色の壁。結界であり、魔物は拳を振りかぶって破壊しようとした。魔力を込めた渾身の一撃は、結界に直撃し――きしむような音を上げたが、破壊には至らない。


 魔物が動きを止めた一瞬の間に、カノは次の攻撃準備をした。今までよりも急速に、魔力を溜めそれを解き放つ――生じたのは炎の槍。それも魔物の体格に合わせた巨大なものであり、それが敵の、胸部を刺し貫いた。


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