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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第五章

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異世界での経験

 結局、大規模な魔法陣以上の気配はなく、さらに魔物の発生も停止したため、ユキトはスイハと合流して話をすることとなった。


「とりあえず、討伐完了だな」

「今回、得られた情報で敵の居所とかを探れればいいけど……」

「まだ情報が少ないし、何より捜査するにしても準備が必要だからな……敵が邪竜に関係する存在だとしたら、俺のことは知っているはずだ。そう簡単に見つけることはできないだろう」


 ユキトは今回の戦いについて振り返る。


「敵の目的はいまだ不明だけど、俺達の存在を利用して何かをしている気配がある……今後、こうやって仕掛けてくる可能性は極めて高いな」

「その都度、私達が出るってこと?」


 問い掛けにユキトは思案する。

 相手はいくらでも方法がある。今回はたまたまユキトが学校終わりで、なおかつスイハだって来れる状況と場所だった。けれどもし、ユキト達が近くにいない場所でこうしたことが行われたら――


「……相手がこんな風に魔物を生み出せるのであれば、物量作戦でこちらが対処しきれないほどの魔物を生み出すことだってできるかもしれない。そうなったら――」


 ユキトはそこまで言った後、スイハへ目を向けた。


「そういえば警察の人に連れてこられたみたいだけど」

「あ、うん。実は私も詳しくは知らなくて」

「警察から組織に連絡が来たわけだから、警察の人が動いているのはわかるけど……ま、いいか。とりあえず現段階で警察の人も動員できるってことはポジティブだ」


 そこで、スマホに着信が。それはカイからで、


「はい」

『終わったようだね?』

「ああ……そっちは今どこにいるんだ?」

『少々準備をした後、そちらに向かっているよ。魔法陣のいくつかは破壊していないね?』

「ああ、これからどうするかカイと相談しようと思っていたんだけど」

『なら合流しよう。スイハについては、帰っても帰らなくてもどちらでも良いけど』

「……スイハ、君の方は帰れるけど、どうする?」

「付き合うよ」


 即答だった。その旨をカイへ伝えると、


『わかった。なら二人で待機していてくれ』


 そう言い残し、通話は終わった。






 ユキト達は普段の格好に戻り、カイが来たことで会話を始める。雑木林の中で既に時刻は夜。魔法で明かりを生みだし、周囲に結界を張ってユキト達の存在を認知されないようにしている。


「ふむ……なるほど」


 カイは魔法陣について確認すると、そう声を上げた。


「いくらか可能性を考えていたけれど……間違いなく邪竜に関連する力が使われているな」

「カイがそう言うんだから間違いないな……とすると、こっちの世界で戦わなければならないのか」

「もし、あの邪竜がそのまま顕現したのなら、未曾有の大惨事になる」


 カイが告げる。ユキトとスイハの表情は硬く、なおかつ重くなる。


「ユキトが『神降ろし』を扱えるとはいえ、邪竜という存在を攻撃するには、それこそ迷宮クラスに面倒な攻略が必要になるかもしれない」

「どこかに引きこもったら、そうだろうな」

「……ユキト、率直な意見を聞かせて欲しいのだけれど、もし僕らが戦った邪竜が現れた場合、君の『神降ろし』で対抗できると思うかい?」


 ユキトはカイの問い掛けに対し、一度目を伏せ考える。


「あくまで個人的な見解だが」

「話して欲しい」

「カイが倒れてから俺はリュシールと契約して力を得たわけだが、邪竜の強力な結界も、恐ろしい攻撃も全て対抗できた。よって、結論から言えば十分渡り合えると思う。ただ」

「ただ?」

「おそらく、戦闘を行った周囲は相当被害が出る」


 その言葉に、カイとスイハは沈黙した。


「あの戦いは最終的に俺と邪竜の一騎打ちになったんだが、迷宮内に相当な魔力が吹き荒れた。あれが再現するとなったら、町がどんなことになるか……」

「周辺の被害か。それすらも邪竜が考慮しているとしたら、相手は相当キレ者だな」


 カイはそう言いながら、静かに息をつく。


「結論から言うと、対抗することは可能だと」

「一応、な」

「わかった……万が一、絶対にあってはならないけれど、最悪の事態に陥っても打開できる可能性はあるわけだ」

「――でも、懸念はある」


 ここでスイハが口を開いた。


「この世界の人は魔力を多大に抱えている。それを考慮すると……」

「邪竜がそれを利用して、というわけだね? 僕もそれは憂慮しているし、実際その力を活用して魔物の生成も行っている。正直、放置はできないしこれから敵の動向を考えると、野放しにもできない」

「でも、どうするんだ?」


 ユキトの問い掛けにカイは一考し、


「……この魔法陣を解析して、探査魔法を構築する」

「できるのか?」

「ツカサの記憶が蘇っているから、十分可能だ。彼の方も訓練はしているらしいし、索敵魔法くらいなら……範囲を相当拡大して活用できるはずだ」

「範囲……それってどのくらいだ?」

「ツカサと相談するべきところだけど、国内全土をカバーしたいところだね」


 全土――その言葉でスイハがゴクリと唾を飲む。


「でき、るの?」

「僕の見立てでは」

「ツカサも相当化け物だよな」

「ユキトに言われたくないと思うけどね」


 そんなやりとりを成した後、カイはユキトとスイハへ言う。


「この戦いで、色々な懸念が生まれたと思う。それについては僕もよくわかっているし、対策を組織を通じて構築すべきだと考えている」

「問題は、どれだけ早急に……だよな」

「ツカサを呼んで、一両日中には完成させるさ」

「学校とかは……いいのか?」

「学校に行っていても、対策は組めるよ」


 その言葉に、改めて異世界での経験――邪竜との戦いは、とんでもなかったのだとユキトは認識する。


「カイ、確認だけど記憶を戻す予定をしているイズミ以外の面々は……」

「現在はまだ、不明だ。けれど、僕としては裏方……言わば霊具や魔法に関連している人物を、優先的に戻した方が良いと思う」

「だとすると……シオリやトシヤか?」

「その辺りになるかな。シオリなんかはメイの友人だし、すぐにでも記憶を戻せるかもしれないね。ま、これについてはツカサと相談して決めるとするよ。ひとまず二人はこれで終わり。お疲れ様、後は僕に任せてくれ――」


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