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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第三章

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自分の責任

 最後の最後まで話し終えた後、雪斗は皮肉を込めた笑みを浮かべた。


「これが、事の全てだ……すれ違いとか、そういうものでもない。最初から最後まで、俺がやらかしたことだ……その後、俺は近況も聞いていない。でもまあ、俺が考えていた理想とかけ離れているのは間違いない」


 雪斗はさらに語り出す――その声は、やはり苦しそうだった。


「俺が手を出したことで、歪みが生まれてしまった……本当なら、俺はとことん関わって元に戻せるよう尽力すれば良かった……良かったはずなんだ、だけど――」

「もういい、ユキト」


 と、レーネが優しく雪斗へ告げた。


「わかっている、後悔ばかりなのは。進むも逃げるも、どちらも苦痛を伴うことは」

「レーネ……」

「その中でユキトは逃げることを選択した……それを聞いて、思うところがある者もいるだろう。ユキト、その選択が間違っているのか、正しいのかは誰にもわからない……わからないんだ。だから、こうすれば良かったのだと後悔し続けるのだけは、やめるんだ」


 雪斗は沈黙する。翠芭としても同意見であり、


「雪斗は、間違っていると思ったの?」

「……決して、良い選択ではなかったと思うよ。結果的にカイも幼馴染みも望んだ結果にならなかったから」

「言いたいことはわかる……ただ、その……雪斗の決断で全てが決まってしまう、というのも違うような気がするの。だって、これから仲が元に戻る可能性だってあるでしょう? それに」


 と、翠芭は頭の中で言葉を選びながら、


「二人の関係が……雪斗のせいで完全に途切れたわけでもないよ。彼の想いは……きっと、記憶を失っても同じだと思うから」


 雪斗は沈黙する。決して答えのある問答ではない。現状どうなっているのか。それがわからない以上は推測でしかない。

 だからきっと、ここで告げる内容も仮定の話でしかないのだが――それでも、翠芭は言葉を紡ぐ。


「全てが自分の責任だとは思わないで……確かに雪斗は、自分の感情にまかせて動いたかもしれない。でもね、それは異世界を訪れていなくたって同じだと思う。雪斗が介入していなかったとしても、同じ結末を迎えていたかもしれない……思い詰めないで」


 そこで翠芭も言葉が止まった。わかっている。どう説明したって雪斗が納得するはずがないと。

 けれど、翠芭の言葉には力があった。だからこそ雪斗は、


「……ありがとう、翠芭」


 そう彼女へと告げた。


「解決したわけではないけれど……少しだけ。軽くなった気がする」

「もしあちらの世界へ戻ったら、何か手伝おうか?」

「いや、大丈夫……どうすべきか、もう一度考えて見るよ。自分がやってしまったことはどうしたって戻らない。だから、元の世界へ戻って……何ができるのか、考えようと思う」

「ま、雪斗の一事で何もかも決まってしまったわけじゃない」


 と、今度は信人が話し始めた。


「案外、今見たらよりが戻っているかもしれないぜ?」

「そうだな……俺の取り越し苦労だったというオチだってあるな。でも、もしかすると悪化しているかもしれない」

「俺はそう思わないけどなあ……確かに、厄介な話ではある。でもさ、雪斗。一つ訊いていいか? もしこちらの世界の記憶を持つカイがこの行動を知ったら……どう思うんだろうな?」

「推測でしかないけれど……カイは優しいからな。ま、仕方がないよで終わらせるかもしれない」

「俺は、邪竜との戦いで霊具に眠っていた人物の記憶と対面した。その時言われたのが……雪斗はおとなしい性格だが、一度決めたら曲げないような面もある。だから、突っ走ろうとしたら周りが冷静になって受け止めてあげてくれと」


 その言葉で、雪斗は苦笑する。


「さすが、だな……信人が持っている霊具の所持者とは、色々と話をしたし、性格もわかっていたと」

「雪斗の行動は、その性格によるものだろう? 周りに誰もいなかった……そのことが、悲劇……というか、今回の騒動を引き起こしたと」

「私もいたんだけどねー」


 と、不服そうにディルが述べる。すると雪斗は、


「ああ、冷静になれって言われたな……」

「そうだよ。まったく、突っ走った結果を見せられる身にもなってよね」

「……ああ、そうだな」


 苦笑を収め、雪斗はもう一度改めるように、


「どうするかは……元の世界へ戻って考えるよ。少なくとも今回は、一緒にいてくれる仲間がいるみたいだから」


 翠芭達は一斉に頷く。そこで、今度はジークが話し始めた。


「一定の答えは出たようだな……では話を変えようか。今後のことについてだ」


 全員、視線を王へと集める。


「邪竜が残した言葉を含め、迷宮が再びこの地上を脅かす可能性がある。とにかく魔紅玉がある限り、油断は一切できない。二度と今回のような戦いを生まないよう、恒久的に迷宮を封鎖しなければならない」

「いずれ、遠い未来再び迷宮が復活する危険性もありますが」


 翠芭の意見に王は小さく頷き、


「そうだな……これについてはユキトと協議した。結果として魔紅玉の力を利用し、処置を行うことにした。よって、元の世界へ帰る手段は別に用意するつもりだ。これについては色々と調査しているが……少し時間が掛かるかもしれない」

「魔紅玉を使えば元の世界へ帰ることはできる」


 そこで雪斗が口を開く。


「けれど、俺達のような異世界からの来訪者……それを二度と生まないために、魔紅玉の力を用いて、処置をする……だから、迷宮を攻略して即座に帰れるという展開にはたぶんならないと思う」

「そこは仕方がないよ」


 翠芭は雪斗の言葉にそう応じた。


「私達のようにさせないためには必要なことなんでしょ? なら、そんな風にやるしかないよ」

「クラスメイトのみんなには少しばかり苦労を掛けることになるけど」

「そこは僕らでなんとかするさ」


 貴臣が代表して声を上げる。他の面々も同じような意見なのか相次いで頷いた。


「迷宮探索は、数日後になる」


 と、ここでジークがまとめに入る。


「邪竜との戦いについてもう少し後始末が必要であるため、少しの間この城で待機してもらうことになるが……」

「ゆっくり待たせてもらうさ」


 雪斗の言葉にジークは「わかった」と頷く。そうしてようやく、話は終わることとなった。


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