表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

10月7日

右、右、左、左。

ワリスタの第一カーブでのサンドリをするような足取りで少年は帰路についていた。

部活でくたくたであったが日課は忘れない。ワリスタでの入力と似たような動きで帰ってワリスタのTAを帰宅早々するのが少年の日課だ。

いまや3ヶ月以上続けている日課。初めは奇妙な足取りに困惑する目も少なくはなかったが、今では皆慣れたものだ。

「低空からのJAスルー!」

玄関に普通の生活では目にしないような角度で滑り込みながら靴を華麗に脱ぎ捨ててダイブ。…のつもりではあったが少年の膝にできた傷は少なくない。

しかし階段を登る足取りは軽い。なんだか今日は更新できる気がする。

両手を上にあげ競技終わりの選手さながらのポーズを決めた。のだが…。

「はああ!?サンドリ吸いついたわ!!」

見てしまった。ワリスタの俺の記録が確かに抜かされるのを。目の前で小柄な少女にsubられるのを。

「ああ、いっち帰ってきたの?おかえり」

「おかえりじゃねーんだよ!俺んちだろ!?…というより俺の記録は…?」

「え?あぁ、更新意欲を刺激されたでしょ?」

「-----」

呆れたのか、幼馴染である少女の笑顔に圧倒されたのか、少年いっち自身にもわからないままいっちはSFC虹のドッスンのように表情を無くすしかない。

「そんな硬い表情してどうしたの?」

何も理解していないのかこの女は。

「ま、そんなわけで今夜は徹夜で頑張ってちょー!あ、お母さんお邪魔しました!」

周りを巻き込んで荒らして、笑顔で去っていくのだから、呆れたものだ。お前はカラカラ砂漠の蟻地獄か。

「とりあえずゴーストでも見てみるか。」

5時間かけて更新したコースが数十分で更新されたことに関しては悲しさを隠しきれないが、だからといって怒りに走ることはできない。

ゴーストを垂れ流しにしながら、少年は暖かい手のひらに包まれていくように眠りに落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ