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傷心の果てに7
「私の旦那の代わりになってくれますか?」と客が悪戯っぽく苦笑いしてからホスト亭主に向かって尋ねた。
ホスト亭主が尋ねる。
「貴女が保険金目当てで旦那さんを自殺に追い込んだ話しは今まで他のホストにした事はありますか?」
客が答える。
「それは初めてですね。こんな話し、余程信用出来る相手じゃないと、出来ませんから」
ホスト亭主が訝る仕種をしてから尋ねる。
「自分は信用出来ると判断したのですか?」
「そうですね。貴方の口は固いと、私は判断したのです」
ホスト亭主が会釈してから言った。
「有り難うございます。その言葉はホスト冥利に尽きますね」
客が苦笑いしてから間を置き言った。
「貴方は死んだ旦那に面影が何となく似ているのですよね。だから信用して打ち明けたのです」
ホスト亭主がすかさず言った。
「でも正直自分は所帯持ちだし、他のホストと同じように貴女の寂しさをその場凌ぎで癒す事しか出来ませんが」
客が悪戯っぽく苦笑いしてから、ホスト亭主を横目で見遣り言った。
「私の旦那の代わりになってくれますか?」