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傷心の果てに6
「死んだ旦那さんの代わりになる誰かを探し出すという手もありますよね?」とホスト亭主は尋ねた。
ホスト亭主が固唾を飲み言った。
「死んだ旦那さんの代わりになる誰かを探し出すという手もありますよね?」
客が否定する。
「そんなのは絶対に有り得ませんね。今まで散々ホスト遊びをして来たけれども、これはあくまでも遊びであり、その場限りの寂しさは癒えても、宴の後の虚しさと空虚感が残るだけで、あの人に対する罪悪感は益々募るばかりだったし」
ホスト亭主が一声唸り声を上げてから言った。
「生きる希望になるような出会いは無かったと?」
客が答える。
「当然でしょう。あなた方ホストは客を商売相手にして、擬似恋愛を仕掛け儲けるのが仕事でしょう。それが分かっていて、私は敢えて遊んでいるのだし。後はお金が底を突くのを待つだけの状態だし。お金が無くなれば、あなた方ホストも私みたいな精神病患ったおばさんなんか相手にしないだろうし」