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異文化交流?

交流しませう

「こんにちは」


化け物が挨拶をしてきている。

そりゃもう私ぐらい大きいお顔で挨拶してくる。

怖い。

こりゃ怖い。

そりゃ私も冒険者さ。

でもそれと同時にか弱き乙女でもあるわけで。

隊長から、誰が?とか言う言葉が聞こえた気がしたが気にしない。

えっと、に、逃げた方がいいのかな。

挨拶されたからとりあえず挨拶返せばいいのかな?


「は、はじめみゃして、こんにゃくちわ」

「どんな、食べ物だそれは」


うるさいぞおっさん隊長!そこちょっと黙ってろ!


「山の中で人を始めて見たー、よろしく?」

「よ、よろしこ」


化け物が凄いゆったりした仕草でこちらにさらに顔を近づける。

うわー、お目目パッチリですね。

帰りたい。


「あ、ごめんなさい。お母さんところ戻らないと。またね」


向こうから帰ってくれるらしい。

た、助かった...

と思ったら化け物が立ち止まり


「そうだ、このお肉、ワケテアゲル」

「はい?」


そう言った後に彼?が先ほど捕まえた兎を取り出してきた。

そしてその大きな両手で兎を持ち上げ、

横に引き裂いた。


「ひぃい!!」

「こら、叫ぶんじゃね」

「た、隊長~」


無茶言わんとください。

素手で兎引き裂いとりますよ。

血がドバドバ出とりますよ。

ちょっと私の服に掛かったんですけど。泣きたいんですけど。

何これ?デモンストレーション。

今からあなたもこんな感じでゴウ・トゥ・ヘルっていうパフォーマンス?

くそ、隊長め、さりげなく遠いポジションをキープしたままずっと逃げる準備してやがる。


「はい、半分アゲル」


ぬぉおおおおおお!!!

そのまま血まみれの元兎だったものの片割れをよこしてきた。

なぜよりにもよって上半身部分を。

兎の目が絶望に染まっているのが印象的でした。

ていうか何?え?これ受け取れと?


「えっと、私にく、く、くれるつもりなのかなななな?」


全力でお断りしたい。


「うん!会えて嬉しかったから」


駄目だ。これ受け取らないと駄目なパティーンだわ。

そこの隊長!笑ってるんじゃない!


「いらないの?」

「ぐっ、いやーそそそんなことなかとです。ありがとう」


覚悟を決めて兎を受け取る。

大きいお手手ですな。

実に私一人ぐらい簡単に握り潰せそうですな。

帰りたい。

私の手も兎の血に染まる。


「よかった~、またね」


そして化け物はのそのそと森の奥へと戻っていった。


「ふー、びっくりしたな」


まるで何事もなかったのように隊長が横に戻ってきた。


「私を見捨てましたこと一生根に持ちますからね」

「いいじゃねぇか。どうせアイツはお前を殺す気なかったよ」

「そんなこと分かんないじゃないですか!」

「殺気が無かったら問題ねぇよ」


そ、そんな形に見えない直感的なサムシングを信じていたのかあんたは。


「それよりも気になることを言っていたな」

「はい?何か言ってましたっけ?もう正直怖すぎて何も分からなかったですけど」

「俺は大丈夫だったから聞いてた」


この野郎


「お母さん、って言ってたな」

「あ、そういえば、ってつまりあんなのがゴロゴロいるんですかこの山!?」

「かもしれんな、なのでトリシェ隊員」

「うぐ、な、なんですか隊長」


嫌な予感がします。

オリバー隊長が嫌な笑顔をしています。

どうやら私もシックスセンスに目覚めてしまったようです。


「もっと詳しく調べる必要がある、さっきのアレを追うぞ」

「嫌です」


来ると分かっていたなら答えも早い。

クラウチングスタートのポジションでスタンバイ。

無理やり連れていかれそうでも逃げる。

昔から逃げることに長けているのだ私は。


「これが終わったら酒を浴びるほど飲んでいいぞ、無論俺の奢りで、だ」

「頑張らせて頂きます」


長い冒険者生活のお供、酒。

それは私の心を癒してくれる魔法の薬、エリクシール。


「そんじゃ、さっそく行くか、足跡辿るぞ」

「はい...」


隊長は私のことを良く分かってらっしゃる。

泣きそうになりながら後をついていく私だった。

心温まる良い展開でしたね。

え?違う?

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