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自ら踏み入れた無限地獄

作者: 黒瀬雷牙
掲載日:2026/08/18

 若い頃、私は賭博に明け暮れた。


 競馬、競輪、パチンコ、スロット。

 ありとあらゆるものに手を出した。


 借金もした。


 それでも、当時の私は何も恐れていなかった。


「勝てばいい」


 そう思っていた。


 負けても、次に勝てば取り戻せる。

 借金をしても、勝てば返せる。

 そうやって、自分に言い聞かせながら賭け続けた。


 そして今。


 気がつけば、借金で完全に身動きが取れなくなっていた。


 毎朝目を覚ますたびに思う。何か、一発逆転できることが起きないだろうか。


 宝くじでもいい。

 奇跡でもいい。

 何でもいい。


 この人生を、ひっくり返してくれる何かが起きてくれないか。


 そんなことばかりを考えている。


 死ねば楽になるか……?

 そんな考えまで頭をよぎる。


 どうして、こんな人生になったのだろう。


 理由は明白だった。


 あの頃、私が賭けていたのは、金なんかじゃなかった。


 自分の、残りの人生そのものだったのだ。


 一度負けるたびに、時間を失った。

 一度借金をするたびに、未来を削った。


 それでも私は気づかなかった。

 いや、本当は気づかないふりをしていた。


「次は勝てる」


 そう信じ続けなければ、怖くて立っていられなかったからだ。


 そして、気づいた時にはもう遅かった。


 失った時間は戻らない。積み重なった借金も、簡単には消えない。


 過去の自分が積み上げたものを、現在の自分が背負い続けるしかない。


 光が見えない。

 出口も見えない。


 それでも、明日は来る。

 また朝が来て、仕事へ行く。


 金を返す。


 そして夜になれば、何か奇跡が起きないかと願う。

 そんな毎日を、これからも生きていく。


 一寸の光すら見えない、無限地獄を。


 これが罰なのかもしれない。自分自身が選び続けた道の、その先にあるものなのだから。


 それでも、今日も私は生きている。

 それが私の人生です。

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