どうして、気付いてよ。
あなたの大切なものを大切にしたいから。
私を大切にしてくれる人じゃなきゃ、イヤなんだよね。その言葉に瑠衣は、「そんなの当たり前じゃん」と笑った。
これは、私に彼氏ができない原因について話していたときのこと。最低条件は何かと聞かれたので、冒頭のセリフを伝えた。そしたら話にならないというような返事をされてしまった。
とても大切なことなのに。むしろ最優先事項なのに。付き合っていても相手のことを思いやれていない人は多い。目の前の相談相手である瑠衣は、そんなこと微塵も思っていないみたいだけど。
「私を大切にしてくれるっていうのは、私が大切にしているものも大切にしてくれるっていうことだよ?」
「うん、だからそもそも付き合うってそういうことでしょ? 大切にしたいから一緒にいるんじゃないの? 結婚を意識するんじゃないの?」
矢継ぎ早に言われ、私は黙ってしまう。やっぱり、気付いていない。
瑠衣の彼氏に会ったことが、一度だけある。カフェで待ち合わせて、「私の親友」と紹介されたときはすごく嬉しかった。でも、瑠衣がトイレに行っている間、彼氏から連絡先を聞かれて、私は今すぐ瑠衣と別れて欲しいと告げた。
「あれ、凛ちゃんそういうの気にするタイプ?」
唖然とした。あの男はダメだ。私はなんとかして瑠衣を救いたい。お願いだから、自分のこと、大切にしてよ。




