園部男児葬送記録(平成17年3月24日)
【極秘】秘匿葬送記録
報告書番号: 平成17-03-24-001
作成日時: 平成17年3月24日 午後11時37分
報告者: 神奈川県緑川市 蓮華寺 住職 古沢 禅徳(花押)
事案名: 園部男児葬送記録
一、事案発生日時・場所
日時: 平成17年3月23日 午後2時00分頃(通夜開始時)より、翌24日 午前10時30分頃(出棺完了時)まで断続的に発生。
場所: 緑川市総合斎場 さくらぎの間(通夜・告別式会場)、並びに園部家自宅(故人安置場所)。
二、故人情報
氏名: 園部 健太
享年: 3歳
死因: 不明(自宅にて突然死。警察による検死の結果、病死と判断されるが、明確な原因特定には至らず)。
特記事項: 故人は生前、極度の人見知りで、特定のぬいぐるみ(名称:ポポ)を常に肌身離さず持っていた。家族以外にはほとんど心を開かなかった。
三、事案の概要(時系列順)
3月22日 午後5時00分頃: 園部家より通夜・告別式の依頼を受ける。当寺より担当僧侶として若手僧侶 清水 晃を派遣。
3月22日 午後7時00分頃: 清水僧侶、園部家にて枕経をあげる。この際、故人の傍らに置かれたぬいぐるみ「ポポ」が、微かに揺れているように見えたと報告。
当初は気のせいと判断。遺族は故人の安寧を願い、ぬいぐるみを棺に入れてほしいと強く懇願した。
3月23日 午後2時00分頃(通夜開始): 斎場にて通夜が始まる。読経中、参列者の間で「子供の泣き声が聞こえる」との囁きが複数確認される。
しかし、会場内に子供の姿はなし。清水僧侶も微かに耳にしたと証言。
声は、まるで壁の向こうから聞こえるかのように不明瞭であった。
3月23日 午後7時30分頃: 通夜振る舞いの最中、故人の遺影が突然、祭壇から落下。
ガラスが粉々に砕ける。遺族は動揺するも、斎場スタッフは「固定が甘かった」と説明。
しかし、遺影はしっかりと固定されていたことを清水僧侶は確認済み。
落下した遺影の裏側には、ぬいぐるみの繊維のようなものが付着していたという。
3月23日 午後10時00分頃: 清水僧侶、斎場にて故人の傍らで夜伽を行う。
静寂の中、故人の棺の中から「トントン」と、内側から叩くような音が数回聞こえたと報告。
恐怖を感じ、経文を唱え続ける。
音は間隔を開けて続き、まるで何かを訴えかけているかのようであった。
3月24日 午前8時00分頃(告別式開始): 告別式が始まる。
読経中、棺の蓋が微かに持ち上がるような動きを見せる。
清水僧侶は視線を逸らさず読経を続けたが、参列者の一部がその動きを目撃し、ざわめきが起こる。
その際、棺の隙間から、まるで何かを覗くかのような「視線」を感じたという。
3月24日 午前9時30分頃: 棺を霊柩車へ運ぶ際、棺が異常に重く感じられたと、運搬担当者数名が証言。
特に故人の頭部側が顕著であったという。
通常の子供の棺の重さとはかけ離れていた。
3月24日 午前10時30分頃(出棺完了): 霊柩車が出発した後、斎場内の空気が一変し、強烈な冷気と腐敗臭が充満。
数分で消え去る。
この現象は斎場スタッフを含めて複数名が体感した。
四、特異な点と考察
故人の死因不明という状況と、怪異発生の関連性。 特に故人の遺品である、ぬいぐるみ「ポポ」が、怪異の中心にある可能性。
通夜の際、清水僧侶がぬいぐるみに触れたところ、異常な冷たさを感じたという。
故人が生前、極度に執着していたものに、何らかの「念」が残ったのではないか。
「子供の泣き声」「棺を叩く音」「棺の動き」など、故人が「生きている」かのような錯覚を覚える現象が多発。
これは、故人の魂が安らかに旅立っていないことを示唆している。
斎場スタッフも巻き込んだ、広範囲での怪異の発生。
これは、単なる幻覚や錯覚では片付けられない。
当寺に伝わる「幼子を弔う際の禁忌」との関連性。
特に「故人の愛着の品を棺に納める際は、必ず浄めるべし」という教えが守られていなかった可能性。
遺族の強い感情が、供養の障壁となったか。
五、対処・対策
事案発生中、清水僧侶は常に読経を続け、故人の冥福を祈ることに専念。
精神的な動揺を悟られぬよう努めた。
事案終了後、斎場及び園部家に対し、当寺の秘伝の護符を授与。
故人の供養を定期的に執り行うよう助言した。
今後、幼子の葬儀に際しては、より厳重な浄めと、故人の愛着の品の取り扱いについて、遺族への丁寧な説明を徹底する。
特に、故人の死因が不明瞭な場合、より慎重な対応が求められる。担当僧侶の精神状態にも配慮が必要。
六、付記
本件は、通常の葬儀報告では説明しがたい事象が多発したため、極秘扱いとする。
清水僧侶の精神状態は安定しているが、本件に関する詳細な聴取を再度行う予定。
この記録は、今後の類似事案発生時の参考に供する。
故人の「未練」が、ここまで強く現れることは稀である。
安易な供養は、かえって事態を悪化させる危険性を再認識した。
【検閲追記】
担当僧侶・清水晃の精神状態について、経過観察を要す。
十年後の清水晃不詳死記録(平成27年4月1日)との関連性、最重要。