清水晃不詳死記録(平成27年4月1日)
【極秘】秘匿葬送記録:拾伍ノ巻
報告書番号: 平成27-04-01-015
作成日時: 平成27年4月1日 午後11時48分
報告者: 神奈川県緑川市 蓮華寺 住職 古沢 禅徳(花押)
事案名: 清水晃不詳死記録
一、事案発生日時・場所
日時: 平成27年3月31日 午後7時00分頃(通夜開始時)より、翌4月1日 午前10時30分頃(出棺完了時)まで断続的に発生。
場所: 緑川市総合斎場 さくらぎの間(通夜・告別式会場)。
二、故人情報
氏名: 清水 晃
享年: 37歳
死因: 不詳(蓮華寺の自室にて発見。外傷はなく、警察による検死でも死因特定に至らず)。
特記事項: 蓮華寺の若手僧侶。生前、幼子の葬儀(平成17年3月24日付「園部男児葬送記録」を参照)を担当して以来、時折原因不明の体調不良を訴えていた。特に「子供の泣き声が聞こえる」「冷たい視線を感じる」などと語ることがあった。独身。
三、事案の概要(時系列順)
3月30日 午後4時00分頃: 清水晃僧侶が自室で倒れているのを寺の者が発見。すぐに救急車を呼んだが、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は不明。
3月31日 午後5時00分頃: 清水晃僧侶の葬儀が、遺族の意向により、彼がよく使用していた緑川市総合斎場さくらぎの間で執り行われることになった。古沢禅徳住職が担当を務める。準備中、清水僧侶の遺体が安置された棺の傍らに、以前「園部男児葬送記録」で言及された故園部健太が愛用していたぬいぐるみ「ポポ」が置かれていることに気づく。ぬいぐるみの持ち主は不明。
3月31日 午後7時00分頃(通夜開始): 斎場にて通夜が始まる。読経中、故清水僧侶の遺体が安置された棺から、微かに「カチャ、カチャ」と何かがぶつかるような音が聞こえ始めた。それは、まるで小さな玩具同士がぶつかり合うような音であり、会場の静寂の中に不気味に響いた。古沢住職も明確に音を捉え、その音は故人の胸元あたりから聞こえているようだった。
3月31日 午後9時30分頃: 通夜振る舞いの最中、斎場の天井に設置された照明器具が突如として不規則な光を放ち始め、同時に会場内の温度が急激に低下した。参列者の一部が、まるで小さな子供が走り回るような微かな足音を聞いたと証言。しかし、会場内には大人の参列者しかおらず、子供の姿は確認されなかった。
4月1日 午前0時00分頃: 古沢住職が故清水僧侶の傍らで夜伽を行う。静寂の中、棺を覆う布の表面に、微かに湿気を含んだような小さな手形がいくつも浮かび上がった。手形はどれも小さく、幼子の手のひらに酷似していた。古沢住職が手を伸ばし触れようとすると、手形は瞬時に消え失せた。同時に、故人の遺影(生前の清水僧侶の顔写真)の目が、まるで何かをじっと見つめるかのように、僅かに開いているように見えた。
4月1日 午前8時00分頃(告別式開始): 告別式が始まる。読経中、棺の中から、以前「園部男児葬送記録」でも報告された、「トントン」と内側から叩くような音が再び聞こえ始めた。音は次第に間隔が短くなり、まるで何かを必死に訴えかけるかのようであった。参列者の動揺は広がり、古沢住職は懸命に読経を続けた。その際、棺の隙間から、僅かな「吐息」のようなものを感じたと証言する者が複数いた。
4月1日 午前9時30分頃: 棺を霊柩車へ運ぶ際、棺の蓋の隙間から、微かに腐敗臭が漂い始めた。その匂いは、故人の遺体から発せられるものとは異なり、まるで古いおもちゃがカビたような、甘くねっとりとした異臭であった。運搬を担当した斎場スタッフ数名が、棺が異常に重く感じられ、特に故人の胸元から足元にかけての重さが偏っていたと報告した。
4月1日 午前10時30分頃(出棺完了): 霊柩車が出発した後、斎場内の空気が再び一変した。以前「園部男児葬送記録」で報告された強烈な冷気と腐敗臭が、再び斎場内に充満。しかし、今回はそれに加えて、微かに子供の歌声のような、しかし言葉にならない、不明瞭な「ハミング」が響いた。その歌声は数分で消え去ったが、古沢住職は、その歌声が、清水僧侶が担当した幼子の葬儀で感じた「子供の泣き声」と酷似していると感じた。
四、特異な点と考察
故清水晃僧侶の死因が不詳であること、そして「園部男児葬送記録」で彼が経験した怪異との関連性は極めて濃厚である。特に、故園部健太が愛用していたぬいぐるみ「ポポ」が彼の棺の傍らに存在したことは、両事案の間に強い因果関係があることを示唆している。
清水僧侶の葬儀で発生した怪異(「カチャカチャ」という音、子供の足音、小さな手形、棺を叩く音、甘い異臭、子供のハミング)は、すべて「園部男児葬送記録」で報告された事象と酷似している。これは、清水僧侶が幼子の魂、あるいは幼子の魂に取り憑いた「何か」によって、死に至らしめられた可能性を示唆している。
清水僧侶の棺の中から聞こえた「カチャカチャ」という音や、斎場に響いた「子供の足音」、棺に現れた「小さな手形」は、幼子の魂が清水僧侶に執着し、彼を「連れ去ろう」としているかのように解釈できる。特に、遺影の目が開いていたことや、棺の隙間からの「吐息」は、故人の死後もなお、その魂が清水僧侶を監視し続けていたか、あるいは彼を通じて現世に干渉しようとしている兆候である。
火葬後の遺骨から漂った「甘い異臭」は、ぬいぐるみに染み付いた故園部健太の「念」が、清水僧侶の遺体にも深く宿っていたことを示唆している。清水僧侶は、幼子の葬儀以来、その怪異に囚われ続けていたのかもしれない。
五、対処・対策
事案発生中、古沢住職は、清水僧侶の魂が幼子の怪異に囚われていることを悟り、通常の読経に加え、幼子の魂を鎮め、清水僧侶の魂をそこから解放するための特別な鎮魂の儀式を執り行った。
事案後、清水晃僧侶の遺族に対し、本件の特異性を説明。蓮華寺として、清水僧侶の魂の安寧を願い、「ポポ」のぬいぐるみの厳重な浄化と封印、そして故園部健太に対する改めての供養を提案した。また、清水僧侶が経験した怪異について、詳細な記録を残し、今後の同様の事案発生時の教訓とすることとした。
今後、過去に強力な怪異を経験した僧侶の葬儀に際しては、その怪異が故人の死因に直接的に関わっている可能性を考慮し、より厳重な警戒と、専門知識を持つ複数の僧侶による対応を徹底する必要がある。特に、故人の「未練」が別の存在に転移し、連鎖的に怪異を引き起こす可能性について、深く考察すべきである。
六、付記
本件は、過去に記録された怪異が、時を経て、その怪異を経験した僧侶自身の死にまで影響を及ぼした、極めて恐ろしく、そして示唆に富む事例である。
極秘記録とし、魂の未練が、どれほど深く、そして長く、生者と死者の両方を縛り続けるのかを示す重要な資料とする。
特に、「念」や「未練」の感染性、そしてそれが「業」として連鎖していく可能性について、更なる研究と警鐘が必要である。
清水僧侶の死は、我々に「秘匿葬送記録」に記された怪異の真の危険性を改めて突きつけたと言えるだろう。
【検閲追記】
僧侶への感染事例。
記録者の精神状態にも影響を及ぼす危険性あり。
閲覧者は自身の状態を常に客観視せよ。




