表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクが転生したので異世界でもオタクになります  作者: 枝豆 糵
第三章:新天地編
90/278

88. 詐欺師

 翌朝。


「……」


 目が覚めても気持ちは晴れない。

 形はどうあれ、俺は人を殺したのだ。


 実際に俺が殺したという感覚はない。

 ただ、俺にはこれから一生人殺しという肩書が付き纏ってくる。


「ご主人様、お目覚めになりましたか?」

「あ?先に起きてたのか?」


 ハクが早起きするなんて珍しいな。

 ん?ちょっと大きくなったか?


「ご主人様、今日のご予定は?」

「は?ちょっと待て。お前、何があった?」


 意識がはっきりとして、まじまじとハクを見ると、どう見ても5歳には見えないくらい大きくなっていた。


「わかりません。なんか、気づいたら成長してました。」

「いや、成長って…そんないきなりするもんじゃないだろ。」


(いつの間にか口調も流暢になってるし…)


 昨日までは俺の胸より少し小さいぐらいかったのに、今日になった瞬間俺とほぼ変わらない身長にまでなっていた。


「なんか心当たりはないのか?」

「いえ…特には……一応、あの事件以降少し心情の変化はありましたが、直接的な原因ではないかと…」


 ここまでくるともはや別人だ。


 おめでとう!俺のかわいいハクは、美しいハクに進化した!


 ロリ好きの俺からすればそれは退化なのだが…


「原因が分からないってのも気持ち悪い話だが、そうなった以上は受け入れるしかないか。それならハクが成長した上でもう一度聞きたいんだが、本当に俺についてくるつもりか?」


 前まではそれでもよかった。

 でも今は違う。

 正当防衛だとしても、殺人は殺人だ。

 そんなやつと一緒にいるのは、前までの俺でも少し抵抗があっただろう。


「昨日は誤魔化されましたが、ご主人様は、私を守ってくれるんですよね?」

「……守りきれるかは分からない。」


 あいつらも守るつもりではあった。

 でも、守れなかった。


「それでも、守ろうと努力はしてくれるんですよね?」

「努力ならなんだってできるさ。でも、それだけではどうしようもないんだ。」

「自分の努力を軽く見ないでください。ご主人様は私の元主と違って、努力の才能がお有りなのですから。」

「………」


 前に、俺がセティアに言った言葉。


 何でハクがそんな事を知ってるかはわからない。

 でも、それを言われると少し救われたような気がした。


「私は、私の意思でご主人様と呼んで一緒にいます。ご主人様から拒絶でもされない限りは、離れたりなんてしませんよ。」

「……そうかよ。」


 こんな時でも、素直に感謝も言えない俺はもう腐ってる。

 そんな腐ってる俺すらも受け入れてくれるハクは、恐らくまだ俺に依存してるのだろう。


(成長しても、変わらないものは変わらない、か。)


 嬉しさと申し訳無さが半々のまま、俺達は外を出た。


___

__

_



(ミレイヤは……いないか。)


 今朝のこともあり、昨日よりは落ち着いていられたので、話ができるならしようと思っていたのだが、それは叶わなかった。


(そこまで危険じゃない依頼……)


 一通り探してみたのだが、Cランクソロで受けれる依頼は、人の護衛や運搬と言った長期的なものばかりだった。


(ハクがいる以上そう言う依頼は難しい。なんかいい依頼はないものか……)


 ハクと二人で依頼を選別していると、


「お前がエルラルドか?」

「あ?俺になんか用?」

「Cランク冒険者なんだろ?俺達のパーティに入らないか?」


 前にも見た、パーティ勧誘のようだ。


「悪いが、俺はこれからソロでやるつもりだ。俺に関わるな。」


 関わったら、不幸にさせてしまう。


「そんな事言うなよ兄弟。ソロだと色々と不便だぜ?」


 チャラチャラとした雰囲気。

 はっきり言えば嫌いなタイプ。

 俺のことを知ってる以上、前のパーティに何があったかも知ってるだろう。


(それでも俺を誘うつもりか?……馬鹿か詐欺師か…)


 どちらにしろ、俺はこんな奴の下に行くつもりはない。


「余計なお世話だ。」

「まあまあ、実は次行こうとしてるダンジョンがあるんだが、人員が足りねえんだ。しかも、丁度魔法使い。聞くところによると相当優秀なんだろ?報酬は分配だ。上限は金貨20枚だぜ?」


 金貨20枚……2千万か。


「お前らのパーティは何人だ?」

「そういうと思ったぜ!お前を含めたら全員で5人だ。きれいに等分しても、一人金貨4枚だぜ?等分か分配かは依頼達成の時に決めていいぜ?」


(……あまりにも俺に都合が良すぎる。哀れみなんて思っちゃダメだ。今の俺は詐欺師からすれば絶好のカモなんだ。目先の利益に囚われるな。)


「悪いが、お前は信用できない。」

「信用しなくたっていいさ。最悪、またお前が俺らを殺せばいいだろ?」

「……正体を現したな。」


 いや、敢えてか。


(チッ!金貨20枚か……分配として10枚でも取れれば、ミレイヤが卒業するまで何もしなくて良くなる。俺がソロで稼ごうにも簡単な依頼はどんどん無くなる。そうなったらどっちにしろパーティに入らざるを得ないだろう。だがそうなると今度はハクを危険な目に合わせてしまう可能性が高い。クソ、中々嫌なとこ突いてくるじゃないか。)


 ここまで想像してのことなら大したもんだ。

 実際、俺は迷ってしまっている。


「………………わかった。もし俺達に危害を加えるようなら容赦なく殺す。それでいいなら入ってやろうじゃないか。」

「助かるぜ!俺は風鷹(ふうよう)の爪リーダー、カエドスだ。ランクはCで剣士をやってる。これからよろしくな!エルラルド!」


 毒になるか薬になるか……どっちも同じか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ