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オタクが転生したので異世界でもオタクになります  作者: 枝豆 糵
第四章:冒険者編
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181. 戦後の後始末

「マール姉ただいま!」


 しばらくして二人も入ってくる。


「おかえりレイちゃん。ハクちゃんもおかえりなさい。」

「マール様もご無事で何よりです。ご主人様は……寝ちゃったのですか…?」

「ふふ、そうね…私を見て安心したみたい。ずっと気を張り詰めてたんだと思うわ。」


 膝の上で寝るエルラルドを愛おしそうに見つめながら頭を撫でる。


「お兄ちゃんの寝顔初めて見たかも……」

「ええ、私もあんなに気持ちよさそうに寝てるご主人様を見るのは久し振りです。」

「そうなの?私の前ではよく見せるんだけど…」

「………やはり私ではマール様の足元にも及びませんね。ご主人様の心を溶かしてしまうのはマール様だけです。」

「そうかしら?エルって意外と構ってちゃんだし、心のどこかでは甘えたいと思ってるのよ?」

「それでもそのご主人様の穴を埋めれるのはマール様だけですよ。」

「もう、二人とも!マール姉が無事なのも見れたしレイはあの人たちのところ行ってくる!」


 その場の空気に耐えられずに逃げ出す。


「あ、レイさん……」


 レイを追いかけようとするハクを止める。


「ハクちゃんは残ってくれる?エルが自力で脱出できなかった理由とか、何が起こっていたのか知っておきたいし、これからのことも話し合いたいから。」

「…承知しました。私の持つ情報を全て提供致します。」

「よろしくね。」


__

_



 一行は冒険者ギルドに集まっていた。


「えっと……というわけでお兄ちゃんの悩みのタネも全部なくなったから…みんな本当にありがとう。」

「レイちゃんは気にしなくていいわよ。私達はあいつに救われたの。それを返しただけ。」

「そうっすよ!悪の道に進もうとしてたあっしらを止めたのはエルっちっすからね!」

「困った時はお互い様だ。」

「俺達はもう少ししたらまたここを出るつもりだ。あいつに言っておいてくれ、借りは返したってな!」


「お兄ちゃんに挨拶していかないの…?」

「あいつはそんなもん望んでねえよ。むしろ気まずくなるだけだ。」

「そっか……じゃあレイが代わりに言うよ。戦争の時からお兄ちゃんを助けるところまで、一緒にいてくれてありがとう。また次何かあったら助けてもらうかもしれないけど…その時はよろしくね。」

「任せろ。同じパーティメンバーとして、そして親友として協力してやる。」

「うん、頼りにしてる。」


(お兄ちゃんはすごいな……命を賭けれるぐらい慕われるなんて普通できないよ……)


「うし、なんか良い感じにまとまったしもう出発するか!」

「あ、僕馬車を用意してきますね!」

「私も先行ってるわ。流石に今回は疲れたし。」

「俺も行く。」


 クゴールに続いてベルン、フラントがギルドを出ていく。


「レイっち、わかってると思うっすけどスライトには厳重注意っすよ。フードを被ってたとは言え顔を割れてると思って行動した方がいいっす。」

「うん、気をつける。」

「お前らなら大丈夫だと思うけど頑張れよ。今度こそ平穏に暮らしてくれ。あいつもようやく掴めた幸せなんだからな。」

「うん、みんなも気をつけてね。」

「おう!」


 そうして風鷹の爪のメンバーはメルドを出国した。


「レイ様、エルラルド様がたは何処へ?」

「え?あー……今お兄ちゃんは休んでて……」

「師匠の所に案内してください!まだきちんとお礼を言えてなかったので!」

「う、うーん……せめて明日にしてもらえない…?」


(変な人たちにも好かれやすいのは困ったところだけど……)


 結局、何とか二人を説得して明日ゆっくり時間を設けるということで引いてくれた。


__

_



「ただいまー…」

「レイ=アルセトラ、待っていたよ。」

「学校長……待っていたって、レイに何か用ですか…?」

「いや、君には今回の報酬を渡してなかったからさ。」

「報酬?」

「君は此度の戦争でかなりの戦果をあげただろう?それを報酬無しとなっては角が立つんだ。他の生徒と同様に報酬金でも良かったんだけど、同じ扱いをするわけにもいかなくてね。エルラルド=アルセトラ、君の兄には魔法研究の情報を提供した。それで、君は何を望む?」


 そう言われても思いつくものが特になかった。彼女も疲労が蓄積されており、早く休みたいというのが本音だった。


「うーん………あ、そう言えばグレイスの扱いはどうなってるの?」

「グレイス?……グレイス=スライトのことかい?一応行方不明という扱いにはなってるけど……もし戻ったとしても復学は難しいだろうね…戦争を仕掛けてきた国の王子でもあるわけだし、生徒であって生徒じゃない。そんな扱いかな。」

「じゃあグレイスを前と同じように学校に通わせてあげてほしい。それがレイの願い。」


 自分の願いは思いつかなかった。故に誰かのために使いたいと思った。


「ふむ……わかったよ。少々大変だが君が望んだことだ。叶えてみせよう。完全に以前と同様になるかは保証しかねるけど、そこは理解しておいてほしい。戦争を仕掛けた国の王子という肩書は消えないからね。」

「わかってる。それでいい。あと、レイはどこで寝ればいい?」

「エルラルド=アルセトラと同室でいいかい?生憎人を泊めるような意図で作られた家じゃなくてね…」

「…わかった、大丈夫。」


(本当は3人きりにさせてあげたかったんだけど……レイもちゃんとしたところで寝たいし……しょうがないよね……)

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