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オタクが転生したので異世界でもオタクになります  作者: 枝豆 糵
第四章:冒険者編
176/229

173. 緻密な打ち合わせ

不定期投稿になってしまってすみません…

最近私生活が少し忙しくてなかなか時間が取れない状況ですのでまだしばらく不定期が続きそうです。

 コンコン


「鷹は?」

「風上。」

「爪は?」

「深爪。」


 合言葉が終わり、扉が開かれる。


「入っていいわ。」


 アジトの中に入り、鍵を閉めてフードを脱ぐ。


「ハクちゃん、プロディ、二人ともお疲れ様。早速で悪いんだけど報告をお願いしていいかしら?」

「城の北西側から微かに風の音がしました。地下牢があるとしたら恐らくそこでしょう。」

「その場合、人の流れから読み取るに地下牢の入口の見張りは2名、巡回が2名、そして休憩が2名の6人体制で管理されてると思われるっす。」

「そこが一番可能性高いわね……もうちょっとしたら他の班も帰ってくるわ。みんなが帰ってきたら作戦会議をして、エルラルドが言った通り次の早朝に行動を起こしましょう。」

「わかりました。」

「了解っす。」


 コンコンとまたノックの音が聞こえたので、再びベルンが相手する。


「鷹は?」

「風上。」

「爪は?」

「深爪。」

「入っていいわよ。」

「は、はい…!」


 おずおずとフードを被った少女がフードを脱ぐ。


「おかえりなさいませレイさん。ご無事で何よりです。」

「えっと……西はやっぱり守りが薄くて、北はそこそこ…やっぱり南と東の門に兵が多く集中していました。」

「門以外の脱出方法はありそう?」

「あ、えと…そこまではあんまり……」

「大丈夫っすよ。レイっちができることをやればいいんすから。あっしらはできないことまでを無理して求めないっす。」

「は、はい…ありがとうございます…」


 少し気が和らいだように見える。


「レイちゃんは少し休んでなさい。夜通し作業して眠たいでしょ?」

「いやでも…みんなが起きてるのにレイだけ寝てるわけにはいかないし…」

「レイさん、あなたは今回の作戦の要になります。あなたがどれだけ活躍できるかにかかってるんです。ですので今は一度お休みください。」

「万全な体調を整えるのも大事な仕事っすよ!」

「じゃ、じゃあちょっとだけ寝ます。みんなおやすみ…」


 そうして仮眠室に入り、横たわってすぐに眠りにつくレイ。


「ふふ、エルラルドとは真逆の性格だわ。兄妹とは思えないわね〜」

「そうでしょうか?私から見るとちゃんと血の繋がった兄妹だと思いますよ。」

「てことはエルっちにもそういう一面があるってことっすか?」

「あはは!ないない!あいつがみんな起きてるから自分も起きるみたいな性格してると思う?あいつは『お前らは勝手に起きてればいいだろ。俺は先に寝るからな。』とか言うタイプに決まってるじゃない〜!」

「ご主人様は家庭を持たれてから昔よりは落ち着くようになりましたよ。これはなるべく内緒にしてほしいんですけど…」


 ハクが二人に耳打ちする。


「え!?あいつがそんなことを!?」

「流石にあっしも信じられないっすね……嘘じゃないのは見てわかるっすけど…」

「ご主人様はどこかで人の温もりを求めてたのだと思いますよ?ですからマール様とご婚姻なさった時にそんなことを……あ、これはご主人様に内緒ですよ!?もしお二人に言ったことがバレたら…」

「わかってるわよ。あいつの意外な一面を知れたんだもの。それにしても……ふふ、本当にそんなこと言ったの?」

「全然想像がつかないっすねぇ……」


 コンコン、とまた誰かがノックしてくる。


「鷹は?」

「風上。」

「爪は?」

「えっと……なんだっけ?」

「深爪だ。」

「あそうそう深爪!」

「はぁ……入ってきなさい。」


 フードを被った2人の男が戻ってくる。


「おかえりっすリーダー!フラっち!」

「おう!ただいまプロディ!」

「あんたねぇ……フラントがいなかったらどうするつもりだったのよ…」

「そん時はそん時だ!プロディなら俺の気配を読み取れるだろうしな!」

「当然っす!リーダーの気配察知だけは誰にも負けないっすよ!」


 甘い空間がそこに出来上がる。


「カエドス、惚気はその辺にしておけ。ベルンの機嫌が悪くなる。」

「別に悪くなんか無いわよ!」

「ベルンさん落ち着いてください…」

「私は落ち着いてるわよ!フラントが変なこと言うのが悪いんでしょ!?」

「俺は悪くない。事実を言っただけだ。」

「相変わらずですねフラントさん…」

「はぁ……どうせ私に恋愛はできないですよーだ。いいわよ…もう私は生涯孤独で生きていくって決めてるんだから…」


 ふてくされて机に突っ伏すような形でみんなを見渡す。


「それでどうだったのよ。」

「警備が一番薄いのは南西だったな!逆に人が多いのはやっぱり中央。」

「そっちの情報も教えてくれ。」

「わかってるわ。」


 それぞれが持ち帰った情報を整理する。


「北西に地下牢の可能性が高くて南西の警備は手薄。なら東側で騒ぎを起こすやつが必要だな。」

「地下牢に入るのはエルラルドの探知が使えるハクちゃん、プロディ、そして救護用の私がいいわね。」

「3ヶ月ほどの間に私の魔法もだいぶ使えるようになりました。お二人の護衛はお任せください。」

「地下牢に入ったらまた変わるかもしれないっすからね!」

「俺は逆に東側でヘイトを買ったほうがいいだろうな。」

「エルラルドの妹は騒ぎを起こす用とエルラルドに合図を告げる用のために最初にとびっきりの魔法を使わせるのがいいだろうな。その後も戦えるようなら俺たちと東側に。無理なら馬の用意とかを任せよう。」


 人員の配置は決まった。地下牢に入るのがハク、プロディ、ベルン。そして東側でヘイトを集めるのがカエドスとフラント。レイの状況次第では彼女も東サイドに加わる。


「それで次は作戦っすね。レイっちに魔法を撃ってもらうのは確定として…」


 そうしてエルラルドを救うための会議は続いていく。

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