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オタクが転生したので異世界でもオタクになります  作者: 枝豆 糵
第四章:冒険者編
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170. 形勢逆転

「お、おいエルラルド……お前大丈夫なのか…?」

「みんな、ここは俺にやらせてくれ。」

「お前はやつらに一度殺された。それは得策とは言えない。」

「そうっすよ!いくらエルっちでも一人じゃ無理っす!」

「ならお前らはとっととベルンの治療を受けてこい。そんなボロボロのお前らじゃあ戦力にならん。」


「エルラルドさん……」

「お兄ちゃん……」

「魔力切れに近いお前らもいるだけ無駄だ。フラントの側にいろ。ベルン、全員を治療してやれ。」

「………わかったわ、急いで回復させる。だからあんたも死ぬんじゃないわよ。」

「俺はもう死なねえよ。」


 ゆっくりと歩きながら集中力を研ぎ澄ませていく。

 コンディションは最高、むしろ過去一と言っていいもレベルだ。恐らく魂が一つになったことで魔力の循環もより効率よく流れるようになったのだろう。


「な、なぜ生きてる…!ルクス!テネブラ!ちゃんと殺したのか?!」

「たしかに殺したはずです……」

「しかし我々が生死の確認を間違うはずが……」


(魔気解放、振動付与、身体強化魔法(リインフォース)速度強化魔法(スピードアップ)五感強化魔法(センスアップ)思考加速強化魔法(コジテーションアップ)瞬間加速魔法ブースト雷電翔駆魔法(エレクトロライド)_)


「もういい!今度こそ殺せ!次は首を刎ねろよ!」

「「御意!」」


 瞬足で俺の懐まで入ってくる漆黒執事、そして俺の隙を狙って矢を引き絞る純白執事。今ならそのどちらもを捕らえられる。


「まずはお前だ。」


 漆黒の短刀が届く前に刀を居合抜き、漆黒の短刀を真っ二つに断つ。


「な!?」

「手首を狙ったんだがな。」


 漆黒がすぐさま飛び退き、純白が放つ。


 ひゅっ!!


地防御魔法(アースシールド)三重掛け。)


 純白の矢は一枚の壁は貫けても、三枚の壁を貫くことはできなかった。


「なんだと!?」

「三本の矢ってやつだ。この場合だと三枚の壁って呼ぶべきか?」


 さて、相手が本気になる前にとっとと終わらせるとしよう。


「俺は元Sランク冒険者、『死神』の異名を持つエルラルド=アルセトラ。いざ参る。」


 地面が割れるほど強く踏み込み、雷に乗って神速で駆け抜ける。


「テネブラ!」

「ルクス!」


 二人が息を合わせて合唱する。


「「暁闇の交響曲(テネクスシンフォニィ)!」」


 光と闇、陰陽師玉のようにお互いに混ざり合うように絡み合っていきながら光速で襲いかかってくる。


時空断絶魔法(スペイシルスラッシュ)っ!!」


 刀を横長で振るい、目の前の空間の全てを断絶する。それは魔法や空気、人の肉体も例外ではなかった。


「「ゴフッ!」」

「死を想え、メメント・モリ。」


 真っ二つになった二人の切れ目から血が噴き出し、力なく横たわり冷たい肉となった。


「ルクス!?テネブラ!?いったい何が…!」

「次はお前だ。俺の敵になったことを後悔するんだな。」

「く、来るな…!化物め…!」


(あのクソ貴族の弟ならそれなりに戦えるのだろうが所詮はそれなり。あの白黒執事が死んだことにあそこまで動揺するんだ。もう勝ちは決まりだな。)


 そうして踏み込もうとしたその時_


「ウィズラム様!彼女達を捕らえることに成功しました!」

「は…?」


 兵士が数人駆け寄ってきたかと思えばここにいてはいけない彼女達を連れてきてしまっていた。


「エル…!」

「ご主人様……申し訳ありません……」

「な、何でお前らが……」

「よし、よしよしよしよし!ツキがまた回ってきたぞ!エルラルド=アルセトラ!この2人が殺されたくなければ武器を捨てろ!」

「…………チッ!」


(剣を失っても大幅な戦力ダウンにはならない。無詠唱もある。仕方ないか……)


 ゆっくりとその場に剣を置く。


「次はこれを飲め!」


 投げられた掴み、瓶を見つめる。


「駄目ですご主人様…!それを飲んだら私のように魔法が使えなくなります…!」


(魔法が使えなくなる…?これを飲まされたからハクが太刀打ちできなかったのか……)


「………飲めばマールとハクを解放してくれるんだろうな…?」

「約束しよう、魂に誓ってな。」

「だめ!エル!私たちのことはいいから!飲んじゃだめ!」

「ご主人様、おやめください!」

「黙らせろ。」


 兵士たちが二人の首元に剣を当てる。


「聞こえなかったか?飲めと言ったはずだ。」


 二人は断固とした表情で訴えかけてくる。絶対飲むな。そう言われてるようだった。


「…………悪いな、俺はお前らがいないとダメなんだ。」


 剣を次元収納内に入れ、瓶の蓋を開ける。


「飲めばいいんだろ飲めば!」


 一気に瓶の中を飲み干す。


「エル!」

「ご主人様!」


(熱い……身体全体から火が噴き出るような熱さ……焼ける…身体が……)


「解放してやれ。」

「ハッ!」


 マールを支えながらハクが急ぎ足で近づいてくる。


「エル!」

「ご主人様!」

「エルラルド=アルセトラを捕らえろ!」


 二人を捕らえていた兵士が、今度は俺を捕らえる。


「ご主人様!」

「これも飲ませておけ。」


 無理やり薬を飲まされる。これは恐らく睡眠薬…


『ハク………日が昇る前で待ってる……』

「ご、ご主人様…!?」

『任せたぞ……』


 波動による音声をハクに伝えたところで俺の意識は失った。

もしかしたら土日に更新できないかもしれません。

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