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オタクが転生したので異世界でもオタクになります  作者: 枝豆 糵
第四章:冒険者編
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165. 風鷹の爪視点

「クゴールと言います!役割は魔法士でランクはBです!これからよろしくお願いします!」

「ベルン、また呼んだのか?」

「仕方ないでしょ?エルとハクちゃんが抜けたのが痛すぎたのよ。私一人で後衛は無理だわ。」

「今回は何日持つんだろうな。」

「フラっち、本人の前でそういうことあんま言わない方がいいっすよ…」


 彼らが脱退してからパーティランクが下がってBになり、パーティバランスもCになってしまった。

 その二人の穴を埋めることはできないが、塞ぐだけでもという思いでベルンはギルドに斡旋してもらいながら新しいメンバーを連れてきていた。


「ゴホン、取り敢えずお前が使える魔法を教えてくれないか?」

「基本魔法の災害級は使えないですが四属性全てを扱えます。治癒魔法は回復魔法(ヒール)のみ。特殊魔法は強化魔法、弱化魔法を使えます。」


 魔法使い基準で言えばかなり強い方だった。それでも、彼ら達は最初に世界レベルの魔法使いを仲間にしたおかげで、他の魔法使いを全てエルラルドと比べるようになってしまった。


「詠唱破棄、無詠唱は?」

「そ、そんなの魔法使いの中でも一握りですよ!?そんなのが使えるのはAかSぐらいでしょう……」

「料理とか、戦闘以外の雑用はどこまでできるっすか?」

「前のパーティでは戦闘ばっかりだったのであまりそういうことは…」


 エルラルドだけじゃなく、ハクが抜けたのもかなり痛い損失だった。基本的な雑務を全て完璧にこなし、戦闘でも古龍を倒せるほどの実力者。

 基本はエルラルドの命令下のみでしか動かないが、狩った魔物や動物の解体や馬車の手入れなどといった普通は好んでやろうとしないことを積極的にやってくれていた。


「………皆様方の噂はかねがね小耳に挟んでいました。Sランク魔法使いエルラルドさんとAランク魔法使いのハクさん、この2人が脱退したということも。」

「お前があいつらの代わりになれるとでも?」

「もちろんなれないでしょう。ですが僕にできることならなんだってする覚悟でここに立っています。」

「微妙にあいつと似てやがるな……お前何が狙いだ?」

「いえ、その……できればエルラルドさんに会ってみたいっていうのはありますね。」

「……ムカつくからお断りだ。」

「リーダー!」

「いでっ!いででで!」


 カエドスの耳をプロディが引っ張る。


「プロディ、あいつの言ってることは本当なのか?」

「嘘の目はしてないっすね…恐らく本当にエルっちに会いたい一心で志願してきたと思うっす。」

「プロディが言うなら間違いないわね…」

「いいから離してくれよ!耳ちぎれる!」


 渋々と言った感じで摘んでいた力を弱める。


「絶対役に立ってみせます!なので僕をパーティに入れてください!」


 深々と頭を下げてお願いしてくる。


「わかったわかった、やれるだけやってみろ。耐えられなくなってもお前の責任だからな。」

「もちろんです!精一杯努めさせていただきます!」


 そうしてクゴールが風鷹の爪の新しいメンバーとして加わった。この時のメンバーの誰もがいつも通りすぐ耐えきれずに抜けると思っていた。

 2人が抜けてから風鷹の爪の名声を求めて志願してくる魔法使いがあとを絶えず、その度にその仕事量に耐えられず、一日二日で抜けていったからだ。


 でもこの男は違った。


 魔法士というだけあって戦闘センスはそこそこあるが、経験が少なく死地という死地も経験していないので臨機応変というのが苦手そうだった。

 どんな仕事量を与えても決してめげず、何度も魔力切れになった。それでも何度も起き上がり、必死についていこうと縋り付くように役割をこなしていた。


__

_



 そうして新年も過ぎ、数ヶ月ほどが経過した。


「うーっし、今回もそこそこの収穫だったな!」


 依頼を終えてシルラントのギルドに戻って来る。


「久しぶりの酒だな!」

「飲み過ぎには注意しなよ〜?ほら、口元に泡ついてる〜」

「ベルっちはもう飲み過ぎっすね…」

「うるさいわね〜!あんたらも飲みなさいよ〜」

「い、いや……僕は遠慮させていただきます……」

「新入りは黙って私の酒を飲みなさい〜」

「ベルン、その辺にしておけ。」

「フラント〜……あんたが付き合ってくれる〜?」

「構わない。」


 そうしてみんなで飲み交わしていた頃、ギルドの職員が近づいてくる。


「あなたたちが風鷹の爪ですね?」

「ん?ああそうだぞ!俺たちに何か用か?」

「伝文があります。」

「伝文?」


 一つの手紙を手渡してくる。


「誰からだ?」

「エルラルド=アルセトラ様からです。」

「エルラルド〜?」

「エルっち?」

「エルラルド?」

「エルラルドさん?」

「確かに受け取った。ありがとな。」

「では失礼します。」


 職員が下がった後、早速手紙を広げる。



−−−


 風鷹の爪のお前らへ


 いきなりで悪いんだがちょっとお前らの力を借りたい。メルドとスライトが戦争するみたいで、それの戦力が必要なんだ。もし手が空いてるなら助けてくれ。前に何かあったら頼れって言ってただろ?だから頼らせて欲しい。なるべく早くしてくれると助かる。今年の6月近くで始まる予定なんだ。間に合うなら急いで来てくれ。


 エルラルド=アルセトラより


−−−



「エルラルドが私らを頼るなんて珍し〜」

「今は5月、猶予はほとんどないな。」

「エルラルドさん……」

「リーダー、どうするっすか?」

「決まってんだろ?あいつが助けを求めてきてるんだ。助けに行って笑ってやろうぜ?お前が俺達に頼るなんてなってな!」

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