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オタクが転生したので異世界でもオタクになります  作者: 枝豆 糵
第四章:冒険者編
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147. うどん

 翌日、二人が学校に行った後もハクが家事を頑張っている。


「ハク、手伝うか?」

「いえ、ご主人様の手を煩わせるわけにはいきませんから。」

「あ、そう……」


 正直家事は面倒くさいのでかなり助かるのだが、その分ハクに申し訳なさが出る。


(するなと言われたらしたくなるって本当なんだな…)


 そうするとやることが無い。魔法学校の授業を受けたことがないのでどれくらいかかるのかは分からないが、ミレイヤがいた頃は昼を少し過ぎたあたりで終わっていたはずだ。


「んー……魔法研究って具体的にどんな仕事なんだ?魔法学校が大学だとしたら研究者……グレイスは独自の魔法理論とか言ってたが…魔素魔法の論文でも書けばいいのか?それとも魔法が与える影響とか…」


 ブツクサと独り言を繰り返しながら時間を潰す。



(わからん……学校長に聞くのが一番か。)


 リビングで頭を悩ませていたが、結局答えは出なかった。


(百考は一聞にしかずってわけだ。)


「ご主人様、お昼は何にします?」

「今日は麺の気分だ。」

「わかりました。すぐお持ちしますね!」


 しばらくしてパスタもどきが出てくる。この世界のパスタはイタリアンなオシャレなものでなく、茹でた麺に肉や野菜なんかを色々乗っけて食べる。

 ちなみに貴族の食べ方はフォークで巻き取り、肉を刺して蓋をするようにして食べるらしい。ミレイヤの受け入り情報だ。


(まあ俺は貴族でも何でもないし適当に食うけどな。)


 というかそろそろ地球食が恋しい。そろそろハクも家の扱いに慣れてきたようだし、色々仕込んでいってもいいかもしれない。


 食事を終えると、ハクが皿を持っていって食器を洗う。しばらくハクの後ろ姿に見惚れていたが、終わったようでこちらを向く。


「ご主人様、どうかなさいましたか?」

「二人が帰ってくるまで時間あるか?」

「洗濯の予定でしたが…なにか用事でも?」

「いや、ハクに教えたいものがあってな。」

「教えたいものですか?」


 俺の元まで近づいてくる。


「ああ、俺のいた世界の料理だ。」


 そう告げると、ハクの瞳が少し大きくなる。


「ハク。この世界に小麦粉はあるよな?」

「麦粉ののとですか?それならありますけど…」


 パンがあるからそうだと睨んでいた。


「これからお前には『うどん』を作ってもらう。」

「うどん…?」

「俺も正確に作り方を知ってるわけじゃないんだが…お前ならできる。お前を信じてる。」


 ハクの肩をガシッと掴む。


「え!?あ、は、はい!頑張ります!」

「麦粉はあるか?」

「はい、ただいま…」


 俺はハクにうどんを教えてみた。麦粉に水を加えて固めていき、あの名前の分からない木の棒で伸ばしていく。あとはうどんの形状に切って湯がけば完成………のはず。


「「ただいまー!」」


「ちょうどいい味見役発見。」


 試行錯誤の末完成した自家製醤油と水と砂糖を加えて簡単な麺つゆを作る。うどんを今作った丼に入れて麺つゆをかけて完成だ。


「ハクとエル?何作ってるの?」

「なんか食べづらそうな変なお皿だね。」


(なるほど、箸がない人が丼を見るとそういう反応をするのか。)


 今は少し時間に余裕がないのでフォークで食べてもらうことにする。


「食べてみてくれ。感想は正直に言っていい。」

「う、うん…」

「わかった…」


 まあ初めて見たものは受け入れがたいよな…特に最初見せた醤油はハクに捨てられそうになった。

 二人は顔をしかめるが、渋々と言った感じで一本食べる。


「なんかネチョネチョしてる……」

「微妙……」


 ネチョネチョか……水が多かったのか?


「柔らかすぎてフォークも上手く刺さらないし…」

「微妙……」


 中々の低評価…


「ハク、今ので少し水が多くて薄く伸ばしすぎたらしい。また今度に改良していこう。」

「わかりました、ご主人様!」

「ねえ、これどうするの…?」

「残していい…?」

「あ、ああ…食べれないならトイレに流していいぞ。」


(フードロス?知らんな。これは未来への投資だ。微生物たちにもたまには豪勢なものを食べさせてやらないと。)



__

_



 レイを連れて川辺に行くと、すでにグレイスが待っていた。


「師匠!」

「ねえ馬鹿兄貴。この人誰…?」

「お前の弟弟子みたいなもんだ。」

「そちらの方が師匠から先に習ってた人ですね!僕はグレイス=スライトです!これからよろしくお願いします!姉貴!」

「あ、姉貴!?それにスライトって隣の国の……どういうこと!?」

「まあ色々あったんだ。」

「師匠!こちら前金です!」


 グレイスが袋を取り出して俺に手渡す。収納袋だったので、中を取り出してみると全部で14個の魔石が入っている。魔石の相場は詳しく知らないが、何となくこんなもんなのだろう。騙されたらその時はその時だ。


「馬鹿兄貴はお金に釣られたの…?」


 馬鹿兄貴って言われるのもなんか慣れてしまった。


「人聞き悪いこと言うな。変なこと言ってないで早く始めるぞ。」

「よろしくお願いします!」

「はぁ……」


 レイにはいつも通り炎魔法の練習を、グレイスには無詠唱を教える。魔素を覚えさせるのはまだリスクが高いと思ったからだ。

 結局集中力やイメージが足りないせいで瞑想を命じておいたのだが、まあ上手くやってくれてるようだ。


 およそ三時間に渡って今日の稽古は終了する。目に見えて変化できなくて当然。背が急激に伸びるわけ無いのだから。普通は。


「よし、今日はこんなもんだろ。」

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