12. アッシュ村
「あら、エルじゃない。いつもガウスには助かってるわ。そうだ!良かったらこの取れたての大根を持っていき。」
「ありがとうございます。」
近所のおばちゃんから大根を丸々一本もらう。
水魔法で土を落として、そのままかじる。
(うん、今日も美味しいな。)
葉っぱはその辺に捨てていく。
こうすることでまた地面に栄養がつくのだ。
決してポイ捨てをしてるわけではない。
アッシュ村は田舎だ。
それはもう辺り一面畑ばかりで代わり映えがない。
しかし、それは横から見ればの話だ。
俺は今日も村から少し外れの方にある丘に行く。
丘からの眺めは素晴らしい。
緑色を軸に、所々に見える野菜や果物の色、黄金色の麦なんかがマッチして綺麗な景色を作っている。
俺のお気に入りの丘だ。
「さて、今日も魔法の実験をしますかね。」
最近は、特殊魔法に手を出し始めた。
神経を研ぎ澄まし、探知魔法を使ってみる。
動いて乱れている魔素の動きを読み、近くにいる魔物の気配を探るのだ。
(向こう側に1、2、3、4。いや、これは多分ただのウサギだな…向こうの林に1、2、3、ん?人がいるな。もしかして迷い込んだか?)
たまに子供がここまで来て魔物に襲われることがある。
(仕方ない…)
探知がうまくいかなかったのかもしれないが、心配するに越したことはない。
俺は急いで林の方へと走る。
「いや!やめて!だれかたすけて!」
フードを被った小さな子供が、猿の魔物に襲われていた。
全く、親の躾はどうなってるんだ。
このあたりは魔物が出るって教えなきゃだめじゃないか。
「水防御魔法!炎範囲魔法!」
無詠唱で素早く魔法を打つのはまだ難しいので、魔法の名前を唱える。
ゴォォォ、と子供を襲っていた猿は炎に包まれ、その場に倒れる。
(次の課題は、無詠唱魔法の精度を上げることだな。)
と考えながら、襲われていた子供の方を向く。
「回復魔法!大丈夫…か…」
目に見える傷を治そうと、その子供のフードを外すと…
黄色の髪をして、かわいらしい顔立ちの少女が〝頭の上の〟耳をぴょこぴょこ動かしていた。




