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暗殺公女は聖女をやめさせていただきます~聖女を酷使するブラックな王国と王子から自由になったら、いつの間にか王子が王国もろとも「ざまぁ」されてました~  作者: ケロ王
第2章 学園は自由への片道切符

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第37話 断罪

学園のクリスマスパーティー、それは王国で成人した貴族が初めて参加する夜会となる。夜会としては非公式ではあるものの、最初ということで、どの学生もこの日のためにオーダーメイドのドレスを新調するのであるが……。


「あんのクソ親父! こんな時まで、このドレスを着せようとするとか、信じられんわ!」


リーシャは父親が用意したというドレスを見て、そう叫んだ。それもそのはず、このドレスは前に暗黒姫のプロモーション用に用意したという黒一色のドレスだったのである。しかも、それだけではなく大人向けということで、ドレスの露出度が上がっているのであった。いや、露出度が上がっているどころの話ではなく、ほとんど布面積のない水着のような破廉恥な衣装だったのである。


先日、リーシャが暗獄姫でなく、御子姫と呼ばれるようになったことで、イメージが急変した。そのお陰で、これまで暗獄姫として販売されていたグッズが落ち込み、その代わりとして御子姫グッズとして色とりどりの炎をイメージしたものが売れるようになったのである。


暗獄姫グッズに巨額の投資をしていた父は、これにより莫大な損失を被ってしまったのである。もちろん、公爵家の財政を考えれば、それで破産するほどではないのだが、王家が販売に絡んでいたのが問題であった。グッズ販売のスポンサーとしてついていた王家は、損失の責任を全て父に擦り付け、新しいグッズの製作を命じたのである。


しかし、父としても、新しいグッズに手を出すのは愚策と考えたらしく、王家と真っ向から対立する形となった。もっとも、対立と言っても血にまみれた暴力的なものではなく、欲望にまみれた薄汚いものなのだが……。とはいえ、さすがのリーシャもこの期に及んで彼女をダシにプロモーションをかけるとは予想していなかったようだ。


「仕方ないわ。こんなの着れないし、前に来ていた例のドレスを準備しておいてちょうだい」


そうマリアに告げて、父親からのドレスはゴミ箱に叩き込んだ。


そうして迎えた学園のクリスマスパーティーの日、リーシャは赤のドレスを着て学園のホールへとやってきた。


「お嬢様、私は外でお待ちしております。お気をつけて」

「よろしく頼むわ。もしかしたら、このまま国外に行くことになるかもしれないけど、よろしく頼むわね」

「はい、お任せください。たとえ何者が敵対しようとも、私はお嬢様の味方です」


その言葉に安心したリーシャは最終決戦のステージである学園のホールへと入っていった。既にホールには多くの人間がおり、各々お酒や食事を嗜みながら談笑にふけっていた。学園の催し物ということもあり、参加者は学生のみである。もちろん、給仕のために学園内の食堂の人たちはせわしなく料理やお酒を提供していたが、それ以外の大人は教師陣も含めて誰もいなかった。


「まさに断罪にうってつけの舞台ね」


そう呟いて、リーシャは周囲を見回すと、少し離れたところにユーティア殿下を始めとした攻略対象の男性陣に囲まれてアイリスが談笑していた。彼女は、チラリとリーシャの方を見やると、勝ち誇ったように笑みを浮かべた。


「どうやら、アイリスも上手くやってくれそうね。今日の主役はあなたなんだから、しっかりしてくれないと困るわよ……」


そう独り言を呟いてから周囲を見回す。さすがに強制参加ではないものの、全学年対象のイベントだけあって、生徒会会長であるロイド・ヒューゴはもとより、忍者部の二人や、アイリスの取り巻きたちの婚約者など、主要キャラが一堂に会していた。


「さて、そろそろ断罪イベントも始まるかな?」


飲み食いしながら談笑していたリーシャが、イベントを始めやすいように時間を見計らってホールの中央に向かった。そして、ちょうど彼女がホール中央に立った時、第一王子とアイリスが彼女の前に立っていた。


「うわ、いつからそこにいたのか全く分からなかったわ。これが強制力ってヤツかなぁ。これって、私がここに来ないと永遠にイベントが始まらなかった可能性もあったり?」

「何をゴチャゴチャ言っている! 今日はお前に言うことがあって、ここにお前を呼んだのだ!」


ボヤいていたら、ユーティア殿下がリーシャに話しかけてきた。もっとも、彼女は呼ばれた記憶が全くないため、「何を言っているんだ、こいつ」と言いたそうに彼を見ていた。


「ええい、惚ける気か! 俺は知っているんだぞ! 俺とアイリスの真実の愛を邪魔するためにアイリスに嫌がらせをしていることをな!」

「そんな! 私、そんな嫌がらせなんてしていませんわ! そもそも、そんなことをする理由がありませんもの。」

「ふざけるな! お前の勝手な行動には前々から迷惑をこうむってきた。だが、アイリスに嫌がらせをするような女など、俺の婚約者に相応しくない! 今日をもって、お前と婚約破棄をする!」

「ソンナ! ヒドイデスヨー! でも、第一王子がそう仰るのであれば、謹んでお受けいたします!」

「ふん、そんな悲しそうなフリをしても無駄だ! 俺は知っているんだぞ。お前が実は聖女の資格すら持っていないことをな! お前のような悪人は、この王国には必要ない。国外追放だ! 今すぐ、この国から出ていけ!」

「ソンナ! ヒドイデスワ―! では、すぐにでも出ていかせていただきます!」

「ふん! 今さら泣き喚いても遅いわ! もはや決定事項だからな!」


微妙にセリフがかみ合っていないにも関わらず、シナリオ通りに会話が進むことにリーシャは傀儡の書(こうりゃくぼん)、もとい強制力に関心していた。一方で、前世の記憶を持っているリーシャとアイリス以外は微妙にかみ合わない二人の会話に困惑を隠しきれなかった。そのため、ほとんどの者が二人から視線を逸らしていた。


「待てーい! 異議あり!」


リーシャが無事に追放シナリオを達成したことに安堵した瞬間、ホールに威厳のあるような感じのする声が響き渡った。







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