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暗殺公女は聖女をやめさせていただきます~聖女を酷使するブラックな王国と王子から自由になったら、いつの間にか王子が王国もろとも「ざまぁ」されてました~  作者: ケロ王
第2章 学園は自由への片道切符

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第33話 優勝

ミハエルの渾身の一撃がリーシャに命中した!(しかし、ダメージを与えられなかった!)


「くっ、さっきのは良い攻撃だったわ。(ノーダメージだったけど)なかなかやるわね!」


わざと攻撃を受けたリーシャは怯んだ演技をしながら彼を讃えてあげた。


「く、くくく、くくくくく。やっと俺の真の力がお前に届き始めたか! だが、まだまだだ。まだ戦いは始まったばかり! これから俺の反撃が始まるのだぁぁ!」


さっきまで半泣きだったミハエルは、彼女に攻撃が当たったことに気を良くしたのか、あっという間に機嫌が直り――攻撃を再開した。しかし、当然ながら彼の攻撃は当たるはずもなく、再び半泣きになる。彼が半泣きになるたびにわざと攻撃を受けてあげ、また当たらずに半泣きになる、という状況が繰り返されていた。


「はあはあ、俺の攻撃が当たっているはずなのに! なぜ倒れない?!」

ミハエル(おぼっちゃん)、いいかげん、諦めたらどうですか?」

「うるさい! 攻撃は当たっているんだ! いつかは! 俺は……負けるわけには……いかないんだぁぁ!」


帝国の留学生と言っていた以上、そこそこの地位のある人間だと思っていたリーシャは関係を悪化させないために接待バトルをしていたのだが、彼は全く分かっていないようだった。リーシャはヤレヤレを肩を竦めながらため息をついた。


「俺を! 馬鹿に! するなぁぁっ……」

「はいはい、お疲れ様。そして、おやすみ」


彼女はあっさりと彼の背後を取ると一撃で気絶させた。


「勝者! リーシャ・インディゴムーン!」


審判が彼女の腕を取ると高く持ち上げた。それを見た観客たちからは一斉に歓声が上がる。雰囲気的には決勝のような感じなのだが、この試合は1回戦の第1試合である。そう、まだ始まったばかりなのだ。しかし、二人ほどの力量を持つ選手がそうそういるはずもなく、それ以降の試合はまるで消化試合のように盛り上がることなく淡々と進んでいった。


しかし、決勝のカードは過去2年間総合戦で優勝し続けてきた現生徒会会長ロイド・ヒューゴである。彼は平民出身であるにも関わらず、貴族優遇の学園において、実力だけで現生徒会会長まで上り詰めた強者である。一方のリーシャは彗星のごとく現れた新入生ということで、二人の試合は学園どころか王国中から注目されていた。


「総合戦、決勝戦、はじめ!」


合図と同時にリーシャが素早く背後に回り攻撃を仕掛けた。しかし、ロイドは振り向くことなく、その攻撃を受け止める。


「くっ、なかなかやるわね」

「何言っているんだ。こんなの挨拶代わりだろう? さっきの痛い奴と一緒にするなよ」


そう言って、受けた剣に力を込める。不安定な体勢にも関わらず、涼しげな表情のままリーシャを弾き飛ばした。


「やっぱり力じゃ敵わないわね」

「力の差なんて意味が無いだろ? 俺たちは元々、技で攻めるのを得意とするんだ。さあ、そろそろ本気出していこうぜ」

「望むところっ!」


その言葉を合図に、二人のギアが1段階上がる。素早さと繊細な攻撃で隙を突こうとするリーシャに対して、気配を薄くし防ぎつつ、攻撃の隙があればカウンターを狙うロイドは一進一退の攻防を繰り広げていた。


「あなたもレベルは上げているのね」

「ああ、お前たちが部活動でレベルを上げているように、俺は父親に小さい頃からしごかれていたからな」

「なるほど、そう言うことか。さすがはアレク・ヒューゴね」

「親父を知っているのか。なら話は早いな。お前もまだまだ本気じゃないだろ?」

「気づいていたのね。アイツの息子なら手加減の必要はないわね」


そう言って、二人はさらにギアを上げた。もはや二人の戦いは目で追うことすら難しいレベルに達していた。その二人の戦いを多くの人が見守っていた。


「リーシャ。まさか、あそこまで実力を隠していたなんて……。これはユーティア殿下ルートは厳しいかも」


アイリスは二人の戦いを見ながら、今から方向転換しようか迷っていた。


「くそっ、アイツのライバルは俺だけのはずなのに。なんであんな奴が互角に戦っているんだよっ!」


ミハエルは勝手にリーシャをライバル認定して、勝手にロイドに嫉妬していた。もちろん、リーシャは彼をライバル視などしていないし、ロイドもミハエル程度に嫉妬されるとは思ってもいなかったのだが、本人はそのことを知る由もなかった。


「リーシャ様……。肩を並べて戦えるようになるのはまだまだ先になりそうです」

「気にするな、ミレイユ。この数か月で俺たちは、これまでの数倍のスピードで成長しているんだ。追いつくのもそれほど遠い話じゃない」

「分かってるわ、ユーノ。でも、近づいたと思ったら、その背中が遠くなって。もどかしくなるのよ」

「なに、それでもリーシャ様に認められたんだ。彼女も俺たちと同じ気持ちだろう」


ミレイユとユーノは遠く離れた彼女の背中に再び追いつく決意を固めた。


そして、長きにわたる攻防が続き、最初に膝をついたのはリーシャだった。


「くっ」

「諦めろ。スピード重視のお前の方がスタミナが切れるのは早い。短期決戦なら勝ち目をあるだろうが、長期戦ではお前に勝ち目はない」

「いや、まだだ! ――成型鉱石生成フォームドクリエイトマテリアル


リーシャはロイドの周囲に石の壁を作ろうとした。


「なっ! 馬鹿な、魔法が発動しない?!」

「違うぞ、これは俺の属性の効果だ。俺は無属性だからな」


しかし、彼の周囲に壁が作られることはなかった。無属性というのは、汎用的な属性という意味ではなく、魔法を打ち消す力を持つ希少属性であった。


「俺に魔法は効かぬ。これで諦めがついたか?」

「はいはい、分かりました。負けました。降参でーす!」


リーシャは不服そうにしながらも両手を挙げて降参の意を示した。


「勝者! ロイド・ヒューゴ!」


総合戦の優勝者が決まった瞬間、会場は二人の健闘を称える歓声に包まれた。

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