表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗殺公女は聖女をやめさせていただきます~聖女を酷使するブラックな王国と王子から自由になったら、いつの間にか王子が王国もろとも「ざまぁ」されてました~  作者: ケロ王
第2章 学園は自由への片道切符

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/50

第21話 文化祭

文化祭当日、リーシャのクラスは出し物としてメイド喫茶をしていた。最初はべた過ぎるだろ、と思っていたリーシャもまともなメイド服を着れるとあって、最後の方は少し楽しみにしていた――のだが。


「なんですの、このメイド服は!」


当日、彼女に渡されたメイド服を見て大声を上げる。その服は他の人のものとは異なり、真っ黒なのであった。しかも、黒で炎の模様の刺繍までされている特別製であった。特別製のメイド服を手に持って震えていたリーシャに衣装の調達担当のローゼ・ミラージュが自慢げに言ってきた。


「これは暗獄姫様のために特注したメイド服でしてよ。ふふふ、素晴らしいでしょう、この刺繍! 王都で一番有名な裁縫士エレ・ガンス氏の作品でしてよ。通常は依頼してから1年は待たされるのですが――暗獄姫様の衣装、ということでお願いしましたところ、特別に1週間で仕上げてくださいましたの。どうでしょう、凄くないですか?!」

「いや、凄いのは凄いんですけど、これってメイド服じゃないですよね?」

「甘い! 甘いですわ! メイドの本質は服にあらず! メイド魂さえあれば、何を着ていてもメイドなのですわ」

「……初めて聞いたわ」

「そうでしょうそうでしょう。私、この度のメイド喫茶に命をかけていますの。何としても成功させるために、こうして手を尽くしているのですわ」

「これは無意味な努力だと思うけど、ここまでする意味ある?」

「もちろん、この衣装だけでだいぶ予算を使っております――が、暗獄姫様の知名度があれば、この程度、余裕でペイできる試算ですのよ。オホホホホ」


リーシャとしては納得のいかないところであるが……かといって今更変えることもできないため、仕方なく、この特製メイド服を着て接客することにした。彼女の懸念とは裏腹に、王都どころか王国内でもトップクラスの知名度となった暗獄姫の特製メイド服による接客は瞬く間に噂となり、席は常に満席、それどころか教室の前には長蛇の列ができていた。


「オホホホ、私の見込んだ通り、大成功ですわ。このまま一気に売り上げトップを目指しますわよ!」

「……さいですか」


客たちに引っ張りだこだったリーシャはげんなりとした様子で、ご満悦なローゼの言葉に相槌を打つ。こうしている間にも、メイド喫茶に訪れる客からの御指名が入り、他のメイドたちに引き摺られるようにして客席に連れていかれたのだった。


「よ、来てやったぞ。ありがたく思え」

「うう、つらい。なんで私ばっかり……って、貴様かぁ!」


指名されて向かった先にはユーティア殿下とアイリスが向かい合って席に座っていた。アイリスの方はユーティア殿下に興味を引いてもらおうと、色々と話しかけたりしているのだが……。肝心のユーティア殿下の方は、それを完全に無視してリーシャに話しかけてきていた。


「お帰りなさいませ、お嬢様。お食事は何になさいますか?」


そんなユーティア殿下を無視して、リーシャはアイリスに話しかけた。殿下は殿下で彼女にイラつきながら声を荒げたりしていたが、リーシャの方はまるでそよ風のように罵声を受け流して、アイリスに注文を聞いていた。注文を受けた彼女は一旦奥に引っ込むと、料理と飲み物を持って戻ってきた。


「はい、こちらがラブキュンオムライスとモエモエペペロンチーノでございます。それと、こちらが愛のレインボーミックスジュースでございます。」


リーシャはハート型の下にLOVEとケチャップで書かれたオムライスをアイリスの前に、大量の唐辛子が入ったほのかにニンニクの香りのする燃えるように真っ赤なパスタをユーティア殿下に前に置いた。そして、二人の間に巨大なグラスに入った虹色の液体に2本のストローがささった飲み物と思しき物体を置いた。


「それでは、ごゆっくりお召し上がりください」


そう言って、リーシャは奥へと引っ込んで二人の様子を窺がった。すぐに二人は食事に手を付ける。ユーティア殿下のパスタはかなり刺激的な味だったようで、一口食べた途端、顔を真っ赤にしながら慌てて二人の中央にあるドリンクを飲み始めた。それに合わせるように顔を赤らめながらアイリスもドリンクを飲み始める。さすがは「愛の」と付くだけあって、端から見ると顔を赤らめた二人が仲良く飲み物をストローで飲んでいるようにしか見えなかった。


「ふふふ、大成功ですわ。こうしてドリンクを二人で一緒に飲んだことで好感度アップですわ。どうせ第一王子はドリンクに手を付けないと思って、こちらを仕込んだ甲斐がありましたわ」


そう言って、今日のために密かに仕入れておいた『デス♡ソース』の瓶を見つめた。


「そして、ドリンクも二人のは特製。通常は7種類のフルーツジュースを使うのですが、あれは7種類の媚薬を使った特製ジュース。これで二人の仲は完全なものとなりますわ。そこまで行けば、私がアイリスをイジメて殿下に咎められれば任務完了ミッションコンプリートです!」


リーシャは食事を終えた二人を笑顔で見送った。噂では、その後の二人の仲は急激に縮まっていったらしく、放課後に二人で出かける姿を見かけたという話を耳にするようになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ