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暗殺公女は聖女をやめさせていただきます~聖女を酷使するブラックな王国と王子から自由になったら、いつの間にか王子が王国もろとも「ざまぁ」されてました~  作者: ケロ王
第2章 学園は自由への片道切符

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第18話 入学式

「許せませんわ。まさか暗獄姫グッズの収益が本人に全く入っていないなど!」

「危うく、無関係な人間に全財産を貢ぐことになるところでした。教えてくださってありがとうございます」


リーシャは先ほど助けた女性はともかく、彼女をクビにしようとした女性の発言に若干引いていた。暗獄姫と呼ばれるだけでも十分引くのだが、その発言からして相当の金額をつぎ込んでいることが伺えたからだ。


「あの、いくらぐらいグッズを買われているのでしょうか?」

「そうですね。月に10000ゴールド程度ですよ。超新星のように数か月前に現れたので、総額では60000ゴールドくらいですけども」


一般的な給料が30000ゴールドであることを考えると十分買い過ぎであった。


「ちょっと買いすぎじゃないですかね? 使いすぎで心配になるわ」

「大丈夫です! グッズを買うために3食もやし料理で節約しているので問題ありません」

「いや、むしろ問題しかないような」

「もやしは栄養価が高いらしいので大丈夫なんです」


もはや、王家と公爵家を潰してでもグッズ販売をやめさせないと、死者が出そうな勢いにリーシャは眩暈がして倒れそうになった。


「ま、まあ、グッズ購入はほどほどにしてください。いくら買っても本人は喜びませんから!」

「そ、そうですわね。いっそのこと学園をスポンサーにしてグッズ販売をするのはどうでしょうか?!」

「却下で!」

「酷い! でも、諦めませんから。作りたくなったら言ってくださいね。収益の5%ぐらいはお渡しできますので、前向きにご検討を」


そもそも、その二つ名からして本人の了解がないのだが。とはいえ、王家と公爵家を牽制するために学園の力を借りるのも悪くないかもと思うリーシャであった。


「それはさておき、入学受付が問題ないのでしたら、入学式に向かおうと思うのですが」

「ああ、そうですね。それでは我々が会場までご案内いたしましょう。本日リーシャ様が新入生スピーチをすることになっていますので」

「え?! 何それ、聞いていない!」

「毎年恒例で入学試験の首席がすることになっているのですが、今年はリーシャ様がぶっちぎりのトップでしたので、理事会も講師陣も全員一致で決まりました」

「そ、そうなんですね。ちなみに何点だったんでしょうか?」

「えーと、リーシャ様は4150点です! ちなみに2位は特待生のアイリスさんで470点です」

「4150点?! 桁がおかしくないですか? 満点って500点ですよね?」

「試験の時にもお伝えしましたが、リーシャ様は特例で得点が10倍になるんですよ。その代わりとして1割の力で受けてもらうようにお願いしました。おかげで設備の損傷が最小限に抑えられ、無事に最後まで試験を行うことができました。もっとも、それでも実技系4科目全て100点でしたので、10倍されて1000点になります。凄いですよね」

「10倍するのはいいですけど、満点超えるのはまずいんじゃないですか?」

「学長とも合意済みですので、問題ありません。10倍にするという話はありますが、満点を超えてはいけないという話はありませんでしたので!」

「そこは、当たり前すぎて言わなかっただけなんじゃ……。まあ、いいです。あきらめてスピーチ考えておきますよ」

「おお、ありがとうございます。暗獄姫様、直々のスピーチなんて――私、蓄音石を買ってきますね。それではまた」


言うだけ言って、ヤバい女性の人は走り去っていった。残されたクビにされかけた女性はしばし呆然としていたが「私もいずれはあの高みに上って見せます!」と意気込んでいたが、リーシャは全力で阻止した。


そんなドタバタがありつつも、無事に入学式の行われるホールにたどり着いた彼女はスピーチをすることもあり、一番前の席に案内される。


入学式が始まると、まずは学長が長々と意味不明な挨拶をする。こういう時の偉い人の話は意味不明というか、何を言いたいのかわからない、無駄に長い話が多いのである。そして、それは眠気との戦いでもあった。かくいうリーシャも「えー、本日はお日柄も良く」から「3年間勉学に励んでください。以上。」の間、ずっと眠気と戦っていたおかげで、何を言っているのかまったく記憶に残っていなかった。歴戦の暗殺者も眠気には苦戦を強いられていたようだ。


その後、理事長のこれまた長い挨拶と、来賓の方々の手短な挨拶が終わり、いよいよ新入生の挨拶となる。


「新入生代表、リーシャ・インディゴムーン。前へ」


その合図に従い、彼女は前に置かれた演台に立ち、スピーチを始めた。


「えー、みなさん。御入学おめでとうございます。私たちは次代の貴族としての素養を磨くべく、この学園へと入学いたしました。学園とは、そもそも私たち貴族の子女が貴族となるための勉学をする場でございます。決して、異性といちゃついたり、遊び歩いたりするところではございません」


そこまで言って、彼女はユーティア殿下の方を「お前のことだ、お前の」と言いたげに見るが、肝心の彼は気づいていないようだった。


「また、平民でありながら、この学園に入学された方は、王国にその能力を認められて入学することができております。卒業後は、1代限りではありますが貴族の位とそれぞれにふさわしい役職があたえられるはずですので、慢心することなく、勉学に励んでいただきたいと思います。ですが、平民の方は、それ以上に貴族の方と縁を結ぶことも重要になります。ですので、積極的にアプローチしていただけたらと思います」


そう言って、彼女はユーティア殿下とアイリスを「お前たちのことだ」と言いたそうに見ていたが、殿下は憮然としていたし、一方のアイリスは目を輝かせながらリーシャのことを頷きながら真剣に見ていた。


「最後に、この3年間楽しいことも苦しいこともあるかとは思いますが、共に学ぶ仲間たちと卒業まである時は協力し、またある時は競い合っていきましょう。新入生代表。リーシャ・インディゴムーン」


無事にスピーチを終えると学長や理事長たちの挨拶の時とは打って変わって、盛大な拍手が起こった。しかも、一部の生徒や講師の中には、何故か涙を流す者もいてリーシャは軽く引いていたが、見なかったことにして自分の席に戻った。


こうして入学式はつつがなく終わった。

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